心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

寺沢武一先生、お疲れ様でした

先日、寺沢武一先生が亡くなられました。思ったよりショックで、今になってようやくこうやって筆を取っています。「COBRA OVER THE RAINBOW」が未完の遺作となってしまいました……。

名作SFマンガ「COBRA」の作者ですね。
エンタメとしても面白いだけでなく、自分の中では人生を少し楽に生きるためのバイブル的なマンガでもある「COBRA」。
寺沢武一先生、おそらく現代においてマンガを描くほぼ全ての人がその恩恵を受けているくらい偉大な方です。

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デジタル作画の先駆者

寺沢武一先生といえば日本でいち早くデジタルでのマンガ執筆を取り入れた第一人者です。
ということで調べてみると、そんなレベルじゃなかった。
Twitterで見かけたお話だと、寺沢先生が私財を注ぎ込みMacでマンガを描くシステムを構築したどころか、そのノウハウを「マッキントッシュの電脳漫画術」という書籍にして一般公開していたようです。
この本が出版されたのは1994年。ただし寺沢先生がパソコンを用いてマンガを書き始めたのは1985年頃だとか。チャレンジ精神や新しいものに対する貪欲さがすごい。

寺沢武一先生がこうやって道を切り開いてなければ、日本マンガ界のデジタル作画の進歩は何年も遅れていたのではないか?などと思うんですね。
現在パソコンを用いて作画をしているマンガ家だけではなく、イラストレーターや趣味で絵を描いている方まで……ほとんど全ての人が寺沢武一先生が未開の地に切り拓き、踏み出した道を歩いている。そう考えると日本マンガ界の歴史において、ずっと名前が残るレベルの方だと思います。現代のマンガ家はほとんどが恩恵を受けていると言っていいんじゃないかな。
そんなめちゃくちゃ偉大な方でした。

とりあえずみんなでCOBRA読もうぜ

追悼の意も込めて、自宅にあるCOBRAを読み返しています。
短編エピソードもありつつ、ボリュームたっぷりの長編も楽しめる。しかもテンポが良く、なんだかリズムに乗って読めちゃいますね。メカの描写とかもめちゃくちゃ細かいので、あんまりサクサク読みすぎるのも勿体無いので繰り返し違う読み方をしたいような作品。
そしてコブラのセリフ。軽妙かつカッコいい言い回しも良いですが、人生を軽やかに生きるための含蓄に富んだセリフも多いです。

「不運なめぐりあわせにしがみついてること自体不運なのさ 運てものは力ずくで自分のほうへむかせるものさ」
「まてよコブラ その運てえやつに負けたときはどうするんだ」
「笑ってごまかすさあ!」

とか。
割とこのセリフは日常生活でもふとした時に思い出したりします。ダメだったらダメで「笑ってごまかす」ようなタフなメンタルを見習いたい。

いちいちセリフがカッコよくて、飄々としたコブラの活躍を読んでいると元気が出ます。
改めて寺沢武一先生、お疲れ様でした。