ついに実装されたダイタクヘリオス。結局貯めていたジュエルでは出なかったので、若干課金してゲットです。
むちゃくちゃ可愛い。パリピ過ぎて6割くらいなに言ってるか分からないけど。
性能的にはマイルに突き刺さりつつも、適正距離的には短距離〜中距離までレンジは広め。逃げ・先行いけるけど、パッと見では実は先行運用がメインの性能に見えます。なんかネット上では逃げ運用を想定して微妙、みたいな意見をよく見る気がするけど、自分の見立てでは多分先行向き。条件満たすと【大逃げ】が習得できることと、パーマーと並んで爆逃げコンビとしてキャラクターが扱われてきたことにイメージが引っ張られ過ぎている感じがあるなあ、逃げで評価している人たちは。
普通に戦えるスペックには見えるので、性能的に引いても悪くはないと思う。あと単純に走れる距離が広いから、本気で勝たせるとなると育成は大変だけど、出そうと思えば幅広いチャンミに対応可能。ヘリオス推しの人は引いていいですね。僕は引いた。
ただ今回触れたいのはストーリーのお話。
先に一言書くと、これは「ダイタクヘリオスの物語」と呼ぶにはやや薄味。正直、半分以上ダイイチルビーの物語になっちゃってたように思う。
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ダイイチルビーに一目惚れしたダイタクヘリオスは、あの手この手で仲良くなろうとする。「レースで勝ちまくったら振り向いてくれんじゃね?」ですね。
だけど「家の誇りを守るために走る」名家の産まれであるダイイチルビーと「みんなで走ってテンションアゲてフェスりたい」ダイタクヘリオスでは、決定的にレースに対しての考え方が噛み合わない。
ここからどうにかこうにか理解し合えるのかな……と思ったら、ダイタクヘリオスにはメジロパーマーという理解者が、そしてダイイチルビーにはケイエスミラクルという理解者がいて、それぞれそちらとの仲が深まっていく感じで、結局ストーリーの終わりまでヘリオスとルビーが分かり合えることはなかった。
ラストレースが個人的には本当にしんどくてですね、ずっと勝てずに心が折れつつあるダイイチルビーと、ケガで走れなくなったケイエスミラクル。奇跡なんて起きないと絶望しつつある2人を見て「じゃあ奇跡起こしたるわい!」と、距離適性外の長さである有馬記念に挑むダイタクヘリオス。
そこで勝利するという奇跡を起こしたヘリオスは、この時初めて「自分が楽しむため」ではなく「他の誰かのため」に走ったんだけど、それはダイタクヘリオスにとって楽しくないものだった。
一方でそんな「誰かのため」に走って起こした奇跡が、初めてダイイチルビーの笑顔を呼び起こす。
有馬記念で奇跡を起こすことで、ダイタクヘリオスが「ダイイチルビーと根本的な部分で分かり合えない」ということに気が付いてしまうのは少し酷なシナリオに見えました。3年間振り向いてもらいたくて頑張ってきて、結局不可能って気が付いて終わるのはなあ……勝利したのに悲しくて泣くダイタクヘリオス、切ない。
一応グッドエンディングでは、ヘリオスとパーマーが主催するレースイベントに多少乗り気なルビーの様子も見えるけど、うーん……。
レースに勝ちまくって自身が楽しみつつ、ダイイチルビーに振り向いて欲しいダイタクヘリオス。
それを見てなかなか勝つことができないダイイチルビーの心が余計にヘリオスから離れていく。これが単純に何度も繰り返されていく感じだったので、もう少し展開に変化は欲しかったかなあという感じ。
とはいえ、ダイタクヘリオス自身が挫折なんてしない性格のキャラクター。アドマイヤベガみたいな哀しき過去を背負っているわけでもない。「ダイタクヘリオス自身の苦難」からストーリーを作ることがそもそもヘリオスのキャラクター性と乖離するから、同じように名家産まれ故の責任感に悩まされる中、ヘリオスの太陽のような明るさに照らされて救われたメジロパーマーと、自身の家柄への誇りを捨てられずヘリオスの光を受け入れられなかったダイイチルビーの対比のお話……みたいな感じで着地したのかな、なんて。
ヘリオスにはメジロパーマー、ダイイチルビーにはケイエスミラクルという良き理解者ができるからいいけど、ダイイチルビーはずっと勝てないでもがき続けるし、ケイエスミラクルは2度とレースができないんじゃないかってくらいの大怪我をする展開になるので、ダイイチルビー側パートの悲壮感が結構すごい。
読んでて思ったよりテンアゲにならなかったのは、特に理由もなく楽しければオッケー!なダイタクヘリオスより、背負っているものがあるダイイチルビーがなかなか勝てないでいる苦しみのパートの方が味が濃いからかも。だからヘリオスの育成しているのに、思ったよりヘリオスのストーリー感が感じられなかったんですよね、自分は。
