心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

鎌倉殿の13人 第24回「変わらぬ人」感想

こうやってドラマとして見てると、源頼朝は兄弟と仲良くできない運命というかなんというか。今回は範頼と決別するわけですし。

頼朝が特別そうかと思ったんだけど、ちょっと考えたら足利尊氏も弟・直義と国を巻き込む大喧嘩してるし、信長も若い時に弟・信勝を謀殺してました。
秀吉とその弟である秀長あたりが数少ない仲良し天下人兄弟なのかな。やはり権力を持つと、当人同士というより周囲が勢力争いに利用してしまうのかもしれないですね……。

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こりゃ範頼くん本当に運が悪いとしか言いようがないんだよなあ……。
んで義経の時もそうだけど、今作の頼朝はなんというか「人を信じきれない」んだよね。信じたいんだけど信じきれないっていう。

やっぱ一番暗躍していた比企さんが一点大ピンチですが、ここで範頼見捨てろっていう奥方がスーパー怖いっすわ……。
そして範頼くんが優しすぎるというかなんというか。比企のせいなんだからそこは比企を犠牲にしてもよくね……?

うーん。
範頼のいう「鎌倉のため」が正しいんですよね。本当に必要なのは「源頼朝」ではなく「鎌倉政権というシステム」だから、頼朝が作った政権を必死こいて存続させようとしたら範頼の行動になると思うわ。それが亡くなった(と当時は思っていた)頼朝のためでもあるし。
あと大江広元の理論は言いがかりというかもう無茶苦茶な気が。

頼朝が「変わってしまった人」だし、義時もここまでドラマを観ていれば「変わった人」側です。
梶原景時が来た=首を刎ねられるっていう理解してるの怖過ぎない?

三浦義村の軽く言った「裏切ったり裏切られたりに飽きた」ってのが実は深いというか。
いくら組織の中で偉くなれても、こんな鎌倉幕府の中でストレスで壊れますよ……。

んで大姫の「婿のなり手がおらぬぞ!」の原因作ったの頼朝なんですけど。
現在形で「許嫁の木曾義高“です”」なのがねえ。この辺地味ながら、ほんのちょっと精神的に壊れている演出なのかもね。上手い……。

時が過ぎるうちに木曽義高のことを忘れてしまうっていうの、話が変わりますがゲーム「零〜刺青ノ聲〜」思い出すんだよなあ。
「変わらぬ人」ってタイトルで、巴御前に「人は変わるのです」って言わせるのグッと来るね。

この状況で頼朝を軽視する公家。こういうところが最終的に後鳥羽上皇が引き起こす承久の乱に繋がる気がしないでもない。
頼朝も政子も、大姫もめちゃくちゃ下に見られてますね……。

大姫脱走!それを見つけるのは三浦義村
「人は己の幸せのために生きる」。
この三浦義村の言葉で、大姫の中の自死願望が顕在化してしまったか……。
うーん巴御前の「生きててよかった」という言葉は響かなかったんか、これ。
この20年間の人生の内容だと「己の幸せのために生きる」ということがなんなのかが分からなかったような気がしますね。ずっと家の誰かのために生きていて、その中で唯一の「己のため」が木曾義高だったわけだしね……。

娘の遺体を見ながら、涙も流さず「わしは諦めんぞ……」を言う頼朝。完全に闇堕ちしてるなこれは。
大姫の死因は呪詛のせいになって、そのまま範頼始末ルートへ。
何に怯えてるんですかね頼朝、と思ったら自身の死期でした。

さて、今回の「変わらぬ人」というタイトルよ。
素直に源範頼のことだったのか、それとも義高を失った時から止まっていた大姫のことだったのか。最後の最後で安定のアサシンしていた善児か。
むしろ「変わる人」が多く描かれたことを踏まえると、「人という生物は変わるものなんだ」というデカい意味での「変わらぬ人」、結局人は誰だって変わることは“変わらない”みたいなことだったのか。


次回「天が望んだ男」。
誰を指しているんでしょうねえ……今回も意味深な「変わらぬ人」だったし。