ストーリーをクリアしたので、8外伝の感想です。
今回は『龍が如く8』本編より後のお話。
8本編で描かれた、ハワイの宗教団体と日本のヤクザ達の残党を巻き込んだ事件は、それぞれの首謀者が逮捕されたりして決着を見たものの、その後始末は残っています。
ハワイ諸島、問題となった宗教団体パレカナの聖地ネレ島に、そんな後始末に向かったはずの真島吾朗。日本へ戻る船が難破、真島はリッチ島に流れ着きます。
記憶を失った真島に水を差し出したのは、ノアと名乗る少年。
ここから2人を中心とした冒険活劇が幕を開ける!……といった感じ。
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真島吾朗版の「桐生と遥」だったのかな
幼い頃から病弱で(今はたまに発作が起きる程度ではある)、それ故に父・ジェイソンから過保護にされ、リッチ島から出ることなく育ってきた10歳の少年、ノア。
そんな彼が記憶喪失の真島を助けたことで、真島はその恩義を返すべく「ノアに広い世界を見せる」約束のため、一緒に海賊として海へと乗り出すことになります(かつてトレジャーハンターだった、父親のジェイソンも一緒なので一応安心)。
……まあ現代において海賊の部分、それだけ聞くと無茶苦茶ですが龍が如くなりになんとなく整合性は取れているのでOK。その辺まで説明すると長くなるので割愛しますが。
この真島吾朗とノア少年の関係性。
『龍が如く』シリーズ本編における、桐生一馬と澤村遥の関係性のオマージュなのかなあと思いながら遊んでいました。
初代『龍が如く』での澤村遥の年齢も9歳で、ノアと近いですし。
基本的には終始一緒に行動することになる2人。
真島も「この子の保護者みたいなもんや」というニュアンスの発言もしていて、真島吾朗の豪快子育てみたいな感じはありましたね。
また、そんな真島を受け止めるだけの明るさや心の強さをノアも持っているのがまた良くて。
ノアが啖呵を切った際に、真島が「よう言うたでノア!」みたいに言うやつ、地味にエモいぜ……。
ノアの父親であるジェイソンもちゃんと父親はしているけど、こちらはどうしても身体の弱いノアを心配してしまうポジションになりがち。
ジェイソンと真島吾朗。2人の父親を持つノア少年はやっぱり幸せなんじゃないっすか?
澤村遥と違って、変なことにならずに真っ直ぐ成長しそうなノアである。
未来につながるストーリーと全体的にハッピーなお話
正直なところ、前半は結構ストーリーが微妙で。
ただし後半は一気に面白くなっていきました。
伝説の「エスペランサの財宝」を巡って、三者三様いろんな組織が暗躍。
当然その財宝争奪レースに真島吾朗のゴロー海賊団も参戦していくわけですが、ここから真島の天性の明るさやぶっ飛んだ思考回路によってどんどん敵勢力を仲間に引き込んでいくのはなかなか面白かったです。
記憶を失ったとはいえ長年任侠の世界に生きてきたので、プレッシャーをかける交渉術とかがやたら上手い今回の真島の兄さんである。
この辺があるので、ストーリー後半の敵派閥を味方に引き入れる会話シーンが良かったですね。殴って分からせるんじゃなくて(それはそうと展開的に殴り合うことにはなるんだけど)、そこからお互いの利害をチラつかせて「お前は協力するしかないんやで」とか「じゃあお前とは協力関係をここで切るが、そうなるとそっちには一切財宝の取り分なくなるけどええんやな?」とかの交渉で仲間に引き込むのよね。
真島吾朗に心酔して……とかじゃなくて、お互いの利害関係で協力状態になるのはリアルだし、そういう関係はなんだか「海賊」っぽい感じもあります。
一方ラスボスがだいぶ魅力がないというか。もう少し因縁を強めに描くなりして欲しかった感。
最後の最後に財宝を全部掻っ攫っていくみたいな狡猾ムーブはかましてくれたけど、その目的もなかなか小物だしそもそもラスボスの見た目があんまり……ね。
『7外伝』のラスボス、獅子堂が本当に素晴らしいキャラクターであり、個人的には如くシリーズ全ての中で一番好きなレベルのラスボスだったので、今回のラスボスはどうにも魅力があまりにも弱かったように思います。
ただ、これは意図的な設定な気も少々。
「広い世界は面白いんだ」ということをノアに見せたい真島にとって、大人の汚い部分を代表する対比として今回のラスボスは造形されたのかなあ、とかは思いました。
あととにかくラスト。エンディングが最高だったんですわ、今回。
エスペランサの財宝の中には不老不死の薬があると言われていたんだけど、見つかったのは金銀財宝のみ。
じゃあ不老不死の薬は嘘だったのか……と思ったら、その真実はエンディングで語られます。8本編のラスボスの1人だったブライスが、100を超える高齢なのにめちゃくちゃ元気だったのもここでその理由が回収されたりね。
この辺の伏線回収は、普通に「おお〜……」とはなりました。
記憶を取り戻した真島は冴島と帰国、桐生ちゃんのお見舞いへ。
ここで「なぜはじめは行きたがらなかった真島が、ネレ島視察に行こうと心変わりしたのか」が語られてこれまたエモいのである。
「桐生一馬を諦めきれなかった」なの、真島の兄さん桐生ちゃんのこと好きすぎるだろ……。
で、この辺の話がラストで語られるにあたり、記憶喪失状態のままでもノアをすごく大事にしたことにも繋がるのかなあと思ったりしまして。
真島の兄さん、桐生ちゃんが遥をどれだけ大切に想っているのかは魂のレベルで分かっていますし、長年それを近くで見てきた人間でもあります。
『龍が如く5』では、そんな桐生一馬が大切にしたもの(=遥)を見捨てることはできないって理由で冴島に刃を向けたりするくらいですから。
ゲーム部分としては一番の目玉要素だと思われる海賊船の操作が結構やりにくい(微妙にリアルさを求めたせいか、旋回とかの操作性は悪いので若干ストレスですね)とかの不満点はあります……が、基本的に『龍が如く8』であったミニゲーム部分は一通り揃っているレベルなので寄り道で色んなミニゲーム要素で遊ぶなら十分すぎるボリューム感。
特に2章でホノルルシティに上陸したタイミングで、一気に遊べる要素が増えます。結果しばらくここからストーリーを進めることなくホノルルを満喫することになったりして。
『龍が如く』シリーズでは、ラストに1文字出るのですよ。「完」とか「終」とか。
今回それが「続」だったのが激アツ。
次回作がいつになるのかは分かりませんが、とりあえず何かしら続編を期待していいってことですよね。
『8外伝』より未来の話になると、もう桐生さんは確実に戦えない身体だし真島も冴島も歳が歳です。
いっそ10年後とかの世界で、成長したノアが主人公とかでも面白いかなあと思ったりします。
エンディングでは春日一番が真島の海賊話を「またいつもの冗談でしょ?」と突っ込んだりしているし、真島との出会いと冒険で快男児に成長したノアが、さらに桐生や春日一番と出会って……みたいなやつなら新章としても悪くないような気がしなくもないです。
でもこの場合、物語の舞台はどこになるんでしょうね。自分で書いていて、ノア主人公の場合はストーリー構成がすごく難しそうに感じてきました。
