心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

光る君へ 第11回「まどう心」感想

兼家の陰謀が完璧に決まり、花山天皇は出家させられて退位。

朝廷権力の磁場は、藤原兼家を中心とした形に変貌することになりますね。
現代でいうと政権交代的な状態なんでしょうか。これまで要職に就いていた人達も、一気に入れ替わる予感。
ちなみに安倍晴明、残っている史料においてはむしろ花山天皇の出家を止めようとした記述が残っているようです。察知したものの、その時にはすでに出家に向けて寺に向かっているところで間に合わなかったとか。

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父が帰宅。
花山天皇の退位により、藤原為時は官職を失ってしまいました。
まあ退位後の状況を見れば、兼家の手が回っていたことは容易に推理ができますよね、これ。
兼家とは縁を切ってしまった為時ですから、ここから再び官職を得られる可能性はゼロに等しいと。やる気ゲージもゼロになってしまった為時パパです。

天皇の電撃出家。
道長も「なんのことですか?」ではなく「聞かない方がいいよ」と返答するあたり、肝が据わっているというか色々と覚悟は決まっているようですね。顔つきが変わったようだし。

この状態でまひろさんが取った行動がストレート過ぎるんだよなあ。
摂政=帝だから、左大臣に取り合ったところで覆らない。
というかそのまま直接兼家のところに乗り込むんかい!ドラマだから兼家は会ってくれているけど、当時の現実考えたら会えるわけがないし……まあ無礼千万ですわな。
なんだろうなあ、この行動って父である為時のプライドも傷付く気がするんですけどね。
兼家の論理はもう切り返せませんね。為時のほうから兼家の元を去っているのは事実。
そして、兼家とってまひろは「虫ケラ」程度の存在でした。

「会えただけでも途方もないこと」なのよね。
そういや知る前はびっくりしたんですが、まひろの結婚相手はこの宣孝なんですよね。
「わしのような男はいないもんかのう」で、そのまま「わし」が結婚してくれることになるという。

兼家人事、バッチバチに自分の身内が入っててやべえですね。
多少周囲の目も気にしながらこの辺を調整すると思うんだけど、そういう遠慮がないあたりは完全に兼家と競り合える人間がいないという証左でしょうか。

新たな天皇はわずかに7歳。
その即位の日、出家させられた元花山天皇が思いっきり呪詛しています。
暗くてはっきり見えなかったんですが高御座の中に置かれていたのは生首だったらしいです。しかもこれ、実際に文献に残っている事件みたいですね。怖……。
「穢れてなどおらぬ」でサクッと処理できる度量も、なんだか道長のデカさの片鱗が垣間見えますな。

うーん、道兼のこういうところがダメポイントなのよな。
正直本質的な部分で知性が低いというか。花山天皇出家の実行役だったっていうのは、視点を変えればただの道具でしかないわけで。
今回も父に上手いこと丸め込まれたどころか、そのまま具体的に「しきたりにうるさい公家連中に取り入れ」とか具体的な指示を与えられ、それで喜んじゃうのが。
桶狭間の際の、信長が与えた褒賞ランクを思い出します。今川義元の首を取った人間より、情報を取ってきた人間のほうが褒賞のレベルが高かったんだよね。
まあとにかく、このままでは道兼は終始兼家の傀儡というか、端末というか……。

まひろさん、よく考えたら左大臣家とかなり太いパイプがある気がするんですけど……このコネは全く使えないんですかね?
このあと倫子様は道長正室になるわけですが、その辺まで話が進んだ時がなんか怖いっすねえ……。
なんか妙に道長とまひろの仲がいいことに、倫子様が嫉妬したりしない?

貧しくなっちゃって、自ら家事をするまひろをこっそり見にきた道長くん。
結局会ってしまうのか二人……という感じです。
前回とは違って「このまま藤原道長として政治のトップを目指すのでその妻になってください」になった道長
でもまひろでは、道長正室にはなれません。それは嫌ですとごねたら、まあ道長もさすがにチョイ切れです。身分の違い故に、背負っているものによるしがらみの強度がまるで違いますね。
結構この辺りは深いシーンかもしれません。一見すると道長のほうが圧倒的に力も財力もあるわけですが、一方で為時が職を解かれるに至るほど社会的には落ちぶれつつも、自由である。一瞬挿入された野菜を洗っているまひろの姿は象徴的です。道長には、自分の手で野菜を洗うことはその立場上「できない」から。

あれだなあ、今回の話はまひろさんが終始自分の身分や立場を理解できていないお話という感じがしました。

次回「思いの果て」。
道長の“お願い”は、妻をいただきたいってところでしょうか。
地味〜に今回まひろと宣孝の交流シーンも描かれたし、それぞれの未来の伴侶との交流が深まっていくんでしょうかね。