仕事終わりに軽くバーへ……というのが割と馴染んできた今日この頃。ホテルバーだと、やっぱり比較的入りやすくていいですな。バー初心者におすすめしたい。
今回は水曜日の夜にバーで飲んだ、ニッカウヰスキーのシングルモルト「宮城峡」について。
おそらく現在一般的に入手できるのはノンエイジの宮城峡だけなんじゃないかな?と思うんだけど、個人的にはこのノンエイジの宮城峡についてはあまり美味しいとは思っていません。
現在の品薄・休売状態に入る前に流通していた宮城峡12年が非常にレベルの高いボトルだった記憶もあり、余計に現在のオフィシャルボトルであるノンエイジ宮城峡に対して微妙な感触を受けている……というのが正直なところ。
ただし今回紹介する、宮城峡蒸溜所に直接行くかネット通販でしか買えない限定品「宮城峡シェリー&スイート」がかなり美味しかったため、もしかして現在の宮城峡は限定ボトルがアツいのでは?という疑惑が高まっているところです。
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そもそも宮城峡はシェリー樽熟成がウリらしいんだけど、一般流通しているノンエイジの宮城峡の場合原酒の若さも相まってなのか、シェリー樽の悪い部分も結構感じてしまう印象。良くも悪くも宮城峡蒸溜所のシェリー樽は独特で、その悪い部分が目立つのかなという感覚。宮城峡自体評価が分かれがちなのはそういう部分も影響していそう。
一方で今回飲んだシェリー&スイートに関しては、同じようにノンエイジ品なので原酒は若いんだろうけど思いっきりシェリー樽に振り切った樽構成のため、自身が持つシェリー樽熟成の悪いところをシェリー樽の美味い個性でねじ伏せているような感じ。シェリーカスクフィニッシュではなくはじめからシェリーカスクでの熟成なので、思いっきりシェリー樽の味わいが出ています。
まあ詰まるところ、シェリー樽熟成のウイスキーが好きならかなり美味しいかと。
レーズンのような甘さのある香りだけでなく、プラム的な酸味のあるフルーツの香りが特に際立つアロマ。
フレーバーも同様で、口に入れて先に感じるのは酸味のあるフルーツ。やがて豊かなベリー系の甘さに塗り変わっていく。
共通して酸味→甘味という移行が楽しめるボトルで、しっかりとシェリー樽ウイスキーでありながらも、酸味はこのボトルならではの強い個性。アルコール度数は55%というのもあり、飲み応えは十分。
ネットで調べてみると、どうも宮城峡のシェリー樽自体の特徴として強いサルファリー香(硫黄っぽい香り)が強いというのがあるらしい。これが先に軽く触れた宮城峡蒸溜所のシェリー樽らしさであり、そして宮城峡の評価がイマイチ上がらない理由な気もします。気になる人にとってはネガティヴな印象でしかないだろうし、硫黄臭。
ただ自分の場合、今回飲んだシェリー&スイートに関して言えばそんなサルファリー香どころではないフルーティーなプラム香とレーズンのような甘い香りが満載だったというのもあって、おそらくオフィシャルボトルだと感じてしまっていたネガティヴ要素が上塗りされていたんじゃないかと。
一方でこのシェリー&スイート、もちろんシェリー樽系が苦手な人はサルファリー香も強くキャッチしてしまうだろうから、ダメな人はダメっぽい感じも。
宮城峡というブランド自体、現在は多種多様な限定品を売り出すやり方にシフトしているイメージ。
今回のシェリー&スイートの他にも、同じシリーズとしてフルーティー&リッチ、モルティ&ソフトというものも。
他にも空港限定販売品の宮城峡や、ピートの効き具合
を変えたボトルなども出しており、原酒不足で年数表記ボトルを用意できない中で色々面白い商品展開を行っている感じ。
使える原酒が若いからなのか、それらをバランスをとりながら合わせて作るオフィシャルボトルよりも、それぞれしっかりコンセプトを決めて尖った味わいに仕上げた限定品の方が美味しいのかもしれない。
とはいえニッカウヰスキー、設備投資なども行い増産体制は整えており、おそらく熟成を続けているものも増えているはず。北海道の余市蒸溜所のシングルモルト「余市」に関しては10年物が今年ようやく復活し、宮城峡に関してもそのうち年数表記のものが復活する可能性はあります。
そうなった時に今のような個性派ボトルのリリースは減少してしまうのか、それとも継続されるのか……意外と現在販売されている限定ボトル、10年後20年後となるとプレミア価格が付いていたりする可能性はありますね。