心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

光る君へ 第10回「月夜の陰謀」感想

直秀が遠くの国……あの世へと行ってしまった衝撃の前回。ちょっと油断していました。紫式部が主役の作品で、こんなにあっさりと登場人物の命が奪われるとは。

直秀含め散楽の一座の命が容易く奪われてしまったという現実に、まひろと道長は何かを決意したようにも思います。
二人がこんな世界を変えたいという気持ちをさらに強める一方、藤原兼家による謀略もいよいよ仕上げの段階です。

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ゴリゴリに安倍晴明主導の計画が進んでいます。
陰陽術的に、兼家に風が吹くタイミングは直近です。急がなくてはならない……。
花山天皇出家計画。直接天皇を内裏から連れ出すのは道兼だから、この謀略の肝は道兼ですねえ……。
藤原右大臣家4兄弟揃い踏み。道兼以外の3人はアシストという感じですね。道長の役割が「関白の家まで行って、花山天皇の出家を知らせる」というメッセンジャーでしかないのはあまり信用されていないというか、兼家からしても道長がこの陰謀に乗り気でないのは理解しているってことでしょう。
……しかしこの計画の役割分担、兼家の冴え渡った配置を感じますね。実行するのはもはや傀儡状態の道兼。牛車の用意などのある程度権力が必要な動きは道隆。やる気のない道長には事後報告だけをやらせて、側室の子・道綱に対しては将来の出世的なものもチラつかせつつ、非常時の汚れ仕事も命じる。うむ!

すっかり道兼、花山天皇にとって唯一信頼できる人間になっていますね。
この23日、安倍晴明が言っていた限り基本的に「誰にとっても吉日」なので、道兼の提案自体は間違っていないのがなあ。

あっ!道長のことを信頼していないのではなく、この計画が失敗した場合の右大臣家存続の保険としてこの配役だったのか……。
成功すれば長兄・道隆がそのまま藤原家の未来を紡ぐ。失敗した時は道長のみが生き残り、藤原家再興の希望とする。
なんだか関ヶ原の時の真田家を思い起こさせます。兄・信之は東軍。昌幸と弟・幸村は西軍。

しばらく家に帰らない父が気になって、その父が通っている女性の家へと足を運んだまひろ。
恋愛感情というよりも、その女性は病人でした。しかももう命も長くない。為時さん聖人かよ……。

帰宅したまひろに、道長から古今和歌集のうち一作を書いたお手紙が届きました。まあ前回の話を踏まえると、道長くんの抱える罪悪感は相当重たいでしょうからね。
ここにきて紫式部主人公っぽい、和歌や漢詩での応酬が続く!道長がめちゃくちゃ「会いてえ」とプッシュしているのに、まひろ側がのらりくらりと回避している感じが……。
和歌は気持ち。漢詩に込めるのは志。このシーン、男である道長が和歌で、まひろが漢詩っていうのがいいですね。

まあ姉上は姉上でなかなかいいムーブしてはいるんですよね。右大臣家が失脚した場合の保険として左大臣家にも近づいておくという。
この辺の動き自体が信用できない父親への反発からきているとしても、その強かさなんかは明らかに遺伝してるんだよなあ……。

さて、ここにきて道長漢詩で返答してきたからなのか、まひろが会うことにしました。
会ったと思った瞬間抱きしめちゃう感じ、道長よ……。
うーん、道長の選択しようとしている宿命が「逃避」なのはまひろとしてどういう気持ちなんだろう、これ。

今回ずっと主人公っぽいことをしているのがまひろですね。まあ主人公なんですけど。
直秀の末路を共有した二人で、そこから見出した未来が違うのがまた。
個人の幸福に閉じこもっている道長。自分だけでなく社会全体の幸福を考えているまひろ。まひろ側が、どこかでちゃんと醒めてるのがリアルというか女性っぽい気はします。
さて、これで道長は己の宿命と向き合うことを選択できたのか……。

いよいよ23日がやってきました。
道兼が花山天皇を連れて、内裏を進みます。ちょっとヒヤッとする局面もありつつ、牛車に乗せることに成功。まあここまできたら基本的には勝ちですかね。出てしまったら止められないだろうし。
剣璽も回収し、兼家の手元へ。三種の神器のうち、草薙剣八尺瓊勾玉の2つを指すみたいですね。八咫鏡はどこに……と思ったけど、オリジナルは伊勢神宮ですか、たぶん。
花山天皇の出家を見届けたと同時に本性を表す道兼よ。一応「出家前に父に伝えたい」とか言って場を去った話があるみたいですが、今作ではそれすらないからめちゃくちゃ花山天皇からの怨みを買ってそう。

道兼は蔵人頭に出世。兼家の陰謀を成功させた当人だし、報酬的な意味合いもあるのかな。
とりあえず月夜の陰謀は完璧に成功。宮中のパワーバランスは完全に兼家に移りました。
こうなると道長の目指す道は、強かにこの自分の家が有利な状態を利用しつつも自分が藤原家の当主に立つことでしょうか。そうしないと直秀のような人間が出ない世界を作れないし、それを作ることがまひろとの約束でもある。


次回「まどう心」。
あっ、なんか花山天皇が呪詛してそうなシーン一瞬映りませんでしたか?
あとはまひろも道長も、改めて互いの結婚相手を見出していく展開になりそうですね……。