心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

情報“も”食うならいいと思う

ヤツらはラーメンを食ってるんじゃない。情報を食ってるんだ!

上記は漫画『ラーメン発見伝』における、ラーメンハゲこと芹沢達也の名言です。

簡単に言うと、ラードを大量に使用したことで鮎の煮干しの繊細な風味が消えてしまったラーメンを食べ「鮎の風味」を有り難がっている客を見た芹沢が至った境地……というかなんというか。
ラーメンではなく、正確には「鮎の煮干しを使っている」という情報を食っている(実際に食べても鮎の煮干しはほとんどの人間には感じられない)……ということですね。

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これ、ネットやSNSが完全に一般化した現代においては特に顕著かもしれません。
「◯◯のラーメンが美味い」とか、あるいは「××のパンケーキがふわふわで美味しい」とか。
そういう前情報を踏まえて食べに行って、実際に事前に調べた通りの美味しさだった!……というような流れ。
これ、まさに芹沢の言う「情報を食ってる」に当てはまっているパターンな気がします。そしてこうやってメディアなりネットの口コミなりを上手く利用するのは、良くも悪くも売り手側にとってビジネス的に極めて有効な戦略であることも事実だと思います。


芹沢は侮蔑するような文脈で「情報を食ってる」発言をするわけですが、情報と上手く付き合うようにできるのならむしろ情報は最高の調味料にもなる……ということを言いたいのが、今回自分が伝えたいことの本編。前振りが少し長くなりましたね。

ウイスキーを飲んでいて思うんですが、この魔性の飲み物に関してはむしろ「情報も込みで飲んだほうが美味しい」類のものだと思っています。というか、そんな情報があるからこそより美味くなるタイプのもの。

例えばブナハーブンというウイスキーがあります。
これはアイラ島という、基本的にスモーキーなウイスキーが生産される島において珍しくスモーキー要素がないタイプのウイスキーを作っているところです。
そんな「基本情報」を踏まえた上で、ブナハーブンの原酒を購入して別で販売している、ボトラーズと言われるタイプのブナハーブンを飲んでみると……おや?ブナハーブンなのにスモーキー!?みたいな楽しみ方ができるわけですね(もちろんボトラーズメーカーの作り方次第でそれぞれ変わります)。
分かりやすい部分ではこういうところ。比較によって違いを楽しむには、前提として比較するための情報が必要なわけです。
その上で「そんなスモーキーなブナハーブンに、ブナハーブンらしさを探し出す」という楽しさ。これもまたブナハーブンの情報がないと行うことができないわけです。

例として上のウイスキーの話が正しいのかは若干怪しいものの、まあ自分の考え方としてはそんな感じ。
情報をそのまま惰性で信じて食べたり飲んだりする場合、それは芹沢の言う「情報を食ってる」に成り下がる。
情報はあくまでも一要素として捉えた上で、ちゃんと味わい、考えるようなアプローチなら「情報“も”食ってる」になると思うのです。

冒頭のラーメンの話で言えば「鮎の煮干しを使ってるって話だったけど、食べた感じ全然感じないじゃん」という人は正解ってことですね。
自分自身の味覚や感想を誘導されないように気を付けるなら、情報はさらに美味しく食事を楽しめるものだと思います。