本日は昨年末に飲んだカクテルのお話。
昨年は27日が仕事納めでした。
前日の体調不良は初期段階でしっかり栄養を取る&早めに寝ることで回復したので、仕事終わりにはそのまま行きつけのバーの方も納めにいきました。
店に入るその時、チラリと雪が舞ったのでオーダーは雪国。
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雪国は本当に美しいなあと思うカクテルの一つ。
温度が下がると白濁するコアントローに、北の寒い国で作られるウォッカ。そこにライムジュースが、コアントローの淡い甘さの中に寒い雪国を連想されるキリッとしたキレを与えます。
グラスの縁はまさに雪をイメージした砂糖をまぶした、文字通りの「スノースタイル」。さらに雪を思わせる白い酒に満たされたグラスの底には、冬の先に訪れる春の芽吹きを思わせるように緑色のミントチェリーが沈む。
ストーリー性を感じる、実に綺麗なカクテルです。
見た目も味も「雪国」という名前も、見事に調和しているなあと思う一杯。雪国の冬だけでなく、その先の春まで表現されているのがすごく好きなんですよね。
誕生したのは1959年、山形県酒田市。
喫茶店&バーであるケルンのマスター、井山計一さんの手によって生み出された、日本で誕生したカクテルの中でも世界的に最も有名なものの一つだと思います。
雪国には、個人的に少し悲しいというか悔しいというか、そういう思い入れがあります。
実は10年以上前に、酒田には旅行に行ったことがありました。
当時は全くカクテルに興味なんてなく、雪国というカクテルの存在は当然知りませんし、ケルンという知る人ぞ知る伝説のお店が酒田にあることも知りませんでした。だから普通に歴史的情緒のある酒田の町並みを観光して帰ってきたわけですね。
そんな酒田旅行から年月が経ち、ウイスキーを発端に本格的に洋酒に興味が出てきた頃に、酒田にケルンというお店があることを知ります。
しかしその数年後、既に高齢だった雪国の考案者である井山計一さんは世を去ってしまいました。
現在は店も移転され、息子さんが跡を継いで営業をしているケルン。しかし、酒田へ旅行に行った時にもしも自分が既にカクテルに興味も持っていたなら……そのカクテルを生み出した井山さんが自ら作ってくれた、本当の意味でオリジナルの「雪国」を味わうことができたのに……と悔やんでしまうのですね。
井山計一さんが亡くなってしまった以上、その味を知ることはもう2度とできない。飲んでみたかった。
調べてみたら当時のケルンの位置は、自分が宿泊した宿の割と近くだったことと悲しさに拍車をかけます。夜中にちょっと外出すれば、10分足らずで飲みに行けたんだよな……。
やりたいと思ったこと、食べたい・飲みたいと思ったお店。
そういうものは自分の都合じゃなくて、その対象の方がある時永遠に失われてしまうことも多いです。
思い立ったら早いうちにアクションを起こすの、本当に大事だなあと思います。ケルンに関しては当時の自分がカクテルに興味を持っていないので仕方がない部分もありますけど、今興味を持っているけど実行に移していないことはどんどんやっておく方がいいんだろうなって。
仙台だとラーメン屋さんとか新店が続々オープンする一方で、同じくらいラーメン屋さんが閉店したりもしてますからね。「今度食べに行こう」でステイしていたら、食べる前に閉店しちゃったなんてことは普通に発生する世界。そういうものは早めに食べないと、ケルンのように後悔することがどんどん増えちゃうからね。