ラーメンてぇのはな
なんでもアリなんだよ…………!!
ブログというものをはじめたばかりの頃に一度書いたマンガ「ばりごく麺」の記事を先日発掘してしまいまして、最初期の執筆記事ということもあり中身のペラペラさに辟易しながらその「ばりごく麺」を読み返したんだけど
改めて殺傷力凄い。
「哭きの竜」「月下の棋士」などで知られる画力半端ねえ+独特のセリフ回しと濃厚すぎるキャラクターたちが暴れまわる作風が魅力のマンガ家・能條純一さんが手掛けたまさかのラーメンマンガ、それがばりごく麺。
最近では繊細なヒューマンドラマなども描いたりしていてそれまた味があっていいんだけど、個人的には能條純一作品とは「尖った、尖りきったワールドに読者が巻き込まれるようにして、意味が分からないまま楽しむ」カタルシスにあると思ってます。
ばりごく麺1巻に書かれた初版発行日は2008年10月22日。比較的近年の能條作品でありながら衰えぬエッジ感。それはばりごく麺の端々に「名セリフ」として表れているのだ・・・。
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まずかったーっ まずいが…最後の一滴まで変わらぬまずさが痛快だ!!名付けて痛快ラーメン
長いけど一つ目はこちら。第1話からこれですよ。
このマンガはラーメンが好きなだけの若者がその才能を開花させつつ成長していく物語であり、またそれを導いていくラーメン界伝説の男の物語でもあり、まあ要するにダブル主人公的な部分があるんだけど、この「ラーメン界伝説の男」榊原麺太がザ・豪放磊落なわけです。そんな麺太さんの作中第一声がこれ。
言ってることは相当ひどいんだけど、その太陽のような明るい人間性が陰湿さを取っ払っている名言。
しかし「麺太」ってすげー名前だな。
バカヤロ!!うまい時は能書きたれずにガムシャラに喰え!!それがラーメンだ!!
いいっすねー。ばりごく麺ワールドの名言たちは実生活で使える場面があんまりないけど、これは普段使いできるいい言葉。
海原雄山と麺太さんが激突したら確実に喧嘩になる。
頭で食うな、魂で食え。
それがラーメンなのだ。
ラーメン…湯切り…命!!
伝説の男・榊原麺太の最大の技は湯切り。
「龍鱗麺…
秘技 湯切りを以て
麺に龍の鱗を刻む……!!
龍は皆
鱗にいっぱいの湿り気を纏って天を行く……!!」
榊原麺太の湯切りは、麺の表面に龍の鱗の如くわずかな傷を刻み込み、そこにスープが引っかかるようにたまり、ラーメン全体が一体化するという絶技。
ここまで湯切りにフォーカスしたラーメン漫画なくね?そして表面が傷付く湯切りが本当に正解なのかが疑問になりつつも、そんなものは圧力で押し切るのが能條イズムだ。
私はあなたを殺す…………!!
これラーメン漫画のセリフなんだぜ……?
中華料理界の若きホープ、李玄武。ふと立ち寄ったラーメン屋で食べた豚骨ラーメンのあまりの美味しさに、自身の輝かしい未来への一点の翳りを感じた彼は豚骨ラーメンを作った麺太に「殺す」と言い放つ。
……この後は料理バトル漫画定番のラーメン対決になるんですが、やはり極道世界を描いたりしがちな能條先生らしい表現でラーメンバトルを演出してきます。
うまい料理とは舌は忘れても 一度口にした者の脳裏に焼きついて離れない……!!
「食べた者の人生に一点の…足跡を残す料理のことだ!」
ちょっと長いんですけどこの一連の言葉、なかなか深い。これはラーメンで麺太を殺そうとした李玄武のお爺ちゃんの名言。
「食べた者の人生に一点の足跡を残す料理」。この表現、痺れる。
ラーメンに言葉はいらねぇ 作ったラーメンが全てを語る!!
ばりごく麺・人情編からの出典。
ばりごく麺のいいところはラーメンバトルもありつつ、基本的にはラーメンをフックにして色んな人間ドラマを解決していく所にあると思ってるんですがこの言葉もそんな名言。
これから実家の新潟に帰るという店員の女の子との別れの日に、どうやって見送るか……そこで「別れの一杯」を作り、送り出してあげる。
いやね、無理やり感あるけど結構いい話ですよこれ。
ラーメンとは…ささいにして…しかし…最高に美味なるもの!!
麺太さんに「あんたにとってラーメンとはなんだ!?」
と聞かれた北海道のラーメンチェーン店社長が答えた言葉がこの名言。
「バカヤロ!!いい答えじゃねえか!!」
麺太さんがそう返答するけど、こりゃ誰でもいい答えじゃねえか!と言いますわな。バカヤロ!は言わないけど。
ケンカするンなら“味”でしろ!!それが真のラーメン屋だ!!
ラーメン屋同士のいざこざ。
それはもちろんラーメンで解決だ。
「ケンカするンなら味でしろ!!」は料理漫画の王道らしい気持ちいい名言です。
全てラーメンで解決ってぇのはどうだ……!?
これは究極の名言です。
土地の買収問題で、力で買収しようとしている側の事務所に乗り込んで「全てラーメンで解決ってぇのはどうだ……!?」
どうだって言われても困るだろ。だけどラーメンで解決しちゃうのが榊原麺太なのだ。
まとめ
全4巻の短めの作品ですがそれ故に気軽に読める能條イズム。
「鬼才・能條純一が、ラーメンを通じて男たちの人生を描く!!」
「男たちの誇りを懸け、とんこつラーメン対決が始まる!!」
「北の港町・函館を舞台に、ラーメンにとりつかれた男たちが暗躍する!!」
「ラーメンとともに生きる、男たちの不器用で真摯な生き様を見よ!!」
裏表紙のアオリの濃いよ……。
能條ワールド入門にもなかなかいいかもしれません。
ばりごく麺〜月下の棋士〜哭きの竜〜翔丸
みたいな流れがスムーズかも。翔丸はもはや説明できない世界に至ってますので一周回ってきてオススメ。
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