心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

鎌倉殿の13人 第45回「八幡宮の階段」感想

個人的な予想では、大筋としてクライマックスに承久の乱があるために「そこに至るまで」、つまり実朝が暗殺される事件などは意外とあっさり終わらせて、そこから承久の乱までをしっかり描くのかなあ〜なんて思っていたけど、むしろその源実朝をかなり分厚く描いてきた今年の大河。

思い返すと今年の大河、実は「北条によって消された側」の方こそが真の主役な気がしてきた。
主人公というよりも、それらの各種事件に関わりつつも最後まで生存したのが義時だからその人物が柱になっているというだけで。そういう意味ではタイトルの「鎌倉殿の13人」はその通りなのかもしれません。13人含め将軍やその他散っていった鎌倉の者たちの、人生の軌跡であり群像劇だったと……。

スポンサーリンク


実朝の前にはおばばが。
しかし、仲章くんに太刀持ちの役職を奪われたことで義時が生存し、仲章が人生終了するんだから……全く運命というやつは。
ここにきて義時も三浦義村も「実朝を消したい」というところで意見が一致しているのが怖いですな。ただしその後の公暁をどうするかの意見は違っていると思うんですが……。

そして公暁の前にもおばばが!
いよいよ八幡宮の階段を実朝が降りるッ!!
「覚悟、義時!!」で仲章が斬られるのはマジでこれ……。
泰時が渡した短刀、実朝はそれを抜かず。これが天命であると受け入れてしまったか……。

「天命に逆らうな」が色々意味深になってくるなあ……。
ある意味で実朝も公暁も逆らってはいないし、結果として自分の思い通りに事が運んでいるという意味では義時は天命に従っているとも言えるか。
ここまで都合よく進むと、そりゃ義時も「まだやるべきことがあるようだ」ってなるわ。
実朝、別れの歌を残していました。ってことはここで終わるかもしれないって感じていたんだね……。

相変わらず武士の妻となるにはあまりにも才能と感覚も色々足りてないのえさんのシーンを挟みつつ、公暁くんは直接政子に会いに来ていた。
実際に公暁の名は残るけど、それは悪名としてなのが切ない。武士になりたかったけどなれなかった男、ですか。
鎌倉殿の証である頭蓋骨を持って、自分こそが4代目であるという自負だけを抱えて逃亡する公暁

トップになりてえなあ〜と思って、一度は公暁を焚き付けようとした三浦義村
でも義時を見て「こんなふうになりたくねえな……」で手を引いたと。
この三浦義村とのシーン、ちょっと義時の本音が垣間見えた瞬間かもね。力にしがみ付き怯えていると喝破された挙句「私に死んで欲しかったのではないか?」と問う義時は、その怯えが見えていたように思います。

公暁はあっさりと三浦義村に始末され、三浦くんがいよいよ義時に逆らえない立場に。
この状況で義時に宣戦布告するのが泰時っていうのがいいですね。むしろ義時はこれを望んでいたんじゃないかなあ、なんて。もう戻れないところまで来た自分を止めて欲しい感じもあるんじゃないですかね、義時は。

さて、朝廷は考え直しですな。
親王は送りたくないが、4代目は4代目で朝廷の息がかかった人にしたい。
ここで後鳥羽上皇と朝廷の思考回路を完全に見切っている北条義時よ。
さらにこのタイミングで野心に火が点る実衣よ……。

もはや義時にとって、政子すら道具。はっきり「北条のための鎌倉」って言うし、義時。
うええ……結局北条政子も、鎌倉という闇の中を生きてきた人間でしかないってことですか。闇が嫌ならそれを晴らそうとしろよと。それをしなかったんだからあなたも同族だぞ、という感じでしょうか。
こうなると「その闇を晴らそうとする人間」である北条泰時が輝くねえ……。

運慶に自分に似せた仏像を彫らせる。
うーん、北条義時はどこに向かっているんだろう。迷いのない顔って言われてはいるけど、迷わないように覚悟を決めただけな気もするんだけどねえ……本当に今の義時は本心で全部やっているのかがどうにも。


次回「将軍になった女」。
いよいよ尼将軍へ。マジで将軍がいなくなったことで、政子を闇の中に全身浸かる覚悟が決まる感じなんですかね……。