心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

光る君へ 第5回「告白」感想

前回のラストで、まひろは道長が自分の母親を殺めた道兼の弟であるという事実を知ってしまいました。
そして今回、道長もまた自分の兄がまひろの母を殺めた張本人であることを知ることになります。

社会的な意味でのまひろと道長は、皮肉にも藤原道兼を接点として繋がってしまうのが心苦しい。
そして「怒るのは嫌いなんだ」と言っていた道長が、作中において初めてその怒りを露わにする相手は兄・道兼です。

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ここまでの話を振り返ってみて思ったんですが、実は一番不憫なのは道兼かもなあって。
ストレスがかかると弟にすぐ手をあげたり、根本的に民衆を露骨に見下しているような人間性はどうしようもないです。衝動的にまひろの母親の命を奪ってしまったことも完全にアウト。……なんですが、その結果今どうなっているかというと、父親に弱みを握られてしまったのでただの傀儡と化しているわけでして。若い頃に道長に手をあげていたのも、どこかで弟・道長に対する劣等感のようなものもあったからだと思うんですよね。いわゆる「兄より優れた弟など存在しねえ」という北斗の拳のジャギみたいな。
この調子だと、花山天皇を出家させる謀略も父・兼家の命令に従って行うだけだろうし、彼が「自らの意志で何かを成す」ということはもうないのかもしれません。
ちなみに兄である道隆が病死すると、その後ついに道兼が関白になります……が、なんとその数日後には道兼も病死するらしい。なんだかドラマ的には、色々と悪さできそうですねえ……。
とまあ、道兼について色々書いてきましたが本編行きましょう。


まひろさんは道兼と道長が兄弟であったことに強いショックを受け、ダウン。
食事も喉を通らないらしく、祈祷による治療が行われます。祈祷っていうか、イタコかこれ。完全に偽物の能力者なのがいいですね。
まあ当然ながら、まひろさんは自分自身で不調の原因も分かっていますしね。

うーん。
まあまひろさん、母を殺された時の年齢とか考えると忘れているわけがないと思うんですけどね。
為時の気持ちもなあ、ここは分かるっちゃ分かる。まひろさん自身の将来のことを考えると、道兼への恨みは捨てなさいと言いますわな……。

花山天皇の治世って、実際のところどんなもんだったんですかね?
作中でも相当革新している様子が語られていますが、実際の在位期間は2年もないくらいですし、どのくらい史料として政治面の話は残っているんでしょうかね。

道長の己の考え、それは「帝が誰でも変わらない」。大事なのは「帝を支えるのが誰なのか」。
普段政治になんて興味がないように見えて、こういう本質はしっかり捉えているのが道長の強さですかね。

関白・左大臣・右大臣の3人で会合はエグいですね。
しかもだいぶ花山天皇に対して反抗的です。
側室とその子供が出てきたり、なんだか兼家周りの掘り下げがググッと進みましたね。

……結局、謎の男はなんなんですかね。なぜまひろと道長の間の情報交換を自発的に行なっているのか……?

道長、まひろ宛の手紙を書く。
それどころか直接家に伺いますっていう内容です。とはいえ為時の前では話せないことがある。謎の男を使って、場所の変更です。

「腹の子を呪詛せよ」を普通に命じるのは兼家のヤバさが地味によく出ているセリフだと思います。
ただ、これは右大臣・兼家だけならず、関白はじめ多くの公家の総意。
安倍晴明が脅迫される」というのは初めて見たシチュエーションかもしれない。

まひろから真実を告げられる道長
「自分の兄がまひろの母親を殺した」という事実は、道長にとっても極めてショックでしょう。
思い返すと、本当に光と闇ですねあの時の事件。父は兼家に職を与えてもらい、その直後に兼家の次男・道兼に母を命を奪われた。
いや、これ道長は全く知らなかったことでありながら、ちゃんと「すまない」と頭を下げられるのが偉いと思います。何より「道兼ならそれをやりかねない」という感覚があるんだろうな、道長にも。

まひろさんが抱えていたのは罪悪感でもあった。
あの日三郎に会いたくて急ぎ、走った。それが原因で道兼の乗る馬の前に飛び出してしまった。
どこかで「母の命を奪ってしまったのは自分である」という気持ちがあったんだよな。

謎の男がついに「直秀」という名を明かしましたか。長かったな。

道兼くんゴミすぎるやん。ここまで清々しいクズなかなかいないですよ。
挙句「そもそもお前が俺を苛立たせなければ……」で道長に責任転嫁するのサイコすぎるんですけど。

自分にも罪があったかもしれないと向き合っているまひろ。
父が揉み消してくれたと恥ずかしげもなく言い、さらには罪を他人に押し付け続ける道兼。
自分にはこの二人を対比させて描いているように見えるんですが、脚本的にはそういう狙いはあるのかな。

そして道長。道兼は当然として、父親に対してもどこかで失望したんじゃないですかね。
「自分が偉くなって、今の腐った藤原家を変えたるわい!」とかに意識が変わってたらちょっと嬉しい。


次回「二人の才女」。
今回とは一転、ちょっとだけ明るい話になりそうな気配。
一方で道長も、為政者としての覚悟が少し付いてきた様子が予告からは感じましたね。