心の雑草

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切なさ成分が補給されるゴルゴ13!

切なさ成分が補給されるアニメ・ゲーム・映画・漫画・小説! - 日々適当

ちょっとこの記事に触発されて書いてみる。
映画「レオン」は本当に切ない(個人的には2週間分くらいは補給される)。
個人的にはゲームで言うとぶっちぎり「風雨来記」で、漫画なら「GUNSLINGER GIRL 1 (電撃コミックス)」なわけなのだが、ここはもっとピンポイントに攻めて


ゴルゴ13」のエピソードの中だけで切なさ乱れ打ちにしてみせる!!

海へ向かうエバ

ゴルゴ13シリーズの中でも異質なストーリーでありながらも人気の高い作品。


ある時乗っていた船に爆弾が仕掛けられているというアクシデントに遭遇するゴルゴ。自ら解体を行い他の乗客は避難する中、一人の女性がゴルゴと共に船に残る。

無事に爆弾の処理は終了、互いに似た者同士の血の臭いをまとった二人。惹かれあうように一夜を共にする……。


およそ3年半の後。
二人は再び出逢う。そして、再び体を重ね合う。
「偶然また再開できて嬉しい」と言う女に、「いや、偶然じゃない」と返すゴルゴ。
そして「じゃあな……エバ……」と言い残し、女の元を去って行く。


そう、エバは一度もゴルゴに名前を明かしてはいない。
同じ「殺し」を生業とする者同士、全てを理解するエバ。ゴルゴが名前を知っているということは、自分の情報が与えられている、つまり自分がゴルゴのターゲットだということだ。


受けていた依頼をキャンセルし、武器を捨て子供と戯れるエバ。
海へと向かうモーターボートの上で倒れるエバを、ゴルゴはエバの命を奪った銃のスコープ越しに見つめていた……。


殺し屋同士の哀しく切ない大人の恋愛が詰まった名作。
実際に読んでもらえるとわかるのだが、ゴルゴの表情、エバの表情が繊細に描かれていて、かなりくるものがある。

黄金の犬

動物モノは感動を呼ぶのはゴルゴも同じ!志村動物園の次はゴルゴで泣こう。


新型の狂犬病を利用したテロを画策するターゲットを追うため、テロリストが誘拐した女性博士オコーナーが飼うレトリバーを逃がし、その足跡を辿る作戦に出たゴルゴ。

そのために4頭の犬を購入するのだが、そのどれもがなにか一点優れた能力があるとはいえエリートとは言えない雑種犬ばかり。
オコーナー博士のにおいを辿り移動するレトリバーを追って、ゴルゴと4頭の犬の旅は続く。
ゴルゴは犬達に手厚い世話をしながら、共に川を渡り、雪山を越えていく。


テロリスト達のアジトに辿り着いたゴルゴ。スコープ越しに見たオコーナー博士の口の動きから願いを察し、オコーナー博士ごとアジトを爆破する。

これに後から追ってきていたフランス特殊部隊は作戦を変更。彼らの任務は「オコーナー博士の保護」だったからだ。

ゴルゴが連れている4頭の犬を追えば、そのままゴルゴの足取りを掴むのは容易。そう考えた特殊部隊は、ゴルゴの犬達のもとへ走る。


4頭はならんで崖の前に「伏せ」の姿勢をとっていた。
何事か訝しがる特殊部隊の前を、崖先をパラセーリングで横切るゴルゴが現れる。

ゴルゴは静かに、くわえていた犬にしか聞こえない「犬笛」を吹いた。
犬たちは迷わず一直線に崖へと飛び込んでいった……。



本当にね、とにかく切ない。単純な切なさで言うと一番の作品。

一見すると優秀ではないアウトローな犬達を集め、短期間で深い絆を……命令を下せば迷わず命を捨てるほどの絆を築き上げたゴルゴ。

笛を吹く直前、犬達を見るゴルゴの目には、うっすら涙が溜まっているようにも見える。


何度読んでもたまらん。


バイオニック・ソルジャー

ゴルゴのスーパーバトル作品として注目を浴びがちなこの作品も、見方を変えるとなかなか切なく考えさせるものに仕上がっている。


ペンタゴンの極秘計画により、優秀な精子卵子から半人工的に生み出され、世界最強の兵士として育てられた男、ライリー。

超人的な運動能力を持ち、更に各種の薬品によってその力はより増大する。


ただし彼が世界最強の兵士として認められるには、一人の男を倒す必要があった。そう、ゴルゴ13である。


ペンタゴンはライリーとゴルゴを戦わせるため、日本の防衛関係者を利用してゴルゴにポルポト派の組織殲滅を依頼。
ゴルゴが依頼を果たした直後、そのジャングルで待ち受けるライリーがゴルゴを仕留める計画だった。


苦もなくポルポト派の組織を殲滅していくゴルゴ。ライリーはそれをジャングルの樹上から眺めていた。


しかしゴルゴはその第六感でライリーの存在を察知する。一人生かしておいたポルポト派の人間を利用して地下通路を見つけると、素早くライリーがいるであろう場所の背後へと回り込む。

一方ライリーもゴルゴが自身の存在に気付いた可能性を考える。そして行動パターンを読んで振り向くと、そこにはゴルゴが!!
放たれた銃弾を超人的な反応速度で回避するライリー。ゴルゴも思わず驚くほどだ。


二人の戦いは長期戦へ。ゴルゴは地下通路へ、ライリーは樹上で身を潜め合う。
20日という時間が過ぎ互いの精神状態が極限に達したころ、ゴルゴは動く。

気に結んでおいた紐を一斉に引っ張り、音を立てたのだ。
「無駄だ」と言わんばかりに、聴覚を増加させる薬物を自身に投与するライリー。これで音の発信源を察知すれば、ゴルゴの位置が判明する。

しかしゴルゴは一枚上手だった。
爆音が鳴る閃光手榴弾を投げたのだ。

聴覚が強化されているが故に耳を押さえ苦しむライリーの額に、一発の弾丸が撃ち込まれた。

倒れるライリー。
「私はどこから生まれ、どこに行くのだ……」
と言い残し、この世を去った。


人として生まれながらも機械になっていったゴルゴと、機械として生まれることを運命づけられたが故に歪んだ人間性を持つに至ったライリーの対比が秀逸。


20日を超える長期戦の中、ライリーは奇妙は笑いを漏らし始める。
そして死ぬ瞬間、その瞬間に始めて自分の生と向きあったライリーの心からの叫び。

「私はどこから生まれ、どこに行くのだ……」

生まれる前から戦闘マシーンになるように「設計」されたライリーという男にフォーカスすると、切なく考えさせる作品だ。