先月末から宮城県美術館で始まった「ルートヴィヒ・コレクション ピカソ展」に早速行ってきましたよ。www.pref.miyagi.jp
ピカソっていうとまあキュビズムでして、やたら本名が長いとか色々と有名なんですけどちゃんと作品見たことなんてないわけです。
キュビズムだってテレビや本を通して見てるだけだし、あの世界観がどのくらいのパワーを持って迫ってくるのかは気になるじゃない。
実際に目の当たりにすると少し混乱するような世界。そしてそれがピカソに見えていた世界……。
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今回の展示でメインを張るのは「手を組んだアルルカン」ってやつなんですが、こいつはキュビズム感弱めなんですよ。だからってリアリティ溢れるような描き方でもなくて、その間くらいの不思議な感触があった。
今回の展示で初めて知ったんですけど、ピカソは晩年陶芸に傾倒していったようです。陶芸って言っていいのかしら。
とにかくお皿に絵を描くという作品がたっぷり。皿の縁の曲面を活かし、闘牛場を描いた絵皿なんかはなかなか力強いものでした。曲面部分が観客席になってるコロッセオ的なね。
そしてキュビズムワールドへ。
実際に見て思ったことは「物質的だなあ」という気持ち。
一枚の絵の中に複数の視点から見えたものを同時に描くのがキュビズムだし、私の思ったことはアート的にはまるで的外れなのかもしれないけれど。それでもカクカクの線で分断されるように描かれるその世界は、人間というモチーフを物質的に見せてきました。私にはね。
ふと思ったんだけどキュビズムってあれですな、「いともたやすく行われるえげつない行為」ですな。
同じ場所(一枚のキャンバス)に隣の世界(異なる視点)を同時に存在させる。
D4Cアートだったのかもしれない。
哲学的に考えても面白い。
言ってみればシュレディンガーの猫をヴィジョナリーにしたものとも言えそう。
世界が重なっているという、認知できない世界を敢えて絵にするとこうなる。そんなものがキュビズムなのかもしれない。
生体である人間には感知できない世界だから、私はマテリアルな感じを覚えたんでしょうかね。
展示の後半は写真家たちが撮ったピカソの写真集状態になってます。
ピカソの写真はとにかく愉快というか。アインシュタインのてへぺろ写真レベルのお茶目さが全写真みたいな状態で、きっと面白い人だったんだろうなあと。
やはりはっきりと一線を画していたような印象のピカソ展。なんつーか上手いとか下手とか、そういう次元で見るものじゃなかったように思う。
何か新しい扉を開くきっかけになりそうなピカソ展。生きることにマンネリを感じているなら見てみるのもいいかもしれない。