心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

【ウイスキー】スプリングバンクのボトルが並ぶ絶景

連日暑いですねえ。
仕事終わりに外に出ると暑過ぎて「これはサッパリ系カクテル飲まないとやってられないわ」ということでバーへ。
過去に2度伺った、フルーツカクテルが美味しかったお店ですね。まだわずか3回目ですが、そろそろ常連気取り始めてもいいかな……?

サクッとジンリッキーで喉を潤しつつ、バックバーを見るとスプリングバンク10年が並んでいました。
「手に入ったんですか?」
「酒屋さんが1本だけ在庫があるっていうので、速攻注文しましたよね」
なんて会話をしつつ、2杯目はそんなスプリングバンクを飲むことに……。

スポンサーリンク


現在スプリングバンクはかなり高騰しており、相場では2万円を超えるくらいになっているようです。
本来の定価は7000円+税。酒屋さんから定価で購入できたということで、飲む側としては「こんな安い値段で飲んでいいんですか……!?」みたいな価格で飲ませてもらえました。

これが生涯2度目に飲むスプリングバンク10年。
今回のスプリングバンクは開栓からそれほど時間が経っていないこともあり、マスター曰く「まだちょっと堅いですね」とのこと。それでも「モルトの香水」と呼ばれる香りの豊かさはさすがですが。わずかに漂うスモーキー感とのバランスも絶妙です。
ちょっとだけ加水をすると、甘みや酸味のようなコンテンツが顔を覗かせます。ちょっとだけフルーティーな要素も出てきますかね。
クライヌリッシュなんかもそうですが、こういう内包するコンテンツが豊富なウイスキーは微量の加水やロックなど、少し水が加わるような飲み方が面白いと思います。そのままでは複雑・濃厚過ぎて見えてこない要素が、加水によって顔を出すイメージ。まあスプリングバンクに関しては、割って飲むなんてもったいないという意見もよく分かりますけどね。

そんなスプリングバンクでちょっと盛り上がっていると、マスターが「隠しているバンクがいくつかある」といって並べてくれました。
分かる人が見たら結構凄まじい光景だと思います。
右から3本は全てカスクストレングス。一番左は同じスプリングバンク蒸留所で作られるヘーゼルバーン。
定価なら7000〜10000円くらいのものが主に並んでいますが、今調べるとネット上では4万円前後になっていたりするものもあります。やっぱりスプリングバンクはとんでもねえ……。


余談として今回聞いたウイスキーの最新ニュースというか。結構ウイスキー製造界隈としては大変になりそうな話なので少々。
アメリカでバーボン製造におけるルールが変更となり、これまでは新しい樽でしか熟成することを認められなかったバーボンが使用した樽も使えるようになったとのことでした。
ウイスキーにおける「シェリー樽」などは、その名の示すように「一度シェリーワインの熟成に使った樽でウイスキーを熟成させる」ということです。この時に樽に染み込んでいるシェリーのエッセンスがウイスキーにも影響して、個性を産むわけですね。これまでバーボンではこれを行うことができなかったわけですが、今後はこういうことがバーボンでもできるようです。

ここからが本題で、ウイスキーにも「バーボン樽熟成」が存在します。
バーボン熟成には新しい樽しか使用できないということは、一度使った樽は基本的にアメリカでは用済みとなります。だからスコットランドをはじめ世界のウイスキーを製造する蒸留所などがそれを買い取り、バーボン樽熟成のウイスキーは比較的安定的に作ることができていたと思うんですよ。
ただ、今回のバーボン製造ルールの改定によって、当然ながら「使用済みのバーボン樽で再びバーボンを熟成させる」ということもアメリカでは行うことができるようになりました。ということは世界に流通するバーボン樽の数量が減ることが予想されます。簡単にいうとアメリカから海外へと樽が流れていかなくなる。
結果としてバーボン樽自体の需要と供給のバランスが崩れ、バーボン樽熟成系のウイスキーの価格が今後ジワリと上昇するのではないか……というお話。

シェリー樽に関してはずっと昔から、ウイスキー熟成のためだけにシェリー樽を作る業者というのがあります。
もしかしたら今後は、これのバーボン樽版の業者というのも出てくるのかもしれません。

一方でこれからのバーボンが面白くなりそうという話でもあります。
樽の使用の自由度がかなり増したと思われるので、今まで出てこなかった多種多様な香味のバーボンが今後リリースされていきそう。
普段はあまり飲みませんが決して苦手というわけでもなく、実際以前飲んだワイルドターキー12年はかなり美味しかった記憶があります。
ただでさえ値上がりが続くウイスキー業界からするとやや耳の痛い話かもしれませんが、バーボンファンにとってはこれからの楽しみが増えるようなニュースとも言えるのかも。
今まであまりバーボンに手を伸ばしてこなかった人が間口を広げる機会にもなるかもしれません。スコッチやジャパニーズと比較すると値段も安いものが多く、普段家で飲む時はバーボン、みたいな使い分けも視野に入ってくるかもですね。