やっぱり奈須きのこが書くとストーリーのクオリティ段違いですね。プラスにもマイナスにも感情を揺さぶるキャラクターとストーリー、二転三転する展開、そして設定厨な自分に突き刺さる妖精國の世界観と歴史。
すげえわホントに。
「今時紙芝居は時代遅れだ」的な意見もそこそこ聞こえていた状況だけど、物語自体がとてつもなくパワーを持っていればそんなこと吹き飛ばすんだなって。
ちなみにハベにゃん宝具5になるまでにフレンドポイント250万くらい消し飛びました。
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不必要なキャラクターのいない見事さ
例えばストーリーに出てはきたけど「本当にチョイ役で終わって以後全く出てこない」ようなキャラクターはほぼいなかったように思う。少なくともモブキャラではなく、名前のあるキャラクターは(名前を与えられたモブキャラでさえ)ちゃんと出番があって、出てきてもすぐ退場する場合はそこに意味は与えられていたかなと。
少なくとも「人気あるキャラクターだから出しとけ」みたいな雑さは全くなかったように感じる。
妖精達の氏族長であるオーロラ、ボガード、ウッドワス、スプリガンにムリアン。ウッドワス以外は戦闘もないのに、ストーリーの根幹にガッツリ食い込んでくるほどに印象を残していった。
インド異聞帯以降、なんだかんだ長い付き合いとなったぺぺさんの物語もここで幕。この人も重い過去を背負いつつ、自分の本音を隠しつつ、だけど主人公達を(本来敵のはずなのに)導き成長させてくれた素晴らしいキャラクターだった。
ノクナレアも良かったですね。個人的に一番グッと来たのは戴冠式でのノクナレアの最期でした。
ネタキャラかと思われたレッドラ・ビットもストーリーの最終盤で最高にカッコいい退場。
コヤンスカヤとムリアンの関係性も好きだった。ムリアンの最期の願いを「ビジネスとして」受諾し、ビーストの力を使ってまでカルデアを守るコヤンスカヤよ……。
当初の目的であったモルガンは、その真意をあまり出さないまま倒された。その後の戴冠式後のストーリーで描かれる「モルガンがやっていたこと」が後から効いてくるのも地味に良かった。モルガンが聖槍を用意していなければ、結局ケルヌンノス討伐は不可能だった。モルガンが妖精騎士達にギフトとして円卓の騎士の名前を与えていたから、彼女達が災厄になることは抑えられていた。そもそもモルガンがケルヌンノスを倒すのではなくそのまま眠らせておく選択を取り続けたことで、オベロンの真の狙いは封じ続けられていた。「この女王マジでスーパー有能だな」というのが分かるのは、モルガンの死後というのがまた……。
全然書き足りないんだけれども、本当に全てのキャラクターに魅力があり、意味があった。モルガンや妖精騎士トリスタンのように死後にまだ物語に意味を残していたキャラクターもいたり、おそらくファンサービス的な面もあった村正もそれを引いた上でとんでもなくカッコいい退場をしたり。賢人グリムはFGOという長い物語のはじまり、冬木から既に登場しており、長い長い間を空けてその伏線を回収しつつ、カルデアに取って本当に必要な武器を手に入れる手助けをした。
一人ロンディニウムを守るために戦うガレス。その第22節のタイトルが「最後の騎士」でこれまたグッと来たり。
妖精達によって仕立て上げられた偽りの予言の子・パーシヴァル。メリュジーヌとの関係性と、自身の存在意義と。自分の寿命を削って放つ宝具と。
一瞬だけ登場する汎人類史のランスロットとガウェインも、妖精騎士ギャラハッドとしてバーゲストを「倒す」のではなく「救いたい」と願うマシュの想いに呼応して召喚されたり。
モルガンへの忠義と妖精達を救うという想いの狭間で揺れながらも、最後には自身の生来の本質に呑み込まれてしまったバーゲスト。
オーロラが全てでありながら、そのオーロラのために彼女に刃を向けたメリュジーヌ。
モルガンとバーヴァンシーの関係も、モルガンの立場から考えると最高に切なく、そしてバーヴァンシーもケルヌンノスに飲み込まれ……。
ことごとく妖精騎士が哀しい終わりを迎えるのもまた心に刺さります。
壮大な妖精國の世界観と歴史、心にダメージを与える物語、そしてこれから
妖精國となったブリテン異聞帯。
