心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

麒麟がくる 最終回「本能寺の変」感想

ついに来ました最終回。ここでサブタイトルを直球の「本能寺の変」にするのは逆にニクいですね。
正直明智光秀といえば本能寺の変ありきだし、そんな光秀が主人公な時点で「どういう人生の結果本能寺に至ったのか」がコアですしね。

麒麟はくる」のか。
最終回、いってみましょう。

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信長くん開幕から触れてはいけないところに触れましたな。光秀に「足利義昭を始末しろ」の命令は一番まずい。せめて他の人に命じないとさあ……。
「家康がどう出るかを見たいから」宴の席で皆が見ている前で光秀蹴り飛ばしたり、まあ思考回路が全体的に普通ではなくなってますねえ……。

現在、一回捨てた足利義昭にまた心が動いている光秀。本能寺に至る最後の一押しは、信長によるその義昭抹殺命令か……。
「急ぎ藤孝に会いたい」はもう信長を討つ決意を決めて、その後の根回し考えてる感じかな?


近衛前久が全体のおさらいさっとしてくれて素敵やな。松永久秀佐久間信盛
しかし例の宴での一件、すげえ話題になってんな。
伊呂波太夫なんか無責任やなあ。この人がまず光秀に「信長担ぎ出して、義昭の上洛させたら?」って言った記憶があるんですけど。その口で「背けばいいじゃん、光秀が信長ぶっ倒してくれや」とか言うのはどうなの?

「子供の頃のように長く眠ってみたい」という信長。
(おう、永遠に眠らせてやるよ!)みたいな気持ちじゃない、光秀。

「覚悟とは、どれほどの覚悟でございましょう」
「覚悟には、果てはありませぬ」
この回答は……歴史的には結局細川は光秀に呼応して立ち上がらなかったし、ここに来て細川藤孝羽柴秀吉が繋がりあるのがちょっと伏線になってますな。

足利義昭の言葉、正親町天皇の言葉。
光秀、すげえ人との交流がありすぎて、さらにそんな人達からの期待値が高すぎて逆に苦しんでいる感じだ。

ちゃんと娘に対して遺言っぽいことを伝えるシーンあったのはちょっといいですね。
ガラシャは光秀の謀反があってから相当人生苦しむことになったし、細川忠興で2時間くらいのドラマあっても面白そうですよ。

信長を変えたのは戦ではなく、明智光秀じゃん。
これを信長自身に直接言われてしまいました。そうだとすると、信長が道を誤ったと同時に光秀が信長の導き方を誤ったことになる。
なんだろう、責任感によって信長を討つのかな。

「信長様を討ち、心ある者と平かな世を作る」
謀反決断シーンはグッときますな。


菊丸くんが家康の「光秀を守れ」と命令でやって来たぜ。
戦に勝ったら、家康と200年、300年続く世を作りたい。もし敗れても、後のことを家康に頼みたい。うん、これからの結末を知ってるとこれもたまらないっすね。家康が作った江戸は、光秀の意志も継いで長い泰平の世になると。


来たぜェ羽柴秀吉が!
明智様が信長に刃向かう。これすら秀吉にとっては利用できる局面でしかない。
明智様が、天下をくるりと回してくれるわい」
今年の大河、もっと秀吉の出番欲しかったねえ……めちゃくちゃ好きなタイプのキャラクター。あと黒田官兵衛の出番少ねえな。


いよいよ本能寺です。
「十兵衛か……」特別驚くリアクションでもなかった信長。でも泣いてますね。
やっぱ信長、一番信頼していたのは光秀だったんだろうな。
本能寺と信長による「是非もなし」はもはやセットですね。これないと落ち着かん身体になってる。

信長本人の戦闘能力が高すぎるゥ!最終回にしてゴリゴリの戦闘シーン持ってきたァ!!槍も弓も刀も全部マスタークラスやん。
……光秀主人公の話で、信長の方に感情移入して感動するとは思わんかったな。
信長と光秀、若い時の意気投合して同じ未来を目指していたはずなのに、二人の運命の結末は本能寺の変。切ねぇ。
大河ドラマなんだけど、どこかすれ違い青春ムービー感あるな……。ちょっと女神転生とか思い出すわ。はじめは仲間だった少年たちは、それぞれの想いを違えて……だったし。


