心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

べらぼう 第30回「人まね歌麿」感想

前回は蔦重なりの「復讐」が完遂されました。
今回はタイトルの通りだと、歌麿主役回でしょうか。

とはいえ、個人的には幕府パートの方が気になりますね。
いよいよ松平定信が幕政に進出してくるはず。すっかり寺田心くんのまま松平定信もやるのかな?と思っていたので、予告で役者さんが変わっていてちょっと驚いたというか。
別に心くんのままでもいけたと思うんですけどねえ。

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蔦重の復讐の作品を読んで、松平定信田沼意次への復讐心を思い出す……。
そこに一橋治済から「幕政に参加しませんか」というお誘いのお手紙が来ましたよ!

「来たか……ついに!」と言いつつ、白河松平家は家格が低いので自分はちょっとできないです、という定信である。
そんな定信にしっかり田沼への負の感情を埋め込んでくる治済。
幕政に参加する目的が「田沼への復讐」なのが定信、あまり良くないなあ……。

蔦重は早速次のビジネスを考えています。
その中で、いよいよ歌麿を売り込むチャンスがやってきた。
「人まね歌麿」として世間で少し名前が売れてきた今がその時ってことですかね。まずは名を売るために、歌麿には人の画風を真似た作品を担当させていたという。
誰かの絵をコピーするのが上手いでお馴染みの歌麿に、敢えて歌麿オリジナルの画風で新作を作らせることでさらに歌麿の名が売れるっていうのが狙いでしょうか。

幕府の溜間でのお仕事、今でいう国会っぽい場所でしょうか。
老中の田沼意次自民党松平定信は反発心強めの野党みたい感じ?

松平定信のキャラ設定がすでにいい感じですなあ。
将来の質素倹約政策に繋がるように、黒胡麻おむすびを質素に食べる派閥が誕生です。

歌麿に蔦重が提案した「枕絵」。調べてみると、これは春画のことでした。
ただここからが問題ですよね。今作の歌麿は同性愛者。
歌麿心のままに描くこと自体ができないんじゃないのか、これは……。

今回は歌麿の心の闇の話じゃねえか!
トラウマ中のトラウマ、幼少期に亡くなった母親の幻覚まで見えてしまったじゃないか。
こうやって見ると、歌麿は今作でも屈指のレベルで人の命に関わっているんだなあ。しかも結果的にとはいえ、自分がその命を奪った側なのがまた……。

歌麿くん、追い詰められて精神が不安定になっています。
他人が母親やかつて自分を強請っていた男に見えるほどにやられています。
歌麿オリジナルを描こうとすると、幻覚が見えてしまう。潜在的に、未だ歌麿には罪の意識が強く残っているんでしょうね……。

ここで歌麿に絵を教えた師匠・鳥山石燕が登場。
ここすっげえ大事な話してるよね。「絵を描くのは楽しい」っていう初心を思い出させる。
迷う歌麿の絵を「妖を塗り込められておる」と看破し、むしろ「それを封じるのではなく描いてやらなくてはならない」と。

歌麿は改めて鳥山石燕の元で修行して、自分の呪いを受け入れることができるのか。
この辺はどう解釈するといいんですかね。石燕先生も歌麿も一種の能力者として見ていいのか。
しかし当時の、というか現代でもですが、妖怪絵師の方々ってのはすごいなあと思います。存在しないものを描いていたわけですからね。

田沼意次の貸金会所令を巡る定信との攻防。
松平定信、一橋治済にとっての尖兵って感じがあるなあ。とりあえずは田沼に噛み付くから。
将軍家治からの信頼は厚い田沼意次
しれっと松平定信に懐柔され始めた大奥。

今度は大雨によって利根川が決壊。
この雨に「時が来た」と宣言する治済……。
幕府内部の政争はいよいよ激化してきました。


次回「我が名は天」。
うーん、この場合の「天」は一橋治済ってことになっちゃうのか。どうも田沼意次の失脚は次週で起きてしまいそうです。