予定、不安。
「それ」がいいことであれ悪いことであれ、未来のことに終始縛られている感じがとにかく苦手でして。
漫画「刃牙」シリーズの登場人物であるガイアの名言があります。
確実にくる幸福……
その待つ時間の中にこそ幸福があるように……
確実にくる恐怖……
人はその待つ時間にこそ恐怖する
これ、自分の場合は幸福の方もストレスになっていたりします。
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ここ最近の話で言うと、職場のネット上で回答するストレスチェックがあったんですよ。現在はこのストレスチェックというのは、年一回の実施が義務付けられているようですね。
で、まあこれを受けてくださいという書類をもらってからその日のうちにすぐに回答したんですが……完了後にその書類を再度読んでみたら、回答する期間より前に回答してしまったというね。皮肉にもストレスチェックを受けることでストレスが増える哀しみ。
「回答自体はちゃんとできたし大丈夫だとは思うけど……」とか「まあなんか言われたら回答自体は問題なくできたんですが……とか答えたらいいか」とか色々思いつつも、そもそもこちらの書類の読み飛ばしが原因で起きたことだし、そもそもこれで何かしら言われるかどうかも分からないという。
この「いつ何かしら言われるか分からない」「そもそもこれで何か言われるかどうかも分からない」ような不安。これが地味に継続的なストレスになっていたりするのが今。これ、人によっては悩むような俎上にすら載らない出来事だと思いますが。
こんな小さいことでも結構ストレスを感じてしまうのが自分の本質ですね。自分がそういう人間であることは高校生くらいの時から認識していて、少しずつ改善しているような実感もあるんだけどそれでも完全には変われないものです。
実際に今回の事象の現在の状態を観測すれば「今の段階でできることは何もない」「何か言われたら答えるしかない」わけで、極端な話完全に忘れておくのが正解で答えは出ています。
それでもふとした時に「未だに何も言われないけど、やっぱ問題ねえってことでいいのか……?」みたいに頭を掠めることがありますから。うーむ、我ながら悪癖ですね、これは。
他にも予定の方で。
土曜日は持病の定期通院だったんですが、コロナ禍以降病院は事前に電話での受診予約が必須になりました。
日々飲んでいる薬が減ってきた頃に「そろそろ予約の電話するか」と思うわけです。
この時の「どこかのタイミングで電話かけないと」ですら、仕事中にふと考えてしまったり。
そして土曜日の◯◯時から〜で予約が取れたら、今度はその時間に遅れたりしないように携帯のアラームをセットしたり、診察券やマイナンバーカードを忘れないように用意して。保険証と一体になったとはいえ、普段はマイナンバーカードは持ち歩かずに自宅に置いてあります(未だに持ち歩くのに抵抗がある)。逆に病院に行くときだけ必要になるから、毎回忘れそうになりますね。
「◯日に病院に行く」という未来の予定に、その前段階から色々と縛られてしまいます。
それどころか良い予定でもそう。
週末の三連休は、金曜日を有休にしてずいぶん久しぶりに一泊温泉旅行に行くことにしました。
本来なら冒頭で紹介したガイアのセリフ「確実にくる幸福」ですから、楽しみでウキウキ100%のはずなんですが……ここでもその用意や、万が一の不安なんかを考えてしまうのですね。
もちろん楽しみだし、そのための準備もこれまた楽しさもある。
しかし、そこには同時に「忘れ物をしたりしないようにしないと」とか「本当にこれで準備万端なのか?」みたいな不安も並行して存在するわけですね。仕方ないんだけど、その辺の不安の比重が平均より大きい気がしないでもない。
実際には用意や忘れ物なんて、もしダメでもなんとかなるんですけどね。多少忘れ物があったところで、気が付いた時点で買えば事足りるのがほとんどですから。
不安なことの9割は起きないというデータ
アメリカの大学による研究では、心配・不安なことの約80%は実際には起こらず、さらに起きたとしても事前に備えていれば残りの20%のうち15%は対処ができるレベルのものだそうです。
合計すると、ざっくり95%は別にどうでもいい範疇の不安ってことですね。
さらに実体験として「実際に不安なことが起きても、基本大したことはない」のは分かっているんですよね。先に紹介した研究データの通りです。
それでも色々と不安に思ってしまうのだなあ。実に面倒です。
おそらく生物としての生存本能みたいな部分なんでしょうね、これは。
可能性が低いとしても前もって危険を予測しているからこそ、実際に何かが起こった時に助かる確率が上がる。昔々の人類は狩りに行こうものなら毎日が命懸けだったでしょうし。
これまでいくつかの本を読んで分かってきましたが、人間は急激なテクノロジーの進歩に対して、人間自身の進化がまるで追い付いていません。
実際には狩猟などを行なって命を失うような可能性は現代人の場合ほとんどありませんが、一方で人間の脳はそんな狩猟生活の時代から進化していないのでこういうことが起きる。
ちなみに鬱病なども、そういった現代社会とのズレによって起きている部分もあるみたいですよ。
個人的にはそうやって未来のことに思考のリソースが奪われるのがすごく億劫だし、旅行などに関しても基本的にはあんまり予定を立てないでいきたいんですけどね。旅館に泊まるとなると、事前に予約しないと基本的に難しいのでなんとも……という具合です。
もう脳みそを根本的にアップデートするしかないというのか。
でもそれができたらもはや新人類ですし、結局は「そういうもんだ」とどこかで諦観し、織り込んだ上で生きていくしかないのかもしれません。