心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

【真女神転生3】異神アラディアの考察

祐子先生に降りた異神アラディアについて色々考えてみました。
メガテン3って攻略記事なんかはネット上に充実してるが、ストーリーや世界観の考察は結構少なかったりしますからね。ちょうどいいかもね。

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祐子先生にアラディアが憑依しているモード、首がガクンガクン動いていい感じに気持ち悪いです(褒め言葉)。
実は各陣営に降りてくる神の中で一番好きかもしれないアラディアの考察でもしてみようかと思います。

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作中で語られるアラディアについての情報

主にアマラ深界で聞くことのできる情報を列挙してみる。

このボルテクスいることが許されない異世界より迷い込んだ虚構の神
無数にあるアマラ宇宙の内の一つが、アラディアが本来、会った所

アラディアのいた宇宙にいたものの目的は、虚構たる自らの存在を真実へと変えること
その手立てを探すため、自らの世界を飛び立ち創世の力を持つボルテクスへと向かう

アラディアは、夢想にて作り出された悲しき救い神
強き神に追われ、迫害を受けた魔女らの求めから生まれた存在
魔女らは自分達が力を授かり自由を得ること、生に苦しむ民衆らが救われることをアラディアに祈った

しかしアラディアは地上に姿を現すことはなく、魔女らも救われなかった

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このアラディアという神は新異教主義の発展段階において「アラディア、あるいは魔女の福音」という書籍で登場する女神で、真女神転生3におけるオリジナルの神ではなく元ネタが存在する。
この本の中では、アラディアは魔女達を抑圧者から救うために地上に降り、魔女達に魔術で戦うことを教えたらしいが……さて、メガテン世界のアラディアはというと。

アラディア - Wikipedia

祐子先生にコトワリを産むことは不可能だった

女神転生3における虚構の神・アラディアの性質は見方を変えると「希望だけを与える神」。希望だけを与えるってのは虚構の神らしいかも。
「虚構の神」なので、そもそもアラディアにはコトワリを紡ぐ力がないのではないかと予想。そのくせ「コトワリを紡げるかもよ」という希望だけは祐子先生に与え続けるんじゃないか……と考えると、これ先生は相当悲惨ですね。絶対に叶わないことを叶えようとして右往左往することになる。

祐子先生自身にも問題があって、根本的に新しい世界を創世するための強い思想を本人が持っていない。
氷川が求めた、全てが静寂の中世界の歯車として生きていくような世界「シジマ」。
千晶の見た、強き者だけが生きていく究極の弱肉強食世界「ヨスガ」。
勇の辿り着いた、一人一人が一切干渉せずに生きていく「ムスビ」。
それらと比較して、祐子先生は作中では「コトワリが見つからない」とか「私の神はまだコトワリを授けてくれない」とか言い続けます。氷川は初めからシジマの世界を求めて東京をボルテクスに変えるし、千晶や勇は悪魔の蔓延るボルテクスを生き残る中で自身のコトワリを見つけるのに対して祐子先生は「自分が望む世界」のビジョンを持っていない。先生ルートのエンディングは元いた東京に、つまり東京受胎前の世界に戻るだけなのも裏付けになりそうな点。結局最後まで新しい世界のビジョンはなかったんだよね。まあこの辺はトウキョウ議事堂での氷川との会話や、それこそエンディングでの先生のセリフでよく分かるけど。

神が降りてくる順序の話

氷川に降りるアーリマン、千晶に降りるバアル・アバター、勇に降りるノア。作中では、いずれもそれぞれの人間がコトワリを持った上で守護として降臨する。
一方で祐子先生の場合、本人がコトワリを持たない状態でアラディアが降臨してしまう。敢えていうと「コトワリ紡ぎてえなあ〜」という祐子先生の意志に共鳴して……というか。ある意味では「私もコトワリ作りたい」というコトワリみたいな状態。

アラディアの性質が「希望だけを与える」ものなので、逆説的に希望が成就=コトワリを紡ぎ出すことはアラディアがいる限り祐子先生には不可能だったのではないかと思われる。
アラディア自身は作中でやたらと「自由」を口にするから、祐子先生自身がアラディアがどういう神なのかに気が付きアラディアを否定すればどこかに行ってくれた可能性もあります……が、アラディアはしっかり希望は与え続けていたと思う(祐子先生に直接取り憑いていたようなもんだし、その希望は外で見ているよりも強固だろう)。
コトワリを紡ぐ前にアラディアが降りてきてしまったという順序的にも、祐子先生に新しい世界を創世するコトワリは生み出せないということになる。なんというか松岡修造みたいに「お前ならできる!」と伝え続けるのに、現実では絶対にそれができないように阻害し続けているような存在がアラディア。

アラディア自身について

アーリマン、バアル・アバター、ノア。いずれもデカかったり強靭な肉体を持っていたり、あるいは特殊な能力を所持していたりして単純に創世を成すだけの力を持つ「強い」神だった。実際に物語最終盤でボスとして立ち塞がるわけだし。

一方でアラディアは虚構の神ということもあってか、祐子先生に取り憑いての登場はあれど実体を伴うことがない存在。端的にいうと神としても「創世を成すだけの力を持たない」神なんだと考えられる。

まあトータルで、祐子先生がアラディアに選ばれた時点で先生がコトワリを紡ぎ創世する道は断たれていたと思うんですよね。本当に救いがない。
それを成したければアラディアを否定しなければならなかったが、アラディアは希望を与えるのでその事実に気が付かないし、何より希望は甘美なものなのです。
トウキョウ議事堂で氷川に自分の甘さを看破されるまで気が付かなかったんだろうな、先生。そしてその時には全てが遅かった。


……などと書いてきましたが、これ書いてる時点ではリマスター版がようやくトウキョウ議事堂に到着した所です。
うろ覚え&ネット調べ知識で書いている部分が多いので、改めてイベントシーンを見返してから一部書き直すかもしれません。

※11/11追記

トウキョウ議事堂で氷川に看破された先生。

……あなたは、まだ分かっていないのか?
自由とは名ばかりの欲望こそが世界を堕落させたのだ。
自由?可能性?本気で信じているのなら、なぜ創世など望む?
かつての世界にうんざりするほどあったはずだ。
なぜ元の世界で成し得なかったのかね?
(中略)
なぜ、あなたがコトワリを啓けないか分かるかね?
あなたは、ただ逃げ出したかったのだ。
あなたは本当は自由なんか信じていないんじゃないかね?

この氷川の言葉で心が折れた先生は、氷川がトウキョウ議事堂のマガツヒを使ってアーリマンを降ろすのをただ見ているだけだった。
先生はというとそれでも氷川を止めなければと言い、アラディアとこのタイミングで決別するが……やはり時すでに遅しでした。主人公に後のことを託して終了といった感じ。

PS2でプレイしていた時とは打って変わって、先生の身勝手さが鼻に付くというか……この人何がしたかったんすかねえ?って。
氷川に利用されるだけ利用されて、そこから脱したかと思えば自分の意志は特になし。虚構の神に踊らされ、結局何も為せずまま自分が巻き込んだ主人公に後のことを託して退場っていう。
「可哀想な人」ではあるが、それ以上に「もっと考えて行動しましょうよ」みたいな部分が目立って見えました。

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  • 発売日: 2020/10/29
  • メディア: Video Game