心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

光る君へ 第46回「刀伊の入寇」感想

時代的にも主人公的にも、日本史としての戦的な出来事にはほとんど触れることのなかった今年の大河ですが……あと数回で終わるという最終盤において日本が海賊に襲撃される「刀伊の入寇」がテーマに。

女真族系の海賊が対馬壱岐を襲撃、そのまま九州にも攻撃を仕掛けてくるという、あまり教科書などでは大きく扱われない気がしますが普通に一大事です。
ドラマ的の脚本的には藤式部をこの事件の当事者とすべく太宰府へと旅をさせたのでしょう。

ただ、今回の主役は藤原隆家かなあさすがに。この日本という国家の危機において、九州の武士団を指揮して襲撃を撃退した英雄、それが藤原隆家です。

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太宰府で周明と再会。何年振りなんでしょうか、これは……と思ったら20年前ですって。ただ、いくらドラマとはいえ二人とも外見が変わってなさすぎでしょ……。

周明から伝えられた「目の病を治す名医」。これがまさに隆家の眼を治してくれるのかな?
そして周明の執りなしで、太宰府政庁に普通に入れてしまう藤式部である。
んで20年前に習得した宋の言語を、会話ができるレベルで維持している藤式部よ。

太宰府編の再会密度高いですね。
双寿丸にも再会。さらにそのまま隆家にも再会……再会?そういや藤式部と隆家は直接的な交流は今までなかったのか。

「宋の国の茶という飲み物だ」。
これがなかなか新鮮ですね。現代人の感覚だと、むしろ茶は「日本の飲み物」という感覚です。

しかし隆家、太宰府に来て目も治ったことで、その本来の豪放磊落かつ面裏のない人間性が覚醒していますね。といかこのタイプの人間、まさに武者のような人間に好かれるやつ。
まあ代わりに繊細な心を読むことは逆にないから、ゴリっと「道長が出家したようだ」とか「女一人で太宰府まで来るんだからなんか訳アリだろ、好きなだけ滞在しろ」とかもはっきり言ってくるけど。

こうやって藤式部と周明の会話、20年の時間を感じるな。
「お前の物語は、人を動かしたのか」
これは良くも悪くもだなあっていう。彰子様とかは完全に良い方向に動かしてもいますからね。
源氏物語』が朝廷内で動かしたものは確かにとんでもない。ただ、これって藤式部本人が理解しているよりも相当大きな影響だったんだろうなあって。

藤式部がそろそろ太宰府を発とうかと考えていたその頃、いよいよ刀伊の入寇が始まりました。
隆家は武者を博多へ集め、本土防衛戦の構え。
「決して無駄死にはするな!」この一言が出るのは隆家カリスマポイントが高い!

しかし刀伊の入寇、よく撃退できたなあと思います。
正直日本史において、数少ない平和ボケしていた時代だと個人的には思っているんですよね、この頃。
これが戦乱に明け暮れていた鎌倉以後の時代なら全然分かるんですが……。
あと今回の戦闘シーン、時代考証的にはどうなんでしょうか。元寇の際に武士は名乗りを挙げて……というルールがあったと思うんですが、今回の隆家側から弓を射って開戦っていうのは正しかったのかどうか。逆に平安時代の武士だと、そういう武士の戦いルールが逆になかったんですかね。

周明くん、道長と藤式部との関係をずかずか踏み込んで聞きすぎやろ……。
こうやって言語化されると、藤式部の思考が複雑すぎる。
「もう私には何もないもの」と藤式部は言いますが、本当にそうなのかな。
「私はもう終わってしまったの。終わってしまったのに、それが認められないの」
「書くことが全てだった」
なんかアレですね。藤式部さん、こうなると「書くこと」に縛られてしまっている感もある。もっと自由でいいんですが。
周明、書くこと自体を否定しないで「書くことは本来もっと自由だろ」ってことを伝える感じで道を示すの熱いなあ……。

なんかそうなる気はしていたけど、周明くんが目の前で命を奪われる!
今回の終盤、すげえ速度感でしたね。双寿丸は生き残るが、周明は亡くなるのか……。


次回「哀しくとも」。
道長、いよいよ倫子様から直接的に藤式部との関係について詰められそう。