心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

表面的な数字のみを見る落とし穴

先日、Twitterで国連広報センターのアカウントが世界各国の議会における女性議員の割合をランキング形式で紹介していました。

1位はルワンダ共和国で、なんと女性議員が61.3%。男女平等どころか、女性の方が多く活躍しています。
ジェンダー意識が進んでいる!素晴らしい国だ!
……とはならないんですよねえ、ルワンダ共和国の歴史を調べると。

スポンサーリンク



ルワンダ内戦

ルワンダでは1990年から1994年の間、大規模な民族同士の内戦が起きました。
その結末は本当に悲しいもので、最終的に起こったのは大規模なジェノサイド。わずか100日間の間に、100万人もの人が命を奪われたと言います。

結果として人口は激減。
戦後に発足した新政権は“苦肉の策として”女性の活用を打ち出した……。

女性議員が多い理由

そんなルワンダ内戦があったことを踏まえると、女性議員が多い理由が「ジェンダー的に進んでいるから」ではないことは容易に想像できる。
単純に「男性の数が極端に少ない」だけなんじゃないですかね、これは。

戦争となれば前線に立たされるのはまず男性です。そして多くの人が短期間に命を奪われた。
さらにそのジェノサイドに加担していたような人、あるいはルワンダ内戦の中で人道的にまずいことをしていたような権力者が、戦後のルワンダにおいて堂々と議員をできますか……となればそれは無理なので、国外に逃げていたりするパターンも多いと思います。

要するに「女性議員が多い」と言うよりも「議員になれる男性が少ない」という方が正確なんじゃないかと思うんですね。
というか、実際に「ルワンダ 男女比」とかで調べればすぐに事実は分かります。


こういうルワンダという国家の歴史を踏まえた上で、現在の議会の女性が多いってだけで「ルワンダジェンダー平等の先進国だ」みたいな風にランキング発表されてもね……という。
そもそも国連が、ルワンダ内戦を収拾することができなかったわけでして。それどころか途中で事態の収拾は不可能として国連の支援団は軍事要員を縮小したりしています。

なんかねえ……色々調べてみた限り、むしろルワンダ議員の女性比率が高いのは「ルワンダ内戦を止めることができなかったこと」の証明なんですけど。
ある意味では国連の汚点ともとらえられると思うんですが、それを国連広報自らが「ルワンダジェンダー平等が進んでいますよ!」みたいなノリでツイートしているのは皮肉かなんかですか?と思います。

その下に続くキューバニカラグアも社会的には色々問題の多い国です。
今回のランキング、本当にただ「女性議員の割合が多い」ってだけでジェンダー平等と結びつけたんだろうなあってのが滲み出ていますね。
今回の表の中の国家で、本当にジェンダー的な視点で評価でき得るのはニュージーランドだけじゃないのかな?