心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

青天を衝け 最終回「青春はつづく」感想

さて、コロナの影響で話数も少なくなってしまった今回の大河も最終回。
最終回のタイトルが「栄一、○○」のパターン外してきたのは結構意外というかなんというか。今年の大河、サブタイトルにパターンあるようでないようである……みたいな不思議な感じだったな。

慶喜も去り、喜作も去り……前話の段階で、栄一と共に時代を駆け抜けた人たちは既に世を去りました。
あとは長生きする栄一が、その残りの人生で何を残すのか、ですかね。

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第一次世界大戦終結
日本が世界的に影響力が高まることで、逆に日本が警戒されるようになってしまった。
ここにきて未だ栄一は理想論で話をする。「仲良くしようぜ!」が通じるわけないんだよね、普通。

ここにきてナレーション担当が孫の敬三くんになりましたよ。
引退しても未だ闘志衰えず。ガンガンお客さんがやってくる栄一である。
「沢山の子や、孫にも恵まれた」の部分若干栄一の闇だからちゃんと触れておいて欲しかったですねこれ。この人の女癖の悪さからちょっと目を背けてんだよなあこのドラマ。浮気相手一人しか出てきてないし。

アメリカの言い分若干良くわからん部分あるなあ。「日本人は安い賃金で働き、職を奪っている」っていうのが謎。安い金で雇ってるのもアメリカ人じゃないんすかねえ……?

原敬内閣。
この時の栄一は年齢幾つなんだっていう。見た目が若々しすぎてあんまり分からないんだよね今年。
調べてから逆算するとこの時80歳前後ですね。いやどうなのさすがに見た目が若すぎるって。

一方ちゃんと外見の老化をしている大隈重信であーる。
「82」と年齢明言されたな。これは栄一のこの年齢でもまだエネルギッシュですよってのを表現する外見の若さなんですかね。

栄一、4度目の渡米。
渋沢栄一は当時の政府の立場からすると若干めんどくさい立ち位置の人なのかな。
移民問題固執しすぎている感あるなあ……人間の尊厳とか、まあ理想は大事なんだけど、終始こういう人なんですね栄一。
そういや原敬って暗殺でしたね……。この時代でもまだまだ不安定だな、日本国内が。

敬三くん、岩崎弥太郎の孫と結婚するのか。
ビジネスのライバルだった人間と、その孫同士が結婚するのはアツいっすね。
篤二の話が敬三経由で来るのなんか切ねえな。いうて今更篤二を渋沢家に戻してどうすんのって感じはあるんだけど。「父は悔いております」って、それ何回も繰り返した結果が今の篤二だしなあ……。「こいつもう改心できねえよ」と思ったからの縁切りですし。

これは関東大震災か。
当時の建築技術だと、本当に被害は大きかったでしょうな。
地震という緊急事態に駆けつけることで、親子の縁は切れないっていう伏線を回収するのはやや安っぽい流れではある。
海外から大量の援助が。これこそ世界を平和にしようと動き回った栄一の想いがカタチになったもの。なんだかんだで結実していたんだねえ。

「排日移民法」っていうのがあったのか。すげえなこれ、法として差別してたのか。
栄一としては事実上の敗北ですね。結局政府関係者とか経済界の大物とか、偉い人には栄一の想いは通じていたけど一般の民には通じなかったと。

水害に苦しむ中国を支援する会の会長、渋沢栄一(91)。本当に命尽きる直前まで仕事してたんですねこの人。すごいバイタリティの人だったんだな。
家出んなって医者から言われてるから、家をラジオ局にして自宅からラジオ放送。栄一、最後の仕事まで世界平和へ繋がる仕事だったか。

なんつーか、後半の栄一は歴史の流れから否定されちゃう悲しい人ですね。募金は集まったのに、関東軍が暴走して満州事変。時代は戦争へ進んでしまうのである。
渋沢栄一の目指した世界は結局見ることはできなかったんだよなあこれ。それでも穏やかに世を去ったようで。

おっ、主人公の死後をたっぷりめにやるのは新鮮かも。麒麟がくるとかはドラマ的には「生死不明」だったしね。
栄一の人生ダイジェストをバックに、孫・敬三にのる渋沢栄一評。
こうやってまとめると、両親や平岡さん、慶喜、千代さん……いろんな人の想い背負ってたね。
今度はそんな栄一の残した世界、想いを背負った人々によって「栄一の青春」はつづく、と。


全体としての総評は、緩急が付いていて結構楽しめた部分があります。
観る前は朝ドラみたいな軽いノリにウェイトがかかるんじゃないかと思って期待薄だったんだけど、コメディパートはちゃんと面白く、一方で歴史的に凄惨な事件や戦争は真正面から描いていたのがよかった。平岡円四郎が斬られる場面とかかなりヘビーでしたね。

一方でストーリーとしての配分に結構不満があった作品。
渋沢栄一の話なんだから実業家としての活躍をもっと描いて欲しかったんだけど、若い頃〜幕臣だった頃に話数を割きすぎて、実業家としての活躍がダイジェスト気味になっちゃっていたのは若干本末転倒な気がしました。「合計60以上の企業に関わっていました」みたいなナレーションでまとめられていたけど、それらにどうやって関わっていったのかこそが歴史として渋沢栄一の評価されるところでもあると思うんですが、そこナレーションで済ますんかいと。そうやってめちゃくちゃ多方面で、現代の日本の土台作った人なんだぞってところを薄味に済ますのはなあ……。
最終回もそうで、時間でいうと栄一最後の10年くらいを全部この1話で叩き込んでるんだよな。駆け足すぎる。

篤二との関係も、なんか踏み込み切ってない感じで消化不良。これならもっと親子関係を主題にして、栄一の跡継ぎ問題を実業家パートに絡めて描いてもよかったんじゃないかと。いきなり最終回で仲直りして……ってのもまた急すぎたなと。
あと玉木宏は結局何だったのか。もう少しストーリーに関わっても良かったんちゃう?

やはり今作もコロナによる話数削減の影響は受けてしまったのかなという印象はあります。ちょっと惜しい作品だったかな。後半もっとディープなら個人的にはだいぶ最終的な印象変わったと思う。


さあ来年は「鎌倉殿の13人」。
平安末期から源平合戦、そして鎌倉幕府成立……の時代を北条義時を主人公に描きます。この時代は大河でも王道だから、逆に北条義時というややトリッキーな人物を主役にすることが頼朝、義経、清盛……みたいな本当のメインストリームにどのように影響を与えるかが楽しみポイント。
三谷幸喜作品なので、真田丸のようなエンタメ要素もバランス良く入ると良さげです。