さて、いよいよ蔦重の財産がごっそり取り上げられる恐怖のイベント回です。
前回の展開から、松平定信の政治と真っ向からぶつかるのではなく、その中で上手いこと戦うやり方にシフトしたかに見えた蔦重。
とはいえ現実は非情である。定信くんは許すどころかむしろさらに弾圧を仕掛けてくるんだもんなあ、これから。
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「お前は鬼の子なんだ!」で歌麿の目を覚まさせるの、蔦重もかなり辛いものがあっただろうな。逆に言うと、そのぐらいショッキングな言葉をかけないと正気に戻らないほどだったというか。
最愛の人を失った歌麿、その心を癒せるのは蔦重のお母さんですか。これは有効かもしれませんね。「鬼の子」である歌麿は、いわゆる母親の愛を知らずに生きてきたわけだしな……。
初登場時はダメ母親キャラで登場した蔦重ママだけど、作中での出番がある毎に株が上がっていく人物ですね。
店に戻ってきた蔦重、そこに鶴屋さんが来ていました。
裏で奉行所とやり取りを続け、無事に地本問屋の株仲間を発足。
自分達で検閲して販売する許可を得ましたが、結局蔦重はちょっとずるい手を使って幕府の目を逃れようとしてますね。『教訓読本』という袋詰めセットにして、中身の改めをされないように小細工して販売するつもりか。
蔦重ママが鋭すぎる。
「ちゃんと歌麿を話さないと」
「それは自分のためであって、歌麿のためじゃないだろ?」
蔦重の後悔は間違いなく「鬼の子なんだ」発言なんだろうけど、逆にあれがないと歌麿を止められたのかなあとも思ってしまいますね。
ともあれ歌麿は江戸を離れることに。しかも蔦重と離れたいから……。蔦重の母ちゃんが一緒に行ってくれるみたいだし、歌麿の方は一応安心なのかな。
あっ……。
『教訓読本』はヒットしたけど、いきなりそれは絶版。
さらに蔦重と山東京伝は奉行所に連行されることに。うーん、話が急すぎる。
京伝先生はビビリまくっていますが、蔦重の方は堂々と弁明していますな。
そうですね、端的に言うと「幕府を謀った」んだよな。
いよいよ蔦重と松平定信が直接対決です。
定信に反論していくの喧嘩腰すぎるなあ。松平定信の作る世界は透き通りすぎている。
ここで市井で流行している田沼政治を懐かしがる歌を引き合いに出して、褒めているように見せてボロカスに松平定信批判を本人に直接決めるの火力が強すぎるだろ、蔦重。
まあこの時点で厳罰喰らうの覚悟してやってるもんな。
なんか逆転裁判みたいになってきたぞ!
蔦重の命乞いを行えるのは、妻のおていさんのみ。
朱子学において厳しい罰を与えることがそもそも矛盾する……その論理的な矛盾を突く!
ここでおていさん主役回が来たか……。
学問に明るいおていさんだからこそ、漢文バトルで戦うことができる。
義を見てせざるは勇なきなり。いわば社会的弱者とも言える遊女達の幸福のために行動していた蔦重なんだから、お裁きの方も考えてくれや、ということですか。
おっ、それぞれの人に与えられたお裁き部分はミュートですか……。
その状態で蔦重の番がやってきました。
極刑も覚悟していたところで、身上半減。この場でもまだふざけて「身上半減とは縦二つなのか横二つなのか」なんて言っちゃうあたりが蔦重である。
この時のおていさんに「自分のことばかり」と言われるのがもうね。これは歌麿に関するところで母親にも言われているし、というかここまでのストーリーでずっと蔦重の自分本位の人間なのは描かれ続けていますからね。
というかこの「身上半減」。蔦重がお沙汰の場でふざけていたけど、過去に前例がなかったのか。だとしたら蔦重の「縦半分なのか横半分なのか」も半分ふざけてて半分真面目に聞いてたんですかね。
「借金も半分持っていってくれないかなあ」にブチ切れる鶴屋さんである。
身上半減、マジで「半減」なんですね。看板とか暖簾も半分に切断していくのか。
下手に松平定信の生真面目さで半分にされたことで、見た目が面白い状態になってしまった耕書堂である。
いっそこの刑罰自体をビジネスチャンスにして良い感じに売れちゃう耕書堂である。この強かさが蔦重ですな……。
そんな中で長谷川平蔵が定信に報告。
蒼小僧を捕えるべく、長谷川平蔵が動きます。ここで「火付盗賊改方、長谷川平蔵である!」が来るとは。
さて、そんな犯罪集団の蒼小僧の集団の正体は、松平定信の政治によって厳しくなりすぎた社会によって職を失い、あぶれた人間達だった。
「人は正しく生きたいのではない、楽しく生きたいのでございます」は松平定信の全否定に近い諫言。
いよいよ幕府の内側からも、あなたの政治は間違っているんじゃないですか?と正面から言われるようになってきた定信である。結局定信の治政も短い年月で終わりますし、その時はすでに迫っているのか……。
次回「尽きせぬは欲の泉」。
メタ的な話ですが、あと10話もないくらいで最終回のはず。
身上半減もありましたし、ここから最終章という気配でしょうか。はたして歌麿と和解できるのか。そして次回は葛飾北斎も登場ですね。
