心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

マスターの肋骨とフレンチウイスキー

先週久しぶりにいつものバーに足を運びました。
直前に、先日ブログでも書いた松屋のチキングリル定食を食べてコッテリしていたので、さっぱりしたモスコミュールをオーダー。

実はマスターの一押しだったりするようです。注文が入ってから生姜をおろして加えるため、フレッシュな辛さと爽やかさがあります。
もう少しすると新生姜が流通してきて、そっちで作るともっと美味いとのこと。こいつは再び飲みに行くしかねえよなあ?

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そんなモスコミュールを飲みながら、自分が行けなかった2月中の話を色々聞きましたが……なんだかここのマスター、面白エピソードが多い人でして。

どうやら酒を飲んでいる時に椅子から転げ落ち、その時に肋骨にヒビが入っていたそうです。本当に僅かにヒビという感じだったようで、医者では痛み止めだけをもらってあとは自然治癒という診療結果。
独立して一人で営業していて(金土はアルバイトさんが1人加わりますが)、一日休むとダイレクトに売り上げに響きます。
ということでヒビが確認された日もその夜営業していたらしいんですが、カクテルを作る手が震えていてお客さんに爆笑されたとのこと。ちょっと見たかったですね……果たして笑っていいのかは難しいところですけど。


そんなマスターの面白トークとモスコミュールを楽しんだあとは、ウイスキーのお勉強です。
この日飲んだウイスキーはアルモリックのシェリカスク
少し珍しいフランス産のウイスキーブルターニュ地方にある、ヴァレンギエム蒸溜所というところで作られているようです。シェリカスク以外にもいくつかラインナップはあるようです。

さて、今回のシェリカスク
年数表記のない銘柄なため比較的若い原酒が使われているのか、結構アルコールのアタックは強いです。香りはキツすぎないシェリー樽ウイスキーの香りで、これは好みの感じ。
ストレートで飲むとカラメルっぽい甘さと、後味にシェリー樽らしいビターさが微かに効いています。
……が、このウイスキーは加水で途端に化けることが判明。アルコール度数が落ちることも手伝うのか、途端に全面に甘さが押し出されてきます。しかもストレートの時にはあまり感じなかった、フルーツ系の甘さです。一方で微かにあったはずのビターさはすっかり顔を隠し、飲みやすくもなります。

シェリー樽系は加水でバランスを崩しやすいという先入観があったんですが、今回のアルモリックに関してはむしろ加水することでバランスが整う印象。思い切ってウイスキーと水を1:1くらいまで割っても良さそうです。いわゆるトワイスアップという飲み方ですね。
アルコール度数も下がり、ビターが消えお菓子的な甘さとフルーツっぽい甘さが同居する。香りは相変わらず軽やかなシェリー樽系。加水でそのような表情に変化します。
個人的には、結構シェリー樽系ウイスキーの入門にいいんじゃないかなと思いました。原酒が若いおかげなのか、逆説的にシェリー樽要素が強すぎないのでネガティブ要素があまりありません。結果としてシェリー樽らしさは楽しめるのに、かなり飲みやすい銘柄だと思います。

酒質としても素直なため、マスターは「単価は上がってしまうけど、カクテルに使うと愛称が良さそう」と言っていました。特に甘い系のオールドファッションやゴッドファーザーは合うんじゃないかということでした。
バーに行って「ゴッドファーザーをアルモリックのシェリカスクで作って欲しい」なんて注文したら、相当通っぽいのかもしれません。いきなり初めての店でそれやるとちょっと警戒されそうですけどね。