心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

インドネシアの首都移転計画、無事に成功するのか

現在、インドネシアでは首都の移転計画が進行中です。
以下NHKニュースから概要を一部引用。

20年以上かけて首都の移転を進めているインドネシア政府は17日、新しい首都となる予定のヌサンタラで、初めて、独立記念日の式典を行いました。巨額の資金の調達が課題となる中、今後、政府機関の移転を本格化させることにしています。
(中略)
首都の移転をインドネシア政府は、およそ20年後の2045年までに完了させたいとしていて、ジョコ大統領は、工事の進捗(しんちょく)状況は、15%程度だとしています。

インドネシア 新首都予定地で式典 政府機関の移転本格化へ | NHK | インドネシア

現在の首都ジャカルタから東に1500キロ。一極集中し過ぎた結果様々な問題を抱える現在の首都から、広大な森林を切り開き新たな首都・ヌサンタラへの移転を目指しています。

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ジャカルタが抱える問題

現在のジャカルタ、首都移転を考えなければならないほどの状態なのかと思って調べてみると……まあそうみたいですね。

こちらのサイトによると、ジャカルタが抱えている問題は水の問題と交通渋滞のようですね。

まずは水。
どうやら地盤沈下の速度が世界一らしく、なんと毎年10cm以上のペースで沈下が進んでいるらしいです。怖すぎる……。
ジャカルタ市民の6割が違法に地下水を汲み上げているのだとか。そこに地球温暖化による海面上昇が絡んでくるそうで……。
そうやって地盤沈下が進んだ結果、地面が凹むようになるため洪水が発生しやすくなりました。
都市として地面のコンクリート化が進行する一方で、地盤沈下はも無慈悲に進む。結果として水捌けの悪い排水のできない地形が生まれるという悪循環。

交通の方も大変です。
渋滞の原因、ただただシンプルに自動車の数に対して道路が少なすぎるのだそうな。急速な近代化に対して、街の方の改良が全く追いついていないのでしょうね。
とはいえここまで発展してしまった現在、ジャカルタに改めて道路を引き直すのももはや無理筋ってことなんだろうなあ。

その他にも人口増加に経済格差によるスラム街の形成、それらによる過剰な人口密度。
こうやってジャカルタの実情を見ると、首都移転で1から作り直すという判断も分かる気がします。正直、このままだとジャカルタに未来はなさそう。放っておいても数十年後には地盤沈下が進み過ぎて街が水没するらしいですからね。

移転は移転で前途多難っぽい

ということで、すでに開始されている新しい首都・ヌサンタラの開発工事。とはいえこちらも調べてみると完遂できるのか不安になってくる具合です。

とりあえず莫大すぎる資金が必要で、ニュースを読む限り本当に工面できんのこれ?という感じ。
移転予算とされる、日本円で実に4兆8000億円の工費。そのうちの8割を民間投資で……という計画らしいんですが、民間に依存し過ぎじゃないのかこれは。

新しい首都ヌサンタラは、初めから道路や水道を計画的に引くことで、ジャカルタが抱える水と渋滞の問題を解消する狙いがあるそうです。
まあこの辺はシムシティとかでもお馴染みの考え方でしょうか。街づくりゲームをやってると、中盤くらいからはずっと渋滞の解消に頭を悩ませることになります。一方通行の道路を引いたり、立体交差にしたりしてなんとか渋滞を減らそうとするんですが……全然減らないよね、あれ。

国民感情も問題で、2022年の段階ではジャカルタ市民の95%が首都移転に反対している様子。
大統領なりジャカルタ市長が変わるなりが起きると、ヌサンタラ移転という計画自体にも影響を与えかねないと思うんですよね。この状態で移転に反対するような人が選挙に出馬しようものなら、そちらに票が流れてしまうのは目に見えていますし。


ジャカルタが限界を迎えつつあるからこその移転計画。
それ故にタイムリミットが存在し、資金の問題もあり、そして反対多数の国民感情
あと実際にヌサンタラ市街が完成したとして、貧富の差が激しいジャカルタから移民できるのはそのうちの上流階級が中心になるのではないかと想像してしまいます。
問題も山積みのインドネシア首都移転計画。果たして上手くいくのか……。