ゴルゴ13 (Volume99) 沖縄シンドローム (SPコミックスコンパクト)
- 作者: さいとう・たかを
- 出版社/メーカー: リイド社
- 発売日: 2006/12/28
- メディア: コミック
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愛読書「ゴルゴ13」の中に、沖縄シンドロームという話がある。
琉球王家の血を引く自衛官・伊波天臣は、戦後ずっと日本とアメリカに抑圧され続けてきた沖縄を解放するべく、軍事クーデターによる沖縄の独立計画を秘密裏に立案していた。
沖縄出身の自衛官を中心に、約3000人の自衛官がこれに同調、さらに伊波は大企業である菱井グループとも連携し、独立後の経済的な優位性も確約しての作戦だった。
今や世界最高水準の軍事要塞と化した沖縄の米軍基地を電撃的に襲撃し、その武装ごと一晩で奪取。翌朝には菱井グループのトップも動き出し、独立した沖縄に産業を積極誘致することで世界にアピールしていくというもの。
ゴルゴ13と在日米軍の連携によってクーデターは未遂に終わり、伊波・菱井グループのトップも始末され、幕は閉じる・・・。
「平和」とは何か。
非武装中立を明文化している「憲法」とは何か。
そんなことを考えさせられるエピソードである。
この手の話をすると、とにかく「戦争はいけないんだ!」とか「お前は戦争推進派か!」とか、そういう意見が飛んでくるのだが、そういう是非で物事をとらえようとしていないのでお門違いな返答は困ります、とだけ。
私たちがこうやってネットで気軽にブログ書いたり読んだりできるのは、戦争中の情報通信技術の急激な発達によるものだということを知らないのに、一種の戦争の産物であるネットワークを活用して「戦争絶対反対!」みたいな話されてもってところがあるので。
とりあえずまったくまとまりのない話をつらつらと。間違っている部分も多々あると思いますが、ご容赦ください。
日本という国の特殊性
日本は第2次世界大戦に負け、米軍の駐留と自国の軍隊を持たないという特殊な状態で国防を続けることになった。
「非武装状態で戦争を防ぐ」というのは、世界的に見ても明らかに不自然な事態である。
同じ中立国のスイスは、思いっきり「武装中立」をしている。
日本のように、「駐留している同盟国の軍隊が守ってくれる」という状態ではないので、自国の軍隊がものすごく強いのである。
基本的に平和というのは、「国同士の戦力の拮抗・バランスによって保たれている」のが事実だろう。
たとえば日本を攻撃したいと考える国があるとする。
「日本と制圧して植民地化できれば、技術力などが手に入って産業大発達だけど、米軍と自衛隊を合わせた軍事力はすさまじいし、今の世界情勢で日本を攻撃してしまうと我が国の立場は相当危うくなるよなあ・・・」
という理由で、結局攻撃を実際に行った際のリスクとリターンが合わないから実行しない。そういう利の話で攻撃を受けていない。海外側の立場になればそういうものだろうし、そこには基本的に日本国憲法は関係ないと思う(日本を攻撃するとほかの国から「あの平和を尊ぶ日本を攻撃したのか!」と非難されるのが損失になる、という程度の含みはあるだろうが)。
「日本国憲法があるから日本は平和なんだ」なんて本気で考えている人がいるなら、それを感情や心情を含まず理詰めで説明していただきたいものだ。
日本が対外的にとりあえず平和なのは、世界でも最高クラスの年間軍事費がかかっている自衛隊と、加えて米軍の恐ろしく強力なバックアップに手が出せないから、と考える方がはるかに自然だと思うのだが。
それでも憲法はあった方がいいと思うの
最近は「9条を改正してしまおう」なんて話も聞いたりするが、それはまた違う話なんじゃないかと思う。
自衛隊はもはや「軍隊」に名前を変えてもいいとは思うのだが、戦争の放棄をうたう9条に関しては、これ自体が一種の武装的効果もあるしあった方がいいと思っている。なによりこの憲法は対外的というより国内に対していい効果があると思うからだ。
「うちの国は戦争しないって決めてるんだ」
っていうのは、やっぱりそれなりに誇りになる。でももちろんその裏には「だけど、そっちがかかってくるってんなら俺たちは全力で戦うぜ」という気概は必要だ。それがなけりゃ「日本は戦争しないらしいぞ。一方的に攻めて奪える!」になってしまう。
そのために自衛隊がいて、米軍がいる。
ここまで書いてて思ったが、もはや憲法がなければスイスの国防と同じじゃないか、これ。
精神性の高さ、日本人らしさ。そういうものの結晶なのかもしれませんね、憲法。
あとは言ってみれば、戦争で亡くなった方々への一種の鎮魂なのかもしれない。
戦争はないほうがいいけど、過去の戦争には意味があったはず
確かに戦争なんてない方がいいに決まってますよ。こんな大規模で同族で殺し合いをするのは人間くらいだろうし、いかに人間という種族が狂っているかのメタファーだと思います、戦争。
それでも今の我々がこんなに便利な生活をしているのは「戦争による各種技術などの進歩」のおかげであって、私たちはたくさんの人の命を代償に生み出された文明を、さも戦争は関係なかったかのように使っている。
こんな図々しい話があるだろうか。
過去の戦争に意味はなかった、なんて言ってしまったら、過去の戦争で戦い死んでいった人たちそのものを否定しているようで申し訳なくなる。この感覚は実際に戦争を経験していないからなのかもしれないが。
「軍師官兵衛」を観ていて思うが、残虐だと言われる織田信長だってその行動原理は「日本統一、新しい秩序の構築による平和の実現」であって。彼の人生、彼の行なってきた戦争には意味があったはずだ。
あれだけの経済感覚、政治手腕を持つ男が、ただ大量殺戮を楽しんでいただけの男というのは考えようがないというか。
「あんなにたくさんの人が死んだようなことに意味なんてない」とは、私は言えない。
戦争を知らない若輩者の戯言でありました。