心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

鎌倉殿の13人 第35回「苦い盃」感想

時政とりくの子・北条政範の突然の他界から始まるっぽい畠山重忠への追い詰め。
今作では朝廷の工作によって消された政範ですが、それ自体が更なる鎌倉破壊工作の始まりにしか過ぎなかった……的な感じかな。

三谷幸喜のいう人は本当に史実として残された文献と、それをベースに考えるフィクション部分のバランスが上手いと思います。
北条時政畠山重忠を討つという史実に、時政……というか平賀朝雅の背後にいる朝廷の陰謀を絡める。
人間関係や出来事の相関図は結構複雑になっているはずなのに、ドラマとして観るとスッと入ってくる感じはお見事だなあと……。

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りく殿、なんつーか野心がエグいからね。
一方完全なる表裏を使い分けてくるのえさんもまた、野心がエグいからね……。
「北条の発展」のためにはこの野心はプラスなのかもしれませんが。

りくさんの心情はなんというか読みきれないんだよな。本当に政範を愛しているのはそうだろうけど、一方で政治的な意味合いである種息子を「利用」しようとしていたのも事実だろうから。
このドラマだけ見てると日本三大悪女にカウントしていいレベルだと思っちゃうからねえ……。

おっ、畠山重保。史実では平賀朝雅と酒宴の場で言い争いになったという話が残っているようです。
そこに「平賀が毒を盛った」というドラマとしての話を絡めてくるのはやっぱり上手いよなあ……。

「毒……誰が!?」
その目の前にいる平賀朝雅だよ盛ったのは。とんでもない悪人になったなあ平賀殿。こんな感じの人でしたっけ?
いやまあ、気持ちは分かるんだけどりくさんさあ……ここまできてこんな思いっきり利用される側に回ってしまうあたり、鎌倉全体の中においては結局頭が良い方ではないのかなっていう。
そんなりくさんに振り回される時政は、マジで執権を務めるだけの器ではないんだよなあ……。

手を見るだけでのえさんの本性を見切る三浦義村。やっぱりこういう話については頼れるのは、八田殿ではなく三浦殿だよな。

今回の話の要所はりくさん。ここさえ抑えることができればと思うけど、まあ収まってるわけがねえ。
りくさんの「意外とメンタル大丈夫」って話。これは政範を亡くした悲しみが畠山への復讐心に変換されているだけだと思うんですけど……。
御家人同士が殺し合うのはたくさん」と言いながら、絶対畠山滅ぼすマンのりくさんの精神が怖すぎる。

和田義盛が実朝に気に入られてるのは素敵ですね。
んで和田義盛がちょっと妖しい占いにハマってるのなんやねん。
「雪の日は出歩くな。災いが待っている」
しれっと源実朝暗殺の伏線張ってくる歩き巫女。1219年2月13日ですよ、実朝が亡くなるのは。

なんで時政が法に沿って判断できなくて、その役目を義時がやってるんですかねえこの鎌倉。
北条時政は周囲の人間の影響受け過ぎなんだよね。この人は自分ってものがないのか。というか少しは自分の頭で考えることはしないのか。

御所がパニックな中、実朝は夜遅くまで占いを受けているっていうなかなかシュールな状況。
おばばのは占いというか人生相談ですね。過去にも自分と同じことで悩んだ人間がいて、これからも同じ悩みを抱える人間が未来にいる。

ちょっと北条政子大江広元がいい感じになってるのなんなのさ。
そして家族から迷惑がられている時政。本質的にはりくさんがやべえってのは理解しているとは思うけどね、一族としても。

結局最後の最後で「文書の中身は手で隠して、確認させないまま花押を押させる」あたり時政も悪人だと思う。結局自分のやっていることに正当性がないことは理解しているってことだから。

まあここまで来ると「鎌倉=北条時政」になりつつあるんですよね。
畠山重忠の遺言のような言葉。「本当に鎌倉のためを想うなら、戦う相手は……」。
義時が父・時政と訣別するための最後の一押しを決めたのは畠山重忠ってことになるのかな。


次回「武士の鑑」。
歴史としては分かっちゃいるけど、畠山重忠の乱が始まってしまう。
なんかねえ、こうなる前に時政を力で止めることができていれば……って思わずにはいられない歴史ですよ。承久の乱までだけで、鎌倉は内乱で血に塗れ過ぎだよ……。