そこにベリル・ガットが向かい、召喚したモルガンが即座にレイシフトの理論を理解、過去の自分自身へ情報を共有し、異聞帯世界を作り直す。
でもこの異聞帯の成り立ち自体はモルガンの誕生より遥か昔のことで、そこには「聖剣エクスカリバーが造られたかどうか」という分岐があった。
そんなエクスカリバーを手に入れる場面において、刀鍛冶である村正がしっかり見せ場を作ってくるのもアツい。地味にアトランティスで鍛冶神へファイストスと交流を持ってたのも(6章では触れないけど)伏線みたいになってたのかも。その時のへファイストスからの学びがあったからこそエクスカリバー鍛造が可能だったんじゃないかな。本来のエクスカリバーは妖精達が鍛える剣。凄腕の刀鍛冶でも、村正が生来持っていた鍛冶技術だけでは難しかったんじゃないか……とか。
モルガンの撃破、その後明かされる妖精國の真実とケルヌンノスの撃破、そしてケルヌンノスが倒されたことで真の目的のために本性を晒したオベロン。
オベロンなんて本当に最後の最後に本性さらけ出すけれども、そこまでのストーリーにきっちりその伏線は張り巡らされていて「え?いきなり何すか?」という感じは一切ないのもお見事。ちゃんとこれまでのオベロンの「なんかちょいちょい単独行動するな」とか「なんでゲスト参加時毎回クラス変わってんの?」とか、しっかり回収してくる。
何よりこの展開で一気にオベロンというキャラクターに深みが出たと思う。正直こうなる前のオベロンには対して魅力を感じてなかったが、正体を明かしてきたことで一気に良いキャラに感じたものです。
とにかくメンタルを抉る部分も多かった。キャストリアの境遇の悲惨さ、妖精達の残酷さ。バタバタ消えていく仲間たち。
オーロラとか本当にクズなんですが、これ「ああ、こういう人いるよね」っていう人を最大限誇張したようにも見えた。自分の保身のために、それが善とか悪とか考えもせずに躊躇いなく他者を蹴落とすことができる。程度として、それが可視化されないくらいの自己中心さの人は少なからずいるのかもしれないけど、それをはっきり見える形にしたのがオーロラというか。
めちゃくちゃ嫌いですが、それ故に強く印象に残ったのがオーロラだった。どこか自分の中にもオーロラと近しい部分があるからこそ嫌悪感を抱いたのかもしれない。
ブリテン異聞帯の旅でカルデアが手に入れたものは、聖剣エクスカリバーのエッセンス。
当初の目的であった聖槍ロンゴミニアドでは、おそらく次章で戦うこととなるアルテミット・ワンは倒せない。14000年前に星の外からの脅威を倒した聖剣エクスカリバーこそが本当に必要だった。グリムはそのことを分かっていたような気がする。
そもそもブリテン異聞帯もまた汎人類史側からすれば「あってはいけないもの」のはずだけど、そのブリテン異聞帯がなければエクスカリバーを入手することは不可能だった。汎人類史を守るために、逆説的にブリテン異聞帯は必要不可欠だったという繋がりはたまらんものがあります。
既に7章が楽しみで仕方ないんだけど、その前に6.5章入るのはほぼ確定だし、7章は7章で誰が執筆するのかという。今回の「アヴァロン・ル・フェ」のクオリティがあまりにも素晴らしかったので、せっかく7章への繋がりを残しつつ盛り上がっている中で微妙なシナリオ持ってこられると相当萎えますよ……。そういう意味で6章のせいで7章のハードルがすごく高い位置に設置されてしまった気がします。もう時間かかっていいから7章も奈須きのこ先生に書いていただきたい、というかラストまで書いて欲しいわ……。
最後に。
ストーリーを読み終わったので、色んな人の感想や考察動画を観ていた中で。
クリア後の報酬として仲間になるハベトロットの宝具が、ストーリー中と違って“あの演出の”攻撃宝具である理由について「妖精騎士トトロットとして消える直前、マシュが撃ったブラックバレルを最後まで見届けることができたから」という考察を読んで泣きそうになりましたよ。こういう余韻含めて色々やべえ。キャストリアのスキル名も「聖剣作成EX」に変化してたりね。
そしてハベトロットの宝具は5になり、スキル2は10になり、アペンドスキルの初期NPアップも10まで上げたのでした。
ハベトロット・キャストリア・マシュでパーティ組むと、ストーリー踏まえて考えると超エモいと思う。