今回の作品は『ザ・コントラクター』。
2022年公開の映画です。
『ジョン・ウィック』のスタッフが関わっているということで、そんなスタイリッシュアクションを期待しつつ観てみたんですが……蓋を開けてみたら全然違うテイストだったものの、それはそれで面白かった、そんな作品。
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あらすじ
優秀な米軍特殊部隊員のジェームス(クリス・パイン)は、これまでの従軍の中で左膝を痛めています。
その治療のために使っていたステロイドが新司令官の掲げるルールによると禁止なものだということで、突然の除隊命令。しかも退職金などはなし。
家族もいる上に借金もあるので、次の仕事を探さないといけません。
そこで元上官であり、上司と部下以上の友情関係であるマイクに職場を紹介してもらいます。それはマイクも所属している、ラスティという人物が経営している民間軍事会社でした。タイトルの「コントラクター」は請負業者を指す言葉で、今回の場合軍事業務の請負企業的な意味合いになりますかね。
ジェームス、マイクを含んだ4人のチームは、アメリカからベルリンへと向かい仕事にかかります。
任務はテロリストとも関係があるという科学者、サリムの研究所から生物兵器のデータを強奪すること。
データの奪取には成功したものの警察の到着が早く、撤収時に銃撃戦になってしまうジェームス達。
ジェームス、マイクの2人だけになってしまったところでマイクはデータを持って先に脱出。ジェームスは後からベルリンで合流するということで指定されたホテルに向かうが……。
という感じ。
映画が始まってからラスティのところで再雇用されるまでが結構丁寧に描かれており「ん?ヒューマンドラマ重視か?」と思わせておいて、ベルリンに飛んでからは一気にテイストが変わりますよ。
感想
ホテルに到着したもののマイクが戻ってこないので、雇い主であるラスティに連絡を取るジェームスですが、ラスティの受け答えに不信感を覚えつつ指定された合流地点に向かいます。
到着した橋のたもとで、救助にきたはずの仲間達から襲撃を受けるジェームス。マイクもどうやらラスティの命令で消されたらしく、一転して一人きりの逃亡劇がスタートです。
ここからは『ジョン・ウィック』というよりも『ボーン・アイデンティティー』から始まるボーンシリーズのテイストがかなり強いです。
一人で孤独に逃げながら、自分が巻き込まれた状況の真実を探る……というのはマジでボーンシリーズの影響を感じます。制作側がどの程度意識していたかは分かりませんけどね。
結局サリムが研究していたのは生物兵器ではなくインフルエンザのワクチンであり、そもそもこの仕事自体がラスティによって騙されていたようなもの。
なんとかアメリカに帰ってきたジェームスはマイクの家に向かいますが、そこでマイクの生存を知ります。信頼していた友人の裏切りにショックを受けるジェームスですが、マイクを問い詰めると謝罪を受けます。
ラストは二人でラスティのもとに向かい襲撃。ラスティを討ちますが、マイクも命を失うことになります。
「ラスティがいる限り家に帰ることはできない」と言われていたジェームスですが、そのラスティはもういない。
久しぶりに見る息子の背中に「ジャック」と名前を呼びかけたところでエンディングです。
なんというか「リアリティ追求路線なのにところどころそうじゃないアクション」があったり、ストーリーも大筋は綺麗なんだけど細かいところでちょっと引っかかる要素の多い作品でした。
前半のデータ強奪のための研究所潜入などは、実際に潜入した3人チームの連携した動きは軍隊っぽいリアル路線のものです。
しかし一転、ベルリンで突然裏切られたジェームスの逃亡中は“なぜか”敵の弾丸が全く当たらないという、それこそシュワちゃんやスタローンのアクション映画のようなガバガバ命中率を敵集団が仕掛けてきます。敵の方も元軍人なのに、研究所潜入編のような連携の取れた動きは全然してこないしご都合主義感が強め。
これがリアリティ路線じゃなければそういうものとして観れたでしょうけど、作品全体から漂う空気感は明らかにそうじゃないので悪目立ちしていた印象です。
ストーリーも細かいところで「ん?」となるところが多い。
まずは左足は古傷があり歩くのも辛そうなんですが、戦闘モードに入るとめちゃくちゃアグレッシブなジェームス。アドレナリンかな?
ジェームスの救助に来た人間達が突如襲ってきますが、そのうちの一人を尋問すると「現場に到着したところでジェームスの命を消すように命令変更された」と言います。
そうなるとラスティはそもそもどのタイミングから実はサリムの研究がインフルエンザワクチンのものだったと知ったのかも不明瞭になる。はじめからそれを知っていた上で、現地の部下達には直前でジェームス始末の命令を出すつもりだったとしても、そんな直前に真逆の命令を出して素直に部下が聞くと思っているのも荒いです。
ラスティがこのインフルエンザワクチンのデータを使って何かしら金稼ぎをしようとしていた……というところまでは分かるものの、そのデータを金に変えるためのコネや繋がりみたいなものはどこにあるのか?とか、ラスティの背後にこの仕事の依頼主がいてそっちの差し金なのか?とか色々分からないことも多いままラスティを始末して終わってしまうので、本当の意味で「この仕事はなんだったのか」が視聴者としてははっきりしないまま終わってしまいます。
いっそジェームスが突然退役させられたのも、今回の一件のための陰謀でした……くらいやっちゃった方が全体が繋がってよかったような気もしますね。ラスティも元軍人達を雇って働かせていたし、軍内部の人間と繋がって暗躍していた……とかね。
根本的な話としてラスティがジェームスの口封じをする理由自体がなく、奪ってきたデータをそのまま回収してジェームスに報酬を支払い、それで契約終了すればよかっただけ感があります。裏切られたからこそジェームスは真相を探り、実は生物兵器ではなくインフルエンザワクチンだったことを突き止めてしまうわけであり、そもそも裏切らなければジェームスもデータ内容まで調べようとしなかった可能性が極めて高いです。
サリムの研究所に潜入した後は事故に見せかけてサリムごと研究所を火事で燃やしている。
ベルリンで警察官に向かって思いっきり発砲してしまったけど、その罪は?
その時仲間のうちの一人が警官に捕まっていますが、彼女が尋問された結果もし自白してしまったらジェームス終わりでは?
などなど罪状も結構多いという。
家族に再会できてハッピーエンド風だけど、やらかしたこととか考えるとこれからハッピー続くわけないのでは?と思います。最後にはラスティのところに行って大量に人の命奪っていますし、どう考えてもこれからジェームスも罪に問われるやろというね。
とまあツッコミ所は結構あるんですが、ボーンシリーズ的な重めの空気感と硬派なアクションは楽しめます。
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