心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

生と死の狭間で「白夜は愛のうめき」

ゴルゴ13をざっくり分けていくと、まあ「政治モノ」「アクションモノ」みたいに分けていけると思うんだけど、その中には「ラブロマンス」がある。
今回の作品はそんなラブロマンスなひとつ。

旦那との喧嘩の中、偶然とはいえ殺してしまった女。
執行猶予の中で一人旅に出た女は、旅先のバーでゴルゴの姿を見る。
翌朝は雨。ホテルから空港へ向かう車で偶然乗り合わせた2人。そして、飛行機でも隣どうしの席になるゴルゴと女。
乗っていた飛行機が整備不良により、結果胴体着陸を行うことに……そんな中、ゴルゴが女に言った言葉が光る。

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飛行機の胴体着陸が失敗すれば死ぬ可能性が高い。
そんな中達観したような様子の彼女の本質を見抜くゴルゴ。

なんだか今世間を騒がせるイジメ問題、その一端が垣間見えるようなハッとする一言。
誰だって理由なく死にたいわけではない。まあ僕は若干そうなりかけたことがありますが。「なんで生きてるのか分からないから生きる理由がない、だから死んでもいいかな」みたいになったことはある。若干危なかったのかもしれないが、個人的には一度も死にたいとか思わなかった人の方がある種危ない気もする。

・・・まあそれは置いといて、このゴルゴの「死ぬことで安らぎを得られる」=「生きていて楽しいことがあれば生きていたい」という理論。
ゴルゴのような生き方をしている男からこの言葉が出てくることがまた深みを与えている。


ちなみにこのお話、無事に胴体着陸に成功した飛行機、そして二人はその夜身体を重ねる。
後日仕事を済ませたゴルゴを追いかけてきてしまった女。
ゴルゴは「自分の仕事を見てしまったものは消す」というルールのもと、彼女の命を奪う・・・。

生きる意味や希望をゴルゴから学ぶまでは良かったが、その希望をゴルゴという男自身に求めてしまった彼女の不運でしょうか。
ただ「でも・・・いいの・・・」という彼女の最期の言葉もまた何とも。生と死の概念が交錯する物語。


ちなみにラストシーンがまた秀逸です。
浮かんだままの太陽をバックに、ナレーション的に入る一文。
“北欧の白夜も、もう終わる・・・
太陽が沈んで、燃えた夜が死んでゆく・・・
――白夜――
それは愛の
・・・・・・