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急に怖いゲームやりたくなっちゃって、先日買ったこちらの「真流行り神」もとりあえず全シナリオクリアしましたよっと。
「都市伝説」をキーワードにしたホラーアドベンチャーゲームとして過去3作出ていたシリーズで、タイトルに「真」が付いたことで登場人物や舞台を一新した本作。
ぶっちゃけると「都市伝説」というテーマ、そしてシリーズが持っていた「流行り神らしさ」みたいなものはだいぶ薄まり、底冷えするような怖さよりも気持ち悪さやグロさが前面に押し出されるスタイルになり、それをどう捉えるかで評価は割れるようなゲームだったと思う。
とまあそんなこんなで各シナリオの感想をネタバレ満載でガシガシ参りましょう。
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ブラインドマン編
本作のメインシナリオ。
ある村で発生した、目玉をハサミでくり抜いて殺害する、都市伝説「ブラインドマン」になぞらえて行われる猟奇殺人事件。
事件解決のためその事件についての情報を持っているという殺人犯・関本を村へと移送するところから物語は始まる。
その事件の犯人を追う中で、ブラインドマンという都市伝説の真相や狂気に満ちた犯人やその周囲の人々の狂気にビビりましょう的なお話。
ミステリー色も結構あって「誰がブラインドマンなんだろう」と考えながら読み進めるのも楽しかったものの、肝心のブラインドマンさんがはっきり顔を見せちゃったあとで推理ロジック(事件の真相を穴埋めしながら推理するモード)に突入するので推理もクソもなかったという。
学者である関本自身が生み出した「ブラインドマン」。都市伝説そのものが社会学・民俗学的実験によって人為的に産み出されたものであるのに、それが現実化している……という恐怖をもっとじっくり見せてくれれば面白かったかなーとおもったお話。
悪霊編
本作の数少ない正統なオカルトルートの一つ。
このお話ではそもそもブラインドマンが出てこなくて、バタバタ死んでいく人たちは全て原因不明の心不全。事件性があるとして処理ができないものの明らかに偶然としては片付けられない人数が死んでいるので調べてます……がストーリーの始まり。
都市伝説伝播の基本F.O.A.F(友達の友達)
がキーワードになっているのは秀逸。
そもそも二人の女性がコックリさんを怒らせちゃって呪われることになり、自分も友達も死んで欲しくないので「友達の友達なら殺していい」ということで妙な契約を結んでしまったのが事の発端。
おかげでこの二人はお互いにお互いが「友達」であるが故に呪い殺されないという奇妙なシールドに守られ、その代わりに周囲の人々が死にまくっていきます。
だけど主人公がまんまと利用されてしまい、どちらの女性にも友人になってしまったことで主人公を起点とした場合に二人はの女性は「友達の友達」になるので、悪霊さんの念願叶い二人は呪い殺され、主人公は悪霊に取り憑かれたまま……。救われないエンディング。
賢い悪霊さん大活躍のオカルト感と、対象的に言葉や関係性を使ったロジカルな結末がなんとも言えないシナリオだった。
オカルトルートを楽しみにしている人には念願の……という感じだが、とはいえ悪霊が露骨過ぎて若干冷める演出も。
「黒いもやが……」
「顔のようなものが……」
こういうのをポンポン出されちゃうとどうにも安っぽいというか。「見えない怖さ」のようなものをもっと描いて欲しかったように思う。
パンデミック編
問題作ではないだろうか。
「某製薬会社では生命力を高める代わりに思考回路が欠落する薬が作られていて、それが事故で外に……」
的な都市伝説が現実に発生するルートで、これはなんというバイオハザードですか?というシナリオ。もはや流行り神ではなかった。

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とはいえ「そういうモノ」として割り切ってみれば意外と面白く、ゾンビだらけになっちゃった村の警察署に立てこもる主人公達、食べ物がなくなり焦ったり気が立ち始める人々、命に対する考え方が軽薄に、そして歪んでいく中で、やがて一人がエゴに取り込まれ……みたいな部分が丁寧に描かれてまして、「人の恐ろしさ」が楽しめるストーリーだった。
生け贄編
主人公が監禁されてスナップムービーにされかけるお話。
歪んだ愛を持っていて言うこと聞かないやつは殺しちゃう人と、それを撮影してスナッフフィルムとして一儲けしようとしている2人が犯人なんだけど、この2人の間の利害だけでくっ付いてる関係の隙間を攻めて仲間割れを起こさせ、結果ブリーフ一丁のキモい男同士が殺しあう話に発展する。