サッとTwitterで他の人の感想も流し読みしたけど、賛否両論出ているようです。
おそらくあの世代、つまりダイタクヘリオス・メジロパーマー・ダイイチルビー・ケイエスミラクルの、4人がみんな主人公的な作品として見ると完成度の高い青春物語。それぞれが違う考え方を持ちながら出逢い、互いにその考え方が衝突したり、あるいは影響し合いながら互いに成長していく物語として解釈すると普通に楽しめた。
ただしこれが「ダイタクヘリオスの育成シナリオ」として、明確にヘリオスが主人公の作品ですよという舞台で提示されているのがダメポイント。注文したものと出てきたものが違う感覚。話の作り的には、メインストーリー枠でやるべき内容だったと思う。
アドマイヤベガのストーリー構成も少し似ていて、アヤベさん・テイエムオペラオー・メイショウドトウ・ナリタトップロードのみんなの物語風のテイストはあったけど、それでもアヤベさん自身の過去と、これを乗り越えるところに主人公性はあったからね。ヘリオスの場合そういうのがないので……。
ダイタクヘリオスを育成したはずなのにヘリオスの掘り下げがほとんどなかったんだよな。これがモヤっとする原因でしょう。
ただ、少し深読みするとウマ娘としてのダイタクヘリオスのキャラクター性を考えると、どうやっても「ダイタクヘリオスのストーリー」を作るのが難しいのは分かる。本人はいつだって明るく周囲を巻き込んでいくタイプ。良くも悪くも精神的にポジティブのままブレないし、たまに落ち込みそうになってもすぐ回復するので、その「周囲」がいないと性質上話が動かない。もし周囲のウマ娘の話がない場合、ただヘリオスがレースに出て、勝ってウェーイ!するだけになるからね。とはいえダイイチルビーとケイエスミラクルに比重割きすぎだろ……とは思いましたが。
ダイタクヘリオスのこともっと知りてえ族としては、そのダイタクヘリオスを育成しても何も新しいことが増えなかったのが結構寂しいんだ。
ダイイチルビーがダイタクヘリオスの方を最後まで振り向いてくれないというのは、競走馬の方の史実通りというかその辺は忠実なんですが。
何度も戦うことになるヘリオスとルビーだけど、ダイイチルビーはなかなか勝てなくなってヘリオスを残して引退。その後ヘリオスの新たなライバルとして出てくるのがメジロパーマーで、史実でもこの2頭は爆逃げコンビ。実際には逃げるパーマーを追いかける形でヘリオスが追走したという感じのようだけどね。
当時のことは自分は詳しくないけど、ダイタクヘリオスはルビーが出ると良いところを見せたくて好走する。一方ダイイチルビーはケイエスミラクルと走ると好走する……という感じで、ダイタクヘリオス→ダイイチルビー→ケイエスミラクルの恋の三角関係のように描かれていたようです。
ウマ娘世界ではメジロパーマー→ダイタクヘリオス→ダイイチルビー⇔ケイエスミラクルって感じになっているか。ヘリオスは全人類愛っぽいところがあるのでメジロパーマーももちろん好きなんだけど、ダイイチルビーに対しての矢印が特別デカすぎる。
これはダイイチルビーが実装された時、ストーリーはどうなるんですかねえ。
マンハッタンカフェのストーリーは、実はアグネスタキオンのもう一つのシナリオ的な味わいがありました。自身が勝つことを捨て、代わりにマンハッタンカフェに自分が行きたかった地平に辿りついてもらおうとするタキオンのシナリオでもあった。ただしこれは先にアグネスタキオンが実装されていて、タキオンが自分の脚で限界の先を目指すシナリオが既にあるから良かった気はする。
ダイイチルビーに関しては順序が逆になってしまったので、こうしてダイタクヘリオスのシナリオ内で「勝てないダイイチルビーのシナリオ」が先に提示された。こうなると「順当に勝ち続ける」という、史実を乗り越える系の展開になるであろうダイイチルビー育成シナリオがどうなるかある種楽しみではある。今回と逆で、ダイイチルビーになかなか勝てないダイタクヘリオスという世界線にもなるわけだしね……まあヘリオスの場合、負けても挫折しないんですが。
ただ、ダイイチルビーは見た目は可愛いけどキャラクターがガチガチに固すぎて、結構遊びがないからシナリオ書く人大変そう。極端に言えば、メジロマックイーンからスイーツ大好きとか野球大好きとか「ホヤあそばせ」みたいな面白要素を取り外して、その上でマックイーン以上に自身の産まれた家柄への誇りや執着を抱えているのがダイイチルビーという感じですから。
色々ダイイチルビーの解像度が上がってこないと、今回のダイタクヘリオスのようにただ淡々とダイイチルビーを勝利させるだけのシナリオになりかねないんだけど……。サポートカードのイベントなども、基本的にはなんでもできる完璧超人として描かれていて隙やギャップみたいなものがほとんどないしね、ダイイチルビーお嬢様は。