麒麟は、この明智十兵衛光秀が必ず呼んでみせる」
うーん、そのつもりではあったのか。

柴田勝家は行動不能細川藤孝は動かず。家康は伊賀越え。
秀吉は中国大返し決めて光秀が敗北。
んで3年後……ってこれ全部ナレーションで処理かよぉ……。

明智光秀が生きていると言う噂話と、一人馬に乗り駆ける光秀で完。
だいぶあっさり終わったなあ……。


さて、全体の感想いきますか。
まず、どうしてもコロナによる中断前とその後とで温度が変わってしまった感触はあります。顕著なのは戦のシーンで、コロナ後はほとんど戦の場面がなくなってしまった。信長の行った戦のほぼ全てがナレーションで片付けられたのは残念だけど、まあ情勢が情勢だけに仕方ないかな。

ドライに光秀の生涯を振り返ると、割と信用ならない人なんですよね。主君は斎藤道三〜(朝倉義景)〜足利義輝になりかけて足利義昭織田信長〜ってな具合にゴリゴリ変わるけど、足利義昭織田信長のあたりは一回義昭を捨てて信長を選びながらやっぱり義昭に心動いたり。
「私がなんとかします!」と言いながらなんとかできないことが多かったり。
トータル行動と発言に信頼を持てないんすよね。もしこの人が上司だったらと思うとね。

ラストは光秀生存ルート……と言うか、光秀=天海ルートの可能性はそこそこあるかと思ってたんだけど結果はそこまで踏み込まず「光秀実は生きてるかも」ルートでした。
正直生死どっちに転ぶにしろもっとディープに描いて欲しかったんだけど、随分ラストがあっさり終わって少し肩透かし。

全体的としてはもちろん面白かったんだけど、後半に向かうにつれてちょっとずつヒート感落ちてっちゃってた印象でした。
信長と光秀の関係性の変化とか、信長と足利義昭、朝廷の動きとかそれらをやるつもりならもっとそっちに振り切ってもらいたかったような気もするし、制作側が少し攻め方に悩んでいたような感じを受ける。本筋でいうと蘭奢待のエピソードなんかはいっそ挟まないで、もっと他の信長の戦を通してさらに信長と光秀の関係性が悪くなっていく様子を深めてもよかったと思うし。

なんだか不満点多めに書いてしまったけど、ここ数年の大河を振り返ると「おんな城主直虎」を観ながらちょっと「ん?」となったりした後「真田丸」を堪能して、その後の「西郷どん」は徳川慶喜の扱いが個人的に酷すぎて視聴を打ち切ってしまい「いだてん」に関しては何話か観たけどノリも内容も朝ドラすぎて観なかった……ってな具合で、あくまで個人的にではあるけど外れの年が多く、しかもそれが大外れだったんで今年はめちゃくちゃ面白かったです。
……でも肝になった本能寺を起こした理由が複合的どころか理由山積みすぎたなこれ。逆に信長はなぜ警戒してないんだレベル。


始まる前はちょっと不安だった染谷将太織田信長は始まってみたらめちゃくちゃハマってたし、佐々木蔵之介版秀吉は表裏が怖いすげえキャラクターだったし、本郷奏多近衛前久はそのまま近衛前久だったし。斎藤道三は分かりやすくカッコ良かったし。……ちょっと駒さんとか東庵先生のパート多すぎたかな。
人物の新解釈的な設定も入れつつ、でもそれらが面白く物語に作用していたと思います。
総集編みたいなまとめ編集版の放送とかあったら是非観たいですね。


次の大河は……どうしようかなあ。
幕末〜明治となると「西郷どん」のマイナスな思い出が……。とりあえず何話か観てみて、あんまり軽いノリすぎたら自然と観るのやめる感じになるかなあ……。