あっさりと歴史的にかなりすごいものが現れるのも、仙台という場所の面白いところかもしれない。
京都の街ほどそれらは主張していないのだが、すこし調べてみるととんでもないものだったりすることが多々ある。
今回訪れた「陸奥国分寺」もそんな一つだ。
自宅から徒歩20分ほどで現れる、大きな門。
晴れ渡った気持ちの良い空の下、門をくぐると広い空間が広がっていた。
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入ってすぐ見えるのはこの石碑である。
古くは聖武天皇の時代にルーツがあるこの陸奥国分寺。「国分寺」の名が表すように、聖武天皇が全国に作らせた国分寺のうちの一つであり、その歴史はなんと740年代にさかのぼるという。
とはいうものの時代とともに衰退していった陸奥国分寺。本格的に再建されるのは伊達政宗の登場を待つことになり、現在聖武天皇時代の古代寺院の感じられるのは、こういった遺構のみとなってしまっている。
広い空間に、ぽつりぽつりと建物が残る。
伊達政宗によって行われた大規模な再建もむなしく、明治に入ると廃仏毀釈などの影響によって再び衰退の道をたどる。25坊あった建物も一つを残して全てなくなることになった。
とはいえ現存している薬師堂は重要文化財、聖武天皇時代の遺構は国の史跡となっており、その広い空間に、歴史と想いを馳せる楽しみがある。
特に薬師堂は必見で、大崎八幡宮とは正反対の簡素ながら質実剛健といったたたずまいに、伊達政宗という男の美的センスの幅広さを感じたりするのであった。
日はまだ高かった。
このあと昼ご飯を食べる場所を求めてさまようことになったのだが、それもまた一興。
陸奥国分寺で過ごしたわずかな時は、そんな風に思えるような、穏やかな空間と時間だった。