心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

「BORDER 贖罪」のネタバレ気味感想など

久しぶりにドラマの話書きますかね。
小栗旬主演の連続ドラマ「BORDER」。その最終回直後からの続きが今回のスペシャルドラマ「BORDER 贖罪」でございます。

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小栗旬演じる刑事、石川安吾は、ある事件で頭を銃で撃たれたが一命を取り止める。代わりに彼は死者が見えるようになり、事件に巻き込まれ命を落とした死者から直接言葉を聞きながら、様々な事件を追う。
んで正義感が強すぎるが故に、裏で犯罪まがいの証拠捏造などにまで手を染めながら正義を貫こうとして……。そんな正義と悪の境界、生と死の境界など、まあいろんな境界……すなわち「BORDER」がテーマの刑事ドラマ。

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さて今回のスペシャルドラマ。
連ドラの最後で、頭がキレるから証拠なども出て来ない絶対悪・安藤がどうやっても逮捕に繋げられず、結果ビルの屋上から突き落としてしまいました。

あとはまあ……ストーリーのほうはわざわざ書き出さなくてもいいか。こちら読んでくれている人は、その時点でBORDER好きで、ドラマも観て読んでくれてると思うので。


ネット観てると「石川はBORDER越えちゃったんだな」みたいな感想も散見されるけど、個人的には今回のスペシャルドラマは「BORDER越えちゃった後、今までとは異なる性質の境界に戻ってきた物語」だと思う。
キーになるのはスーツの色ですね。連ドラでは回を重ねるごとに色味が黒になっていたスーツが、そのまま石川が闇に染まっていくのを表現していたことは観ていた人にはご存知の通り。
今回の「贖罪」ではストーリー開始地点からずっと黒いスーツで「3日も着替えてない」みたいなセリフもありつつ、ラストで石川安吾が身につけているスーツはグレー。これが何を意味しているかっつーと、やっぱり闇に染まってしまったところから、再び境界に戻って来たってことだと思うんだけどどうか。


屋上から安藤を突き落とした瞬間に、石川は境界を越えてしまった。それまでは刑事であるという「白」を支えるために違法捜査などの「黒」に手を染めるグレーだったのが、この瞬間完全に黒になってしまった。

そこから今回、安藤を突き落としたことを隠す嘘をつく選択をした石川。
ある種開き直るというか、罪を背負ったまま突き進む覚悟を決めたことでスーツは再度グレーに戻る。
正義を成すためならどんな悪でもする、そのために刑事という「白」も利用する……みたいな、石川安吾のBORDERの種類が変換されたってイメージだったのが「贖罪」だった。

仲間たちも石川が突き落とした可能性を否定するような言葉を発してないあたりとかも深みが出るというか。ただ石川はやってないと信じるみたいな薄い関係ではないあたりが良い。
根本言ってしまうと、石川は安藤の命を本当に奪ってしまっているところからスタートしているのがいい。

「安藤は“私は償いきれない罪を犯してしまった”と言って……」
の台詞には、もちろん石川自身の「私は償いきれない罪を犯してしまった」の吐露も感じられたりして……。トータルで連ドラのほう観返さないとなあとか思ったり。

ところで録画しておいたのを再度観ながら書いてるんだけど、しかし小栗旬の演技力半端じゃねえなあと思います。
ずっと死んでる石川の目に生気が宿るのが、ラストの悪に堕ちる覚悟を決めた時っていうのとか。


まとめとしては、僕の解釈では連ドラが「石川が少しずつ境界線に近付き、最終回で踏み越えてしまう物語」だったことに対して、この贖罪のほうは実は「踏み越えてしまった境界線に強い意志を持って戻る物語」だったと思うのです。
気が付いた時には越えてしまっていた境界線に、罪を背負う覚悟と共に戻る。むしろその境界線こそが自身の立つべき場所だと理解する物語。それが「BORDER 贖罪」だったのではないかと。