心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

べらぼう 第20回「寝惚けて候」感想

今回は蔦重の更なる新しいビジネスチャンス、狂歌との出会い篇。

狂歌とはなんぞや?というと、和歌と同じように五七五七七のリズムではありますが、一方で季語が不要。時世を風刺したり、面白おかしく表現するのが特徴らしい。本家の和歌をパロディ化したりもするようです。
俳句に対する川柳と同じようなポジションですかね。現代でいうところのサラリーマン川柳なんかが、狂歌と同じような立ち位置な気がします。

どうも狂歌の説明を読んだだけで「ああ、これ江戸っ子は好きそう」って思ったりして。
さあ、蔦重はどのように狂歌を売り出すのか……。

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菊寿草、その作者は「寝惚け先生」と呼ばれる狂歌師・大田南畝である。

相変わらず鶴屋以外の市中の問屋は、未だに蔦重を軽く見ていますね……。これいい加減に警戒心が強まるべきなのでは?
西村屋にも「錦絵もいいけど、ちゃんと細見も出してね」と釘を指しますが……?

大田南畝も曲者ですな。
家族が外出中のため、タイミングよく土産の煎餅は独り占めだからめでたい。
畳が焼けているのも、10年長持ちした証だってんでこれまためでたい。
障子に穴が空いているのも、そこから富士山が見えるからめでたい。
このポジティブシンキング、良いですなあ。
なんとなく気に入られた感じの蔦重、大田南畝狂歌の会を見に来いと誘われます。

りつさん曰く「狂歌は読み捨て」。
その場限りのものであって、本にするようなものでもないらしいが、さて。

西村屋、錦絵の方には力が入ってるみたいですが、一方で細見の方は甘いですね。
これは……蔦重、りつさんと組んでなんか暗躍し始めたな。「市中の本屋が蔦重から本を仕入れる言い訳」を仕込む!

一方で幕府パート。
次期将軍の縁組を巡り、島津が「言い訳」してきました。
田沼意次、ここでまた新しい面倒ごとが……。その背後には島津と田安の政争が蠢いています。
うーむ、やはり幕府の方の話、蔦重のパートに比べると関係性が複雑かつ重厚。その結果田沼意次がさらに追い込まれているのがまたなんとも……ですね。

蔦重、今回はルールの中とはいえなかなかダーティな手を使っていますね。
歌麿に有名絵師風の絵を描かせることで、オリジナルよりも絵師よりも安い価格で売り込む。
「汚ねえ手もありってのを教えてくれたのは西村屋さんです、ありがとうございます」はキレキレ。

そうやって錦絵の方に意識が向いているうちに、細見の方が本当に戦略。改めの際に古い情報を答えさせていたので、西村屋の細見はそもそも製作が頓挫。

これは鶴屋さんが考えていた最悪に近い展開に近い。最悪は鶴屋本人が言っていた通り、市中の本屋が脱退して蔦重の方に付くことか。
こうならないように鶴屋だけ頑張ってたのにねえ。マジで問屋の他の皆さん、あまりにも考えが甘いままここまで来てしまった感じです。
ここまで切り崩されると、鶴屋さんとしてももはや意地に近い気がするんですけどね。つーか鶴屋さんが出版した本が売れてるかどうかの話が全然出てきてないよね、今年。


いよいよ狂歌の会。
なかなかシュールですね。笑わせるような面白い狂歌を披露する歌会ではあるけど、添削なんかも含め温度感はちゃんと真面目にやるんですね。
こうやって見ると、ちゃんとベースになる和歌の技術・知識があってこその狂歌ですね。すげえ高尚な遊びですわこれ。


次回「蝦夷桜上野屁音」。
狂歌と共に流行することになるのは、蝦夷の本。
狂歌でも政治でも「蝦夷」がキーワードになりそう。
そしていよいよ絵師・歌麿が本格始動する……!?