心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

【FGO】トラオムのクリア後感想(多少ネタバレあり)

一言でいえば、サーヴァントで行われる三国志世界。
北に最大勢力を持つ復讐界域、南東に復讐界域には及ばないが兵士の質で勝る復権界域、そして南西に弱小勢力である王道界域……と三分された勢力が戦う世界。
これ完全に場所も勢力のパワーも魏・呉・蜀に対応していて、さらにこの特異点のカタチを作り出したサーヴァントが張角なのもまたなんとも。実際の三国志の起点も、張角の起こした黄巾の乱みたいなところがあるしね。


衝撃的なエンディングでした。考察も捗る捗るって感じ。6.5章と食事に挟む副菜みたいな感じを出しながら、その終わり方たるやゴリゴリメインストーリーを掘り下げるプロローグだったよ。

主人公達は南西の王道界域に与して戦うことになるけど、ストーリー内で終盤のメインになるシャーロック・ホームズの立ち位置は三国志でいう諸葛孔明っぽい感じ?戦争における軍師ポジションはヴラド3世だったけど、この戦争自体の真実を探るのはホームズ……みたいな。

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先に総評としては、普通に面白かったと思います。
特異点到着早々に主人公捕縛〜サロメの協力による復讐界域から脱出の前半パート、王道界域と協力してサーヴァント同士の戦争を終わらせるメイン部分、そしてホームズとモリアーティの戦いの先に、彼自身とトラオム特異点の真実に辿り着く終盤。

それこそツングースカバニヤンのイベントでそこそこストーリーのクオリティにげんなりしていたこともあって、余計にね。文章も変なクセが少なく、読みやすくてよかった。
カドックの参戦によってマスター2人体制という新しい環境。さらにサーヴァントの軍勢同士の戦争という盛り上がる場面もあり、何より名前もないモブサーヴァントが生き生きとしていたのがよかった。主人公を復讐界域から逃すために動いてくれたサーヴァントたちや、見張り塔攻略に参加してくれたアサシンくんとか良かったですね。
復讐界域との戦争はサクサク展開しつつも本当に各サーヴァントが輝いていて、初めてアストルフォのことをカッコいいと思いました。ローランも最後の最後に超絶カッコいい去り方するし、ジークフリートは不死身の伝説とクリームヒルトとの関係もあって終始大活躍。敵側でも、出番は少なめながら存在感を発揮した源為朝や、最後まで名前の出なかった“破戒僧”と呼ばれたアーチャーもいい味出してました。自分の読みではあのアーチャーは杉谷善住坊と見たが、どうか……答え合わせは先ですな。
一方シャルルマーニュ自身の出番は思ったより少なかった。今回の新規実装サーヴァントでは目玉となる星5だったけど、作中ではどちらかというと一歩後ろの位置にいるイメージだった。シャルルマーニュが好きで「今回大活躍するんや!」と思ってた人は少し肩透かし食らったんじゃないかな?
徐福も登場。かなり出番もあったしキャラクターも立っていて、早く実装されないかなあと思わせる感じでした。徐福欲しくなりますね……次のイベントか、周年のタイミングあたりで実装されたりするか。いい加減引っ張りすぎだからなあ、実装まで。次のイベントの配布サーヴァント徐福だったらありがたいんですけどね。今手持ちの石はほぼないし、課金するほどの気持ちもないので……。周年タイミングで低レア実装、虞美人をピンポイントで強化する織田信勝タイプの可能性もあるっちゃある。でも信勝と違って、普通に本人スペック高そうだからなあ徐福ちゃん。

個人的に一番アツかったのはドン・キホーテですね。一度戦いから逃げた自分自身に決着をつけるかの如く、ここでまた逃げたら自分の存在証明を失ってしまうのだ……って感じで、コンスタンティノスとの一騎打ちに臨む。ドン・キホーテのために尽くすサンチョとの関係性もよかった。そしてそんなドン・キホーテの覚悟にほだされて動くシャルルマーニュもまた良い。
ドン・キホーテに関しては、アトランティスの話がここで関わってくるのも、それぞれの物語がどこかで繋がっていることを描いていて嬉しいポイント。

短いながらも終盤が盛りだくさんで、そんな界域同士の戦争が決着すると今度はホームズの出番。モリアーティとの決着をライヘンバッハの滝でつけることになる。
モリアーティとの戦いの果てにホームズが理解した「真実」が、ちゃんとこれまでの、第1部でホームズが登場してからの今までを伏線として回収してあって個人的には文句なし。これなら確かに「ホームズでも分からなかったこと」だし、2部2章でシグルドがホームズに対して「何かが混ざっている」と言っていたことにもアンサーが出る。
そしてそこからの「このトラオムという異聞帯の真実」。この特異点の始まりは、2017年に地球へ落ちてきた生命体……「被検体:E」だった。
最後の最後にとんでもない事実を見せ付けられたところで、そのままエンディングへ。今回は主人公たちが特異点から帰還する描写もなく終わったからかなりショッキングな終わり方でした。いや〜早く続き読みてえ……。


