オリエンタルラジオの中田敦彦氏が、松本人志氏の名前を出しつつ現在のお笑い批判をして賛否両論を受けていますが……というか、大筋失笑されているような感じがありますが。
まずこうやって松本人志批判を展開しているそれ、すでにその松本人志が若い頃に通った道なんですよね……という。「チンピラの立ち話」と横山やすしに酷評されたダウンタウンの漫才ですが、今ではお笑い界のトップにいるわけですから。
まあ、なんだ。器の違いをまざまざと見せつけられている感じがします。「テレビとかYouTubeとか関係なく2人で話そう！連絡待ってます！」がまっちゃんからの返事。格が違いすぎる。
片やお笑いで戦い続け、頂点まで登り詰めた人。片や実質お笑いから身を引いているのに、本人には直接言わずに動画配信で批判する人。
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以下思い付いた順にだらだらと書いていきますのでまとまりもなく、散文的になりますがご容赦ください。
で、中田敦彦氏。
どうも今回の一件だけならず、かつて「アメトーーク！」で取り上げられた学生時代なども踏まえると、この人の基本的な原動力はコンプレックスなんだろうなあと思っています。
多分、どこかで「松本人志になりたかった」んだと思うんですよ。そしてそれは今もね。今回批判していたけど、前提としてはまっちゃんのこと大好きだと思うのよ、あっちゃんは。
今回松本人志批判を展開しているが、やっていることは「かつて松本人志が既にやったこと」なのが少し痛々しいほど。
「中田で笑うには結構知性がいる」なんて宣っていたようですが、これもかつて松本さんが自著の中で「バカには自分のお笑いは分からない」といったニュアンスのことを書いているから、これすら批判しているはずの松本さんと同じっていうね。
もう一回書くけど、ここまでは松本人志も中田敦彦もある種では同じことをやっている。
ただしここから松本さんはお笑いの中で戦い続けて登っていったのに対し、中田さんはすでに半ばお笑いから身を引いたような状態でなんやかんや言っているわけです。
この状況まで理解した上で「ちゃんとお笑いで頑張っている」相方の粗品の名前を出されたら霜降り明星のせいやもそりゃキレるわな、と思う。オメーとウチの相方一緒にするなよと。
実際デビューして早々に武勇伝ネタで一気にブレイクした時に、若さもあって自分には才能があるんだ、お笑いの天才なんだ……みたいに勘違いしたんじゃないでしょうか。そして何より「松本人志みたいになれるかもしれない」と。
そしてどこかで「松本人志にはなれない」と気が付いてしまった。でもそれをその通りに受け入れることができないようなプライドも抱えてしまっている。若い時に大成功してしまったから、本来挫折から色々学ぶべきタイミングで学べなかったような気もする。
そうなった結果が「松本人志批判を、その松本人志がかつてやったように行う」みたいな自己矛盾なんじゃねえかなって。
どうやってもリスペクトや憧れも消せない。でも同時に全く歯が立たなくて悔しい。この複雑な感情はまさにコンプレックスだと思います。
そもそもの経歴から考えると、人生におけるベースは劣等感とコンプレックスなんだと思います。それを糧にしてここまでやってきた人。
だからめちゃくちゃ勉強してきたんだろうしね。学生時代イケてないグループにいたから、何か武器が欲しくて勉強する。
イケてないグループに所属していたことのコンプレックスから、お笑い芸人になるし芸風は武勇伝やパーフェクトヒューマンといった「中田敦彦という人間はスゲェんだぞ」とアピールする内容。
そうやってお笑い芸人として一度は成功したけど現在は芸人としては見向きもされなくなって、コンプレックスから松本人志批判。
自分にはこういう感じに見えて、結構悲しい人だなあって。自分からすれば十分すぎるほどの成功者なんだから、今持っているもので満足して心穏やかに仕事にプライベートに生きればいいじゃない……としか思えないんですよね。もうよくない？あっちゃん、生きてて苦しくない？という感じ。
プライドも変に高いのでこれが邪魔をする。基本的に自分の非を認められないんですよね。
だから動画からモーツァルトやドストエフスキーに関して発言した部分は“こっそり”削除します。「あれは言い過ぎでした、すいません」とかはできない。
素直に「勝手に粗品の名前出して悪かった」も言えなくて、それどころか「せいやの口が悪くて……」という話にすり替える。
Twitterで「あっちゃんは自己評価が高すぎる」というのを見て、ダニング=クルーガー効果を少し思い出したりして。
もちろん中田敦彦氏、かなり優秀な人物だと思います。自分の強みを理解してYouTubeで成功しているし、それこそ話術は上手いからこそ「アメトーーク！」などでも（かつては）重宝されたのだろうし。
ただ、実際の能力よりもだいぶ高く自分を見積もっているんじゃないかなあとは感じますね。そして同時に、自分を批判する人を下に見る傾向がある。
そうじゃないと咄嗟にモーツァルトやドストエフスキーと自分を同列に語るなんてことはできないよ。
「松本人志」という権威に対して苦言を呈した中田敦彦氏。
ただ、今回のそれがそんな松本人志をなぞる動きであること、モーツァルトやドストエフスキーの名前を出してくることなどから考えるに、権威に反発しているように見えて本質は実に権威主義的な人なのかもしれないなあと思うわけです。
そして何より、自分がその権威側になりたいという欲求が終始見え隠れするので、見ていてちょっとキツい。本当は権威の力が大好きなんだけど、自分がその権威側になれないので辛いんだろうなあ。
最後に中田敦彦氏が展開した批判自体に対して少々。
「松本さん、いくつか審査員やめてもらっていいですか？」とのことですが、そもそも松本さんが自分から「審査員やりたいです」と言ってやってないでしょ。この論法なら正すべきは松本人志ではなくて、それを重用し続けているメディアですよ。
何より、単純に「松本人志を超えるレベルの芸人が今まで現れていない」だけで。「ちょっとそこどいてもらっていいですか？」で席を空けてもらって座ることになんの意味があるんですかね？芸人として批判するなら、自分の力でもぎ取れよと思うんだな……。
言っている人も結構いたけど、中田敦彦主催のお笑い賞レースでも開いてみたらええんちゃう？はホントにそう。ここまで言ったんなら自分で「松本人志の影響が存在しない空間」を作ったらいいじゃんっていう話なのよね。残念なことにそれができるほど周囲の人から愛されているとは思えないし、その賞レースに参加したいって芸人がどの程度いるのかも怪しいものですが。
やっぱり総合的にかわいそうな人だなあ……という印象。
正直中田敦彦という人物を自分はあまり好きではないですが、世間からの好き嫌いは分かれつつも成功しているわけですよ。
彼にしかない力でここまで成功できているのに、松本人志だとかモーツァルトだとかドストエフスキーといった権威に対しての向かい方が間違っているように思います。違うアプローチで成功しているんだから、そういうのを引き合いに出したりしないで生きればいいのに……と思います。
中田敦彦は松本人志にはなれないけど、松本人志も中田敦彦にはなれないんだから。
ベースが劣等感やコンプレックスなので、誰かとの相対軸でしか自分を肯定できないのかな（劣等感やコンプレックスは他者との比較から生まれるのがほとんどだと思います）などと考えてしまい、結構心配になる。この辺考えると、精神的に幼い部分が残ったままなのかなとは思いますね。
