心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

【ゲーム】FF12 ZTAの奥深さ

今月メインでなんのゲームをやっていたかというと、本当に今更ですがファイナルファンタジー12

リマスター版にあたるザ・ゾディアック・エイジ版(以下ZTA)です。
PS2で無印版FF12はプレイ済みなんですが、このリマスター版はシステム面やら何やら大幅に変更が入っていて新鮮なプレイフィールがあります。

FF12が本来持つ「自分で冒険する楽しさ」とか「ガンビットシステムの面白さ」はそのままに、ジョブシステムがいい意味でジレンマを与えてくれていてパーティメンバーみんなに役割がありますね。

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ジョブシステムがいい感じ

FF12ではライセンスボードというものがキャラクター育成のキモで、このライセンスを解放するごとに装備できる武器防具アクセサリ・使用できる魔法と技を使用可能になっていく。ありとあらゆるものがこのライセンスによって制御されています。
そして無印版FF12、全キャラクターが共通で同じライセンスボードなので、最終的には全てのキャラクターがなんでもできるようになってしまう構造なんですね。

もちろん物理系、魔法系といった感じでライセンスボードの方角は異なっているので、役割を決めて育成をしていると自然とキャラクターごとの個性が出る仕様なんですが、どうやら当時はそれを理解できずに遊んでいた人も結構いたらしいです。自分は普通に楽しかった記憶はあるんですけどね。

リマスター版のZTAでは、そんなライセンスボードを12種類のジョブで再構築。
言ってみれば無印版のライセンスボードを強制的に分割しているんですが、その分選択したボードごとに役割が明確になっています。
例えば黒魔道士は全ての黒魔法を習得できますが、HPや力が上昇するライセンスは少なめ。防具もMP・魔力が上昇する魔装備のみがボードに用意されています。
もののふは刀を振るう重装アタッカー。刀のダメージには魔力も影響するため、力だけでなく魔力のボードも多めに用意されていますが、魔法を習得できるライセンスは一切用意されていないなかなか上級者向けジョブ。
弓使いはその名の通り弓をメイン武器としつつ、ポーションや万能薬などの消費アイテムの効果を高めるライセンスが豊富。パーティのサポートに向いたジョブですが、装備が揃ってくる後半は弓の威力も高まる大器晩成型アタッカーの一面も……。

まあこんな感じで、全てのジョブが長所と短所を併せ持ちます。
無印版のように最終的に「1人でなんでもこなせるキャラ」は作れないようになっているバランス。
ZTAの前身であるインターナショナル版は各キャラクター1つずつしかジョブを選択できませんでしたが、ZTAでは2つずつ取れるように。
これによって色々戦略的な幅は増えており、この組み合わせを考えるのも楽しいです。それでも万能キャラには絶対にならないのが絶妙で。
例えば黒魔道士と白魔道士を組み合わせると、攻撃も回復もできる万能魔導士になる……と思いきや、実際に使ってみると「攻撃中は回復できない、回復してると攻撃できない」「終始魔法を唱えることになるのでMP管理がシビア」など問題も露呈します。

どのように組み合わせても、何かしらのウィークポイントは出てくる12のジョブ。
だからこそ総勢6人のパーティメンバーに役割が生まれてきて、面白いです。

……まあ、どんな変なジョブの組み合わせを選択してもクリアできるように難易度自体が調整されているので、無印版よりもだいぶヌルいらしいですけどね(白魔道士6人でも一応クリア可能らしい)。

ストーリーが実は面白い

主人公であるヴァンが中盤以降マジで空気なのは変わらないんですが、その実ストーリーの構造自体は結構王道。
「帝国に同盟国を滅ぼされ、夫であるその国の王子の命も奪われた挙句、自身の国も奪われた亡国の王女アーシェの復讐の物語」として客観的に見ると普通に面白いんですね。
そこに敵であるアルケイディア帝国内部の政治闘争や、隣国ロザリア帝国もその状況でアルケイディアとの開戦を窺う不穏な情勢。

「この物語の主人公さ」でお馴染みのバルフレアですが、あえて言うなら素直にアーシェを主人公としてストーリーを見ると違和感なく重厚な物語を楽しめます。
というか特定の主人公を定めず、客観的にストーリーを追うのが一番面白いかも。それぞれのキャラクターに、一応は出番というかお話がありますからね。バルフレアなら父親との確執とか、フランなら故郷との関係とか……。
ある程度歳を取ってから改めてFF12をやると、ストーリーの面白さ、NPCの会話やゲーム内読み物による世界観の掘り下げがすごく面白い作品です。
次節でも触れますが、プレイヤー側が能動的に世界に入っていくと一気に面白くなるんですよね、この辺。

寄り道の自由度

改めてやってみて一番感じるのは、膨大な寄り道要素。
ゲームクリアをするだけなら行く必要がないマップが結構な量・広さで用意されており、しかもそれらのうち一部はストーリーの中盤に入る前あたりで突入できたりします。
そのくせそういった場所の敵はかなり強く、当然ながらそこで入手できる装備はかなり強い。ゲーム内でも最強クラスの装備が手に入っちゃうんですよね。

自発的に探索することで、苦労に見合った報酬がある。
「自分でこの世界を冒険している」という感覚がFF12にはあります。この辺が肌に合うかどうかも、評価が分かれそう。逆に基本的にひたすら一本道だったFF13は、自分は微妙でしたから。

入れるようになった時点でできることが圧倒的に増えるので、逆にそれをほとんどやってから本編を進めようとするとボスも一瞬で倒せてしまうほどなのですが、それもまた一興。

「自分で調べて、考えて遊べる人」にこそ刺さる作品

ストーリーでは次の目的地を示されているけど、関係ないところがやたら探索できる。そこを掘り下げてみるとか。
この辺は現在だとネットで調べながら遊ぶと、すごく面白いです。「もうここ行けるじゃん」とか「この先で強い刀手に入るのか」とかね。時期的にまだまだ圧倒的に強い隠しボスとも戦えたりしますが、それも戦略次第では倒せるようになっていて。

ガンビットもまさに「考える」ことを推奨するシステムで、各種行動を条件付けで自動で行うようにしてくれます。
「HP60%未満の味方にケアルラ」なんかをセットしておけば、ダメージを受けたメンバーがいるとそれに反応して回復してくれる。
優先順位も大切で、この「HP60%未満の味方にケアルラ」より上位に「目の前の敵にファイラ」なんかをセットしてしまうと……ファイラが優先されてしまうので、せっかくセットしたケアルラが使用されませんね。

世界観をより深く知るための読み物は、メニュー画面から見ることができるクランレポート。
モンスターを倒すごとに内容が増えていく、いわゆるモンスター図鑑ですが……その内容はモンスターに関することだけでなく、FF12の世界観を知るための設定資料集に近いほど膨大な範囲に及んでいます。


合う合わないは決定的に分かれる作品だろうなあ……というのは、やっていて思う部分。
それはこういった「自分から遊びにいく」ような姿勢がないと、FF12の魅力的な部分にたどり着けないからだと思います。

FF10FF13とは真逆の構造というか。FF12とは基本的にストーリー通りに進むことしかできない作品の狭間で生まれた、逆説的な異色作なのかなあと。
大人向けのファイナルファンタジーと謳われたFF16ですが、あちらとは違った意味でFF12は大人向けかなあと思います。
そもそもガンビットとか、子供だとまともに組めないと思うし。今だからこそ遊ぶファイナルファンタジー12、アリですよ。