心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

光る君へ 第17回「うつろい」感想

前回描かれた、宮中の「華」と、蔓延する疾病に苦しむ民の「影」。
振り返ってみると、道長とまひろの関係は断絶しているその二つを繋ぐ、数少ない線なのかもしれません。

道隆の体調が予告の段階でヤバそうでしたが、どうしてもストーリー的にはいわゆる「バチが当たった」系の感じがします。そもそも晴明が「兼家の次は長くない」みたいな予言をしていた記憶がありますし。
道隆が亡くなった原因は糖尿病という話もあるらしいですが、今作ではどう描くのか。「我々は罹らない」とか言っていた疫病に罹患した上に、そもそも糖尿病で健康を害していたが故の合併で命を落とすのでしょうか。

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病から復活したまひろ。
意識朦朧の中で「道長の姿を見た気がする」と思っていたけど、実際にそれは道長でした。
一晩寝ないで看病を続けてくれたと聞いてちょっと嬉しそうににっこりしていたけど、なんだか心境としては複雑だなあ。
嬉しいのはそうだけど、立場とか現在の関係性とか考えるとなんとも……。

道長が見た悲田院の現状は、もうまともに機能していない状態。この道隆の異常な楽観視、どうもコロナ禍の時の一部のやべえ人を思わせますなあ。
道隆はどうも道兼・道長の弟2人に対してすら疑念を抱き始めていますか。
あと大量に水飲んでいるの、これは史料としても残っているみたいですが……これ、糖尿病患者の特徴みたいですね。やたら喉乾くっていう。

「朝まで内裏で仕事をしていた」で嘘をついてしまった道長ですが、ここは別に嘘つかなくてもよかったような気がします。
悲田院に行った際、倒れた娘を介抱していた」は道長の人柄を考えれば、まあありそうじゃない?これなら嘘は付いていませんし、何より本能的なセンサーが鋭過ぎる倫子さんに嘘つくのはその方が危ねえと思うんだけど……。

道隆が動かないので、道長は倫子さんの財力を用いて蔓延する疾病対策に乗り出しました。
というか当時は夫婦で資産が別換算ってなかなかですね。家としてのパワーバランスを考えると、道長ってちょっと肩身が狭そうではあります。

清少納言、強え……!
完全に斉信を手玉に取ってますね、これは。
男の方が立場が上だという世界の中で、この清少納言の在り方はイレギュラーだろうなあ。

ついに道隆が倒れました。目が霞み、手が痺れ、喉が渇く。
「それは呪詛ではございません。寿命が尽きかけております」はバッサリすぎるやん、安倍晴明
「関白の病」と言い切っていまるし、これに関しては呪詛だの祈祷だのが意味を持たないことは理解している様子。というか道隆のことはあんまり好きじゃなさそうですね。
あと兼家が同じ状態だとしても、晴明なら自ら祈祷はしたと思うんだよな。それすら部下に投げている感じ、やっぱり道隆のことは好きじゃなさそう。

道隆が倒れかけている中で、道兼を次の関白にするための計画が動き出します。
道隆は道隆で、自分の息子を後継者にしようとしているからこの辺は藤原家内部の戦いがまた始まってますね……。
思えば道隆、晴明の前で吐露した「自分を呪詛してそうな人」で挙げた名前、身内だけだったし。
兼家の時から藤原の家を守るのが家訓みたいになっていますが、その家訓故に一族同士で敵対しているのが皮肉です。

なんやかんやあって真の友情に目覚めたさわさんが帰ってきた!まひろが送った文を書き写すことが、さわさんの心を癒していたようです。
ちょっとずつ、紫式部になりつつある気がしますね。「書く」という行為そのものと向き合い始めているの、覚醒しつつあるのが感じられていいですね。

道隆は息子を後継者にすることを帝に直談判し始めました。
とにかく道隆に時間がなく、本人が焦りまくっているのが逆説的に周囲の信頼を失わせているのがかわいそうではあります。

うーん、いよいよ貴族の中にも疫病で命を失う人が出てきました。
とりあえず内覧になった伊周ですが、あくまでも父・道隆が病の間という条件付き。なんだかんだでこの辺は上手いことのらりくらりやっているのかな……というか、ついに道隆、御簾を直接あげて帝に迫って「伊周を関白に!」とか言い出してしまいました。
やっぱりこういうのがさらに信頼を失うというか……。
そして道隆、そのままナレーションと共に亡くなりました。


次回「岐路」。
すでに次回予告の時点で道兼が倒れていたんですが……悲しいなあ。
史実を知っているとあれですね。道隆の後には結局道兼が立つわけですが、そこから僅か10日ほど後には道兼も世を去ることになります。
もう次回の話で道兼もいなくなってしまうんですかねえ、これは……。