ストーリーとしては脱出不可能な閉塞空間から以下に出るかで結構緊迫感あるんだけど、とにかくブリーフ一丁の画のせいで笑えてきてしまう問題作。「ブリーフグラディエーター」という言葉も生まれました。
ブラインドマンも彼らの犯行……かと思いきや、本当の犯人ではないかと思われる人も登場しつつ完全解決しないで物語はエンド。
ストーリーの骨組み自体は好みな感じだったので、ブリーフグラディエーターをなぜ登場させたのかがなんかもう。
死臭編
今作一番の問題作ではないでしょうか。
酒屋のおっさんが人を殺しちゃってその遺体を消すために醤油にしちゃったらその醤油が美味しくて、味を占めて簡単に人を殺して醤油にしちゃう話。
最高にサイコ野郎です。自分の口に入るものを扱ったお話は生理的にくるものがある。
数年前から行方不明事件が相次いでいて、それらはみんなこの酒屋のおっさんが醤油の材料にしていたという……。
ブラインドマンももちろんこのおっさんが犯人だったんですが、うるせーから目と舌を奪ったものの逃げ出しちゃってバレるというパターン。
犯人は単純に頭がキレるというわけではなくて、抜けてるところは抜けてるんだけどこと醤油(と人を醤油に加工する関連)のことに関しては異常にキレるというのがマジでサイコな感じで怖かった。
あとグロかった。
洗脳編
今までとはかなり趣向が変わり、主人公の所属する警察の窓際部署「特殊警ら課」が舞台。個人的には一番楽しめるシナリオだった。
実は特殊警ら課は警察の闇の部署であり、拷問やらなにやらを行うことで犯人に自白させるという怖ろしい部署だったのです。
今回の関本さんはアドバイザーでもなんでもなく、ただ自白を強要されるためにこの村に移された人。
殴られまくり、電気流されまくり、そのあとはドリルで穴を開けられまくって死にます。
「洗脳編」というタイトルが絶妙。
はじめは「関本は頭がキレる男だから洗脳されないように気を付けるんだ」
だったのが、やがて拷問することに抵抗がなくなっていくように主人公自身が「特殊警ら課に」洗脳されていくという流れだった……と気付いた頃にはタイムオーバー。
思考回路を奪われ、機械のように命令されるがままに拷問を行い、ついには関本を殺してしまう主人公。そのまま殺人犯として他の人たちのスケープゴートにされ、黙秘を貫いて、関本と同じ立場で村に戻されることに……。
ストーリーの始まり、関本が言った「次はこの子なのか」という言葉の意味がラストで綺麗に収束していて、後味がいいわけでも解決するわけでもないエンディングであるものの、他のシナリオよりは納得して終わったお話だった。
人形編
オカルト編その2。村に住んでいた伝説の人形師であるお婆ちゃんが作った最後の作品は、その身体に物を縫い付けるとその持ち主を呪い殺す。
「呪いの人形」によって呪い殺される人たち。だけど本筋は「誰が人形に物を縫い付けているのか」を考えるミステリー物的な味わい。
悪霊編と違ってただ理不尽に殺されていくわけではないので(まあ人形に殺されるっつーのは理不尽だけど)、呪いの人形は凶器なんですよね。そのへんが深みを与えていたシナリオではないかと思う。
この話も結構お気に入り。あと人形の一枚絵がマジで怖い。
寄生虫編
村に土着の虫。それはシロアリ的な感じで生きていたのだが、コンクリートメインの建物の爆発的増加によって絶滅寸前であった。
しかし数少ない残された木造建築家屋の地下で爆発的に増加、さらに人体に目と口から入り込んで食い殺し、更に更に増えようとする。
パンデミック編亜種といった感触で、個人的には特筆することもないなあという。
結局国の上の方の組織が動いて、村ごと焼き払い日本中への拡大を食い止めて終了。
唯一関本さんが普通に悪い人だったシナリオだけど、まあそれだけですかね。火炎放射器で焼き殺されるし自業自得。
全体の感想とか
まだ隙間録(ひぐらしでいうTIPSですな)は全部読んでないんであれですが、こりゃ歴代流行り神ファンからすれば批判喰らうだろうなあ、とは思うシナリオ群やシステムだった。
自身の選択肢によって「科学ルート」「オカルトルート」が決まるわけでもなく、かまいたちの夜のような「選択肢によってルートが分岐するだけ」のシステム。
そしてそのシナリオのほとんどはオカルトでも科学でもなく、気持ち悪さを押し出したものがかなり多いスタイル。
とはいえ流行り神ではなくまっさらな新作として発表していれば、グロいしキモいけどそういうホラーアドベンチャーとして素直に受け入れてもらえたんじゃないかとは思う。
流行り神っぽくはないものの、ストーリーの種類には幅もあってグロさに耐えられれば色々と楽しめるというメリットもあって、普通に面白かったのは確かで。
……秘密クラブ編の感想はいらないよな?
いや、洗脳編なんかはプレイヤーも混乱させつつ静かな狂気に包まれていってて非常に秀逸だと思うんですよね。
では最後に人形さんを