心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

べらぼう 第40回「尽きせぬは欲の泉」感想

前回はついに身上半減の刑を受け、蔦重の財産が文字通り半分持っていかれました。暖簾や看板まで律儀に半分カットするのは実に松平定信らしかったですが、商魂たくましい蔦重はそんな「世にも珍しい身上半減を受けた本屋」として耕書堂を再度売り出した……というのが前回。

今回からいよいよ葛飾北斎が登場。
変わり者の北斎を演じるのは、お笑い芸人のくっきー!さん。実際に絵も上手いながら、独特のセンスと世界観を持つくっきー!演じる葛飾北斎はそもそも親和性は結構高い気がします。
出番としてはどのくらいあるのか分かりませんが、もしチョイ役だとしても結構印象強そうで楽しみです。

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「人は正しくではなく、楽しく生きたい」
「縛りを緩めてくれませんか」
この諫言に対して、むしろ自分のやり方をさらに厳しく進める方に舵を切る松平定信
……これはそろそろ、一橋様の堪忍袋も限界来てないか?

蔦重の方は、あっという間に身上半減ブームは落ち着いてしまいました。
鶴屋さんの見立てがなかなか鋭いですね。身上半減の狙いは、店を潰すでもなく半分だけ財を取り上げることで、蔦重に強制的に倹約をさせること。強いては江戸でもトップクラスの本屋が倹約しているところを町人に見せること……というのはありそうっちゃありそうな視点です。
あとここ数話、めちゃくちゃ鶴屋さんの出番増えてますねえ。ビジネス面では蔦重に協力しつつ、諌めるべきところでちゃんと諌めるありがたい存在になりつつありますね。

山東京伝先生、本を書くことからは引退するつもり。
代わりに京伝先生が紹介した人間は滝沢……これは後の滝沢馬琴かな?
そして津田健次郎ボイスはやっぱいいっすね……。
とりあえずお手伝いとして雇いつつ、滝沢先生の筆を見る蔦重。なんか過剰な自信家ですね、滝沢先生。蔦重に対しても敬語使えないのか。

そこに来ました葛飾北斎である。まだ葛飾北斎ではなく春朗ですが。
クセ強いなあ……。クレイジーすぎるぜぇ……。
そんな曲亭馬琴&葛飾北斎を組ませて作品を作らせる蔦重である。
完成まで話はポンと進んでしまったけど、この二人が作品を作るまでのドラマ部分が観たかった感あるな。

いや……定信さあ。
自分で散々取り締まっておいて、本心では「今出版されている書だと物足りねえなあ……」って思ってしまってるじゃんね。

蔦重は歌麿に女の大首絵を描いてもらいたい。
今の歌麿になら、女性の表情を描き分けられると。
幸か不幸か、母親だったりおきよさんだったりを失ったが故に得た歌麿だけの絵なんだよな、これ……。

蔦重は大首絵のモデルになりそうな美人を探して町を巡ります。滝沢先生、町娘たちから鬱陶しがられてるけど本人が気付いてないの残念男子すぎますね……。

久しぶりに兄ちゃん登場!巷で流行りの人相学を歌麿説得の武器にして、栃木まで蔦重がやってきた!
「お前は鬼の子なんだ」じゃなくて、その後の「生き残って命描くんだ」の方が大事なワードだったんだよな……。

歌麿はおきよさんのためだけに生きていた。
そのためにちゃんとしたいから、蔦重の仕事を受けていた。おきよさんを失った今、蔦重の下で働く理由がない。
……という話なのでそこはもうなしで、本屋と絵師の関係として仕事の依頼モードにチェンジした蔦重である。

「おきよさんは、歌麿が絵を描かなくなることを願いますか?」
という話を枕にしつつ「純粋にお前が描きたいのかどうか、自分の心で決めてくれ」という話になるのはなんかズレてるような気がしないでもない。
ともあれ、とりあえず歌麿は江戸に戻ってきて大首絵を描くことに。

あれ……山東京伝、周囲にうまいこと焚き付けられてるなあ。
歌麿が帰ってきて新作出したら、山東京伝がいなくても埋まるな!」は京伝先生もなんかモヤモヤして「俺も書きます!になるフラグじゃないか。

相変わらず蔦重のオーダーは容赦ないですね。
そのオーダーを聞いて、歌麿は何度もリテイクを繰り返す。
ワガママ極まりないけれど、やっぱり繰り返すうちに作品のクオリティは高まりますね、歌麿作品。

あっ……これは……。どう考えても山東京伝先生を復活させるための宴会じゃねえか完全に。
お調子者の京伝の扱いに慣れてるなあ。この計略を組んだのはやっぱり鶴屋さんでしょうか。
結局予想通り、書き続けることにした山東京伝である。

喜多川歌麿山東京伝も、その内側にある「作品を作りたい」という欲望は尽きない。
今回のストーリーは素直にタイトル通り、作家たちのそんな芸術家としての欲の話だった感じですかね。


次回「歌麿筆美人大首絵」。
いよいよ歌麿作品が出版でしょうか。
そして「からまる」の名で優しく呼びかける母。蔦重が吉原に預けられることになった真実が明かされるのか……?