とまあ全体的にはかなり満足と高かったトラオムなんだけど、個人的には1点不満というか、デカめの感情で「それいる?」と思ったポイントがありまして。

コンスタンティノスとヨハンナの関係性は蛇足だったのでは

で、このトラオムって愛情による関係が結構出てくるんですよ。
ジークフリートとクリームヒルト。
ドン・キホーテとサンチョの関係性も愛情と言えるでしょう。
変化球ではあるけど、サロメのエピソードもヨカナーンへの愛情の話ではある。そこからマスターへの親愛とか敬愛に変わっていくのは上手かったですが。
チョイ役的に出てくる清姫も、まあ愛に関するサーヴァントです。

そんな中、復権界域パートではコンスタンティノスとヨハンナをトラオムのライターはカップルとしてくっ付けたわけですが、ここだけは描写不足というか色々雑だったというか、ただそういう恋愛関係にしたかっただけどいう感触が強いです。
まずコンスタンティノスとヨハンナはキリスト教内でも宗派が異なるらしい。そもそもこの時点で、カップルとしてくっ付けようとしているのが色々マズイと思うんですけどね。一応トラオム序盤でホームズが「宗教etc……を棚上げした状態で召喚されてる」という話はするんだけど、宗教のようなデリケートな分野についてはもう少しちゃんと扱わないと。このゲーム一応日本以外の国でも配信されているんですけど。
また、ジークフリートとクリームヒルトのように、原作(と呼ぶのが正しいのか?)であるニーベルンゲンの指輪内で夫婦だったりするカップルはいいんですよ。実際クリームヒルトの喪服のような黒い衣装も原作モチーフだし。「夫婦じゃないわよ!!……夫婦ね!!」のクリームヒルトは微笑ましかったねえ……。

一方コンスタンティノスとヨハンナは別にそういう接点がありません。なんというか、この二人をくっ付ける必要性が感じられなかったのね。それをしたいならもっと作中で描写してくれないといけないんだけど、そんなこともなくヨハンナを庇うコンスタンティノス11世。はっきりいうとここの関係性については薄い。もっと単純に教皇を支え復権を目指すって関係だけで良かったと思う。Twitterで見たのは「コンスタンティノスのヨハンナへの感情は強い敬愛でよかったじゃん」ってやつ。僕もそう思う。
コンスタンティノスの戦う動機もどうも弱く、結果として復権界域そのものが描写不足になったように感じました。
ここが上手かったサロメと逆っぽい感情変化に感じてまして。個人的にはバーサーカーというクラス自体も物語のギミックに使い、上手く演出したサロメの抱いていた感情の変化はスムーズだっただけに、コンスタンティノスとヨハンナは雑すぎた感あります。

他にもちょっとツッコミたいところとして、それこそ序盤に主人公が捕まった際に即決で見捨てて逃げるホームズとか、その後も「すぐに命を取られる可能性は低いから、慎重に行こう」となるシオンとかそこそこ意味が分からなかったんですね。
マスターである主人公が消えてしまったらその時点で全ての戦いに敗北するのと同義で、他の何を犠牲にしても最優先で守らなければならない対象が主人公だと思うんですよ。ぶっちゃけあの時点でホームズでもカドックでも、自分が代わりに命落としてでも無事を確保しないといけない対象が主人公の立場だと思っていたから、なんか「あ、そういう感じ……?」ってなりました。
そもそも命奪われなくても、瀕死に追い込まれてしばらく動くこともできませんよ……みたいな状態で救出できたとして、そこからのうのうと回復を待つ時間がカルデアにあるのか?とかね。

ホームズは6.5章で自らの真実に辿り着き、そして物語から退場することになった。
ただしその真実故に明らかになった、そして作中でまだ明かされていない「ホームズに混ざっているモノに由来する異能」が、彼をもう一度舞台に呼び戻すんじゃないかと思っています。

ここにきて、世界そのものとか異聞帯や白紙化そのものに対してストーリーは足を本格的に踏み出した印象。
ブルーブックのいう「検体:E」と、トラオムで主人公達が見た「被験体:E」の僅かな表記揺れは何を意味するのか。
既に考察班が考えているブルーブックの世界=異星カルデアスは普通にありそうな話で、カルデアスは実際の地球の100年未来をシミュレートしたもの。地球に飛来した宇宙人である検体:Eは、ネバダの地下でひたすら人間に実験され続けることになるわけですが……100年分のそんな復讐心が宿るカルデアスの検体:Eには、地球白紙化を行う動機はあると言えそう。
そしてそんな検体:Eの正体が例の方だとすると……結構な鬱展開なんだよなあ……。