心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

べらぼう 第28回「佐野世直大明神」感想

参議院選挙で1週お休みを挟んでからのべらぼうです。

佐野政言田沼意知に向けて刀を振り下ろしたところで終わった前回。
しかしとんでもないところで1週休みにしてきましたね……。

世間一般には酷く嫌われている田沼親子ですが、直接交流のあった蔦重はそれら嫌われている理由が正しくないことを知っている。
今回はそういうジレンマがストーリーの軸になりそうかな。たしか予告でもそんな気配だった気がします。

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おっ、一太刀目は鞘で受けたものの追撃がヒット。
残っている史料では、意知が刀を抜いた様子はなかったらしいですね。そしてこの場では命を取り留めるものの、結局はどうすることもできないほどの重傷。1週間ほど後に亡くなったそうです。

耕書堂にまったりと帰ってきた蔦重に訪問者が。
誰でしょう……この髭もじゃはと思ったけど、これ新之助さん夫妻ですか。
「あるお方の受け売り」で、人として新之助夫妻を助けることにした蔦重ですが……。

その「あるお方」こと田沼意知、他界。
こうなると意次もキツイよなあ。政治的な意味でも自分の後継者が先に亡くなってしまうというのは。
しかし平賀源内といい田沼意知といい、自分の味方たる人間が先に亡くなる運命なんですかね。
「なぜお前なんだ」は心からの声ですなあ。

一方やっぱりめちゃくちゃ怖い一橋様。
「もう歳の意次ではなく、後継者の意知の方を討つことで真に田沼を勢いを削ごうとしたのかもなあ……佐野は」
この「佐野は」が怖いわ。お前じゃい!それ考えてたの!!

田沼意知の葬儀の行列に向かって、石が投げつけられるのはあまりに惨い情景です……。
誰袖花魁は「仇を討ってくれ」と叫ぶ。

佐野政言切腹。まあ当時の切腹は、腹を斬るふりをしたところで介錯みたいですが……。
そして田沼意知と誰袖の仇である佐野は既に亡くなった。この状態で行える、蔦重なりの「仇討ち」とは……?

江戸では物乞いが増える中で、安い米が流通し始めた。
「佐野様が田沼の息子を斬った“から”米が安くなった」という飛躍した理論、怖いですが必死に生きる人たちにとってはそう思ってしまうほどの厳しい時代だったんですな。
そして赤穂浪士の話がちょろっと出てきてたしかに……と思ったけど、構造同じなのか。「斬った側が褒め称えられる」構造……。

あっ!
最初に意知の葬列に石を投げた人じゃん!これを見た蔦重が何かに気がつきましたね。
これ、裏で何者かが「意知を貶めて、佐野を持ち上げる」工作をしている人間がいる。
ここでも出てくる平賀源内よ。本当に物語全体において影響のある人間ですよ……。

田沼意次、自暴自棄状態ですねえ。
「意知が斬られた原因は俺だから、仇は俺だ」になっちゃってるのはかなり重症ですね……と思いきや、わざとそうやって蔦重を遠ざけていた。
ここからは自分でやりますっていうことですかね。蔦重を巻き込まないための優しさというか。

今回の展開なかなかいいっすね。
佐野を悪役にした黄表紙を作って仇討ちをしたいと考える蔦重で、こうやって公儀に対しての批判的作品を作ることもまた源内がやろうとしていたことでもあるというのがね。
蔦重・意次・源内がここにきてまた絡み合うのがなかなか沁みるぜ。

誰袖花魁、佐野に呪いをかけ始めました。
まあこれ止めようがないというか、心情が分かってしまうだけにどうしようもないよなあ……。

蔦重に意次からの手紙が届きます。内容は仇討ち宣言。
その宣言を将軍に直接表明する田沼意次である。意知がやろうとしていた政策を代わりに成し遂げること、それが意次なりの「仇討ち」ですね。

バチバチ田沼意次、一橋治済に喧嘩を売る。
というか意次も、完全に一橋治済が黒幕だと断定して動き出しましたね。

田沼意知が生きていれば成し遂げたこと」。
蔦重なりの仇討ちは、意知が生きていれば笑顔であり続けたはずの誰袖の笑顔を取り戻すこと……。


次回「江戸生蔦屋仇討」。
きれいに今回の話からのアンサー回になりそうですね。蔦屋重三郎なりの「仇討ち」は、手拭合を使ってどう仕掛けるのかな。