心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

スプリングバンク10年を飲む

ウ…ウソやろ こ…こんなことが
こ…こんなことが許されていいのか

ということで、先日仕事終わりに行ってみたバーにスプリングバンクが残存していました。15年の方はもう空だったんだけど、10年はなんとか1杯分取れますよって事でラストを頂くことに(1杯分に満たない残りはマスターさんが美味しそうに飲んでいました)。

スプリングバンクは生産量の少なさとエゲツない人気の影響で、今ではまずまともに飲むことが難しいレベルになりつつあるウイスキー
まだ探せば置いてあるバーもあるようですが、希少価値が大幅に高まっていることもあり1杯2万円とか、そういうレベルのお店もあるとか。今回のバーはホテルのメインバーという立地もあってか、1500円という破格値で飲ませて頂くことが出来ました。

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というかですね、まずボトルの実物を見る事自体が初だったんですよね。そりゃお願いして写真も撮らせてもらうわと。

さて、スプリングバンクは「モルトの香水」と呼ばれるほどの香り高さが魅力。
ピートのスモーキーさの中に、微かな海や磯の気配、そして穏やかなフルーツ感。複雑ながら見事なバランスです。香りだけで既に美味いんだよな。

味はキャンベルタウンらしい塩気を感じさせつつ、強すぎないピート感。ロックにしてしまったので麦芽の甘さやフルーツの爽やかさというコンテンツはかなり弱まってしまった感じがあります。なんとなく流れでロック注文してしまったけど、これはストレートが正解だった。失敗……。
とはいえ飲みやすいのに入ってくる情報量は多く、芳醇。飲みやすいのに全然飽きないです。これは美味かった……。

飲みながら、色々とウイスキーの値段高騰についてのお話を聞かせてもらいました。
ウクライナはビンやガラスの生産トップシェアであり、そこの工場が現在止まっている。つまりウイスキー自体はあっても、それを詰める入れ物が用意できないというのもウイスキーの価格高騰の原因なのだとか。
さらに海運に使われるコンテナは中国が大きくシェアを抱えていて、未だ世界と比較するとコロナからの経済緩和が鈍い日本にはコンテナの割り当てが少ないのだとか(他の国と比較して経済緩和が鈍い=輸入量が少ない)。そうなるとコンテナを出す中国もビジネスだから、多くのものを運び入れられる日本以外に物を回すということらしいですね。
単純にウイスキーそのもの生産が需要に追いついていないだけだと思っていたので、結構盲点だった。入れ物や輸送手段も原因になっているんですねえ……。

今まではメニュー表にスプリングバンクを乗せていたんだけど、酒屋さんからも仕入れられる状況にないのでメニューからなくすと言っていました。
もちろんメニュー外のボトルもたくさんあるのがバーなので、仕入れられたらこっそり置いておくでしょう。ウイスキー好きな人は目ざとくそれを見つけてスプリングバンクを注文することになる世界がやってくると。

マスターと一緒に「次はいつ飲めるか分かりませんね、スプリングバンク……」とちょっと切なくなりながら、モルトの香水を堪能した一夜でした。