心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

【ウイスキー】厚岸蒸留所の商品飲みたいけどとても飲めない話

北海道にある厚岸蒸留所の話を少ししてみたい。
2016年に蒸留を開始した、現在の日本の新規蒸溜所が新設されまくっているブームの中でもかなり有名な方だと思う蒸留所。

北海道の厚岸は気候風土がウイスキーの本場・スコットランドに近いらしく、公式サイトにもあるようにそんな厚岸の地で「スコットランドの伝統的な製法で、アイラモルトのようなウイスキーを造る」というのがコンセプトらしい。
そんな徹底したこだわりから生まれる厚岸蒸留所のウイスキー、実際色々な賞も受賞していて美味しいみたいなんですが……。

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ウイスキーのクオリティ以外のところのお話

先に言いたいこと書いちゃうと「やりたいこと優先しすぎて、ビジネスであるという感覚希薄になってない?」という。

二十四節気シリーズと銘打って、合計で24本のブランディングを行なっている厚岸蒸留所。んで現在は「シングルモルト寒露」「ブレンデッド雨水」「シングルモルトジャパニーズ芒種」「ブレンデッド処暑」の4本がリリースされている。
……めちゃめちゃ値段高いんですよね。ブレンデッドでも11000円。シングルモルトのものは16500円。
加えて第5弾以降の値上げが発表されていて、シングルモルトなら1本19800円になるらしいです。

飲んだことない銘柄に対していうのもアレなんですが、蒸留所開設から5年程度しか経っていないわけだからシングルモルトの熟成年数も最長で5年。
厚岸の二十四節気シリーズを集めているという人以外なら、正直2万円あったら長熟のスコッチとか買うんじゃないの?とは思う。ボウモア18年とグレンファークラス21年買ってお釣りが出るからね、2万円って。他にもスコッチではないけど、今ではすっかり世界中の賞を当たり前のように受賞する台湾ウイスキーカバランのソリストシリーズの一部も2万円あれば手が届く値段になってるし。

Twitterでさっと検索した感じでも厚岸のウイスキー揃えてきた人ですら今回の値上げのニュースで「厚岸蒸留所応援したいけど流石にキツい」「いつまで買い続けられるか自信ない」といった意見もちらほら。
国産大麦を使用することによるコスト増、包装資材・物流費の増加を理由に挙げているけど、正直そういうプレミアム品と並行して一般的な値段で流通する定番商品も作って欲しいんだけど……って思います。厚岸蒸留所のブランディングとして意図的にレアリティ高めてるならもう何も言えないんだけどね。まあ蒸留所の規模的に、定番品を安定して生産するのが厳しい可能性あるかもですが。

カバランなら数万円〜それ以上の高級ウイスキーを揃える一方で、1本5000円以下で買えるディスティラリーセレクトも用意している。
日本でも秩父蒸留所なら「イチローモルト ホワイトラベル」という誰でも手が出せる商品を用意した上で、こだわりの高級ウイスキーを作っている。
「とりあえずその蒸留所のウイスキーをはじめて飲んでみたい」って時に、少なくとも1万円以下で買えるボトルが用意してあるのって大きい気がするんですよね。完全初見ってことは自分の好みに合わない可能性もあるわけで、そこにいきなり2万円突っ込める人そんなにいないと思うんだよな。

バーで一杯飲むにも、ボトルの定価2万円のウイスキーとなるとグラスにシングルで注文した時の値段も結構なことになるはず。実際にバーで働いていた時の経験からすると、例えば今自宅にあるクライヌリッシュ14年は7000円で購入したけど、バーで一杯頼んだらこれ1500円くらいはします。これ仙台のお店の場合で、東京とかならもうちょい高いんですかね。
そこから単純計算すれば厚岸のシングルモルトをバーで頼んだらシングルで4500円弱です。とても気軽に手が出せる値段じゃないよね、やっぱり。


なんか「飲みたいけど高いし、そもそもモノが手に入らんし」という羨望的不満で色々書いてしまいましたが……。
これ厚岸蒸留所、根本的に商売というよりはウイスキー研究所のようなスタンスの方が近いのかもしれない。なんか資本の流れ的に焦ってお金稼がなくてもいいっぽい話も出てきましたし。
ビジネス的な面で見た場合「そういう蒸留所」ってことなのかもしれませんね。