心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

光る君へ 第35回「中宮の涙」感想

道長は御嶽詣へと向かう中、これを機とばかりに伊周は不穏な動きを見せる。
一方で前回、藤式部との交流の中で何かが変わった彰子様。そんな心境の変化がストーリーの核でしょうか。

振り返ってみると、やはり彰子という人物は箱入り娘すぎて何も分からないというのが正確なのかもしれません。
一条天皇に嫁ぐ前からめちゃくちゃ内向的な理由は分かりませんが、一条天皇との関係性が進展しないのは、そもそも彰子様の人生経験値があまりに少ないから「どうすりゃいいのか分からん」というのが原因なのは前回で明確に描かれたように思います。
源氏物語』と藤式部自身のお話を聞く中で、そういった部分が補完されて自分を表現できるようになっていくのかもしれません。

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道長の旅立ち。そしてそんな道長からもらった扇子を握りしめる藤式部。なんかそろそろ恋愛感情を超えた何かになっていて欲しいんですが、実際めちゃくちゃ複雑な関係性だし、複雑な感情ではあるのでしょうね。

え……これ伊周くん、直接道長に襲撃をかけようとしてます?
そして、何か勘付いているっぽい隆家。これは隆家ディフェンスの伏線でしょうか。

道長の御嶽詣、その旅路はひどい雨です。
現代のような舗装は当然されていないし、御嶽詣だけじゃなくて昔の様々なこういった行事、命を落とす人もかなり多かったんだろうなあ……。
道長くん食欲不振。普段運動しない人がこのレベルの運動を急にしたらそりゃ身体が保たんわな。

源氏物語』を読んでは、藤式部の元へと向かい作者本人の解説を聞きにきているのでしょうか、一条天皇
会話の内容的には、物語そのものの解説を通して人生相談をしているって感じですけどね。
道長の命を懸けるほどの娘を想う親心、一条天皇には分からない……。

崖の登攀もあるのか、御嶽詣。リポビタンDみたいな「ファイト一発!」っぽいシーンでしたね。
9日かけて目的地に到達。すっげえ荒行ですね……。

そして伊周が狙うのはその帰路!というかこの人、現場にまで出張ってるのか。
た……隆家ッ!!こいつマジで最高だぜ!やはりパーフェクトディフェンス!
まあ伊周からすると、隆家が弓を花山法皇に放ったのが発端ではある。隆家は隆家でそれを理解した上で、兄・伊周のことを想うが故の妨害な訳ですね。
復讐に囚われた伊周を解放してあげたいんでしょうけど、ここまでくるともう伊周の心を変えることはできなさそうな気がします。道長を潰すためだけに生きているからなあ、今の伊周。

道長が帰ってきた頃、藤式部は『源氏物語』の新巻を書き上げていました。
この状態で読み始める道長。この巻はガッツリ自分と道長との過去をベースに書かれているようで。
源氏物語』を通して、賢子が道長との子供であることが暗示される。

なんか久しぶりな気がする和泉式部パート。愛する親王様が若くして亡くなられてしまいました。
まあ連続して先立たれると、自分が元凶なのかと責めてしまうのも分かりますね。人は全てのことに原因や理由を求めるものらしいです。「なんか分からない」というのが一番恐怖らしいですね、人という生き物は。
和泉式部に「在りし日の親王様との日々を書いてみては?」と提案する藤式部。そういや清少納言にも「書いてみたら?」みたいなこと言ってた気がするし、このドラマにおける藤式部、他の作家が生まれるきっかけになってて影響力すごくないですか。日本文学史の超重要人間では。

奔放な弟の面白エピソード、これすら藤式部の話のタネになりそう。一瞬「あっ!」みたいな顔してシーンが切り替わった感じ、早速閃いてるような……。

今度は『源氏物語』を通じて、彰子様の人生相談が始まる。
登場人物を自分に重ね合わせて、その人物を「光る君の妻にしてあげてほしい」という彰子様。
それはつまり、彰子自身が一条天皇の「本当の妻」になりたいということ。藤式部、おそらく彰子様が自分でも言語化できていなかった心を整理してあげたんでしょうけど……。
ここすっげえ切ないな。泣きながら「お慕いしております」っていう一言。最高に不器用な伝え方ゆえに、最高に一条天皇の心に刺さったようです。

初めて2人で、心を開いてお話をしているんだろうな、これ。ここまで長かったなあ……。
一条天皇の方も別に嫌いだったわけではないだろうし。これもまた「彰子が何を考えているか分からない」のが原因だったと思います。
彰子の涙は、一条天皇が初めてみる彰子の剥き出しの感情だったのかもしれません。そういや定子様は正反対というか、よく笑う感情のハッキリした人物でしたし。

道長的には藤式部に頭が上がりませんね。
そして道長と藤式部の会話を、影から盗み聞きする女房が1人……。これはヤバそう。倫子が怖い!!


次回「待ち望まれた日」。
一条天皇と彰子様との間に子供が産まれるのがメインでしょうか。
一方久しぶりに清少納言が登場するみたいだけど……現在の清少納言はどういう状態なのか。伊周に同調して闇堕ちしているままだとすると、なかなか厄介なことになりますが……。