心の雑草

「げ」と申します。心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

2つの「コロナ後の世界」を読み比べる

「コロナ後の世界」というタイトルで色々とインタビュー形式で語る内田先生ですが、実際に読んで頂ければすぐ分かるけど半分くらい安倍政権批判という内容。

日本のコロナへの対応は失敗したと断じた上で、その理由を「為政者が無能だったということに尽きます」と言っています。
……データを見ていれば、単純に「失敗した」とはまだ判断できない上に「為政者が無能」という理由に帰結しちゃう感じ、すごく「願望」が滲み出ていると思うんですね。

スポンサーリンク



感染者に対する死者の割合は明らかに他国より少ない


こちらのサイトによると、日本の感染者の致死率は1.6%。
これから上がる可能性はあるものの、少なくとも現状においては「世界でもトップクラスに致死率は低い」わけです。

政府が初動において致命的に遅く、甘く、ミスったのは事実。
ただ一方で死者は少ないという「データ」がある。
物事は総合的に見ないといけないわけで、さらにコロナとの戦いは「日本は失敗した」と言い切るにはまだまだ途中だと思うんですね。

トータルで振り返ると、一貫して安倍政権に対して
批判的な内田先生の「今の政権は失敗しなくてはならない」という前提で論が進んでいる気配がある。
というのも途中で「安倍総理は官僚の書いた作文を読むことしかできない」だとか桜を見る会についての不誠実さに話が飛んでいったりするが、それらはコロナ対策とは関係ない。コロナに対するファクトではなく、内田先生の「安倍政権は信用できない」がベースになっちゃってるんだよな。

とにかく遅きに失した感はあるものの、後手後手になりながら緊急事態宣言や一律給付などの動きは行っているのがこれまた事実。
それぞれの対応について評価・批判するのはいいと思うが、そうは見えないからなあ今回の内田先生の記事……。

民主主義の弱点

そして民主主義の弱点があって、そのシステム上意思決定〜行動が遅くなること。
この点は内田先生の当該のインタビューで触れているにも関わらず「日本は失敗した」と早々に決め付けている。

今まさに民主主義の弱点の通り、めちゃ遅い速度で色々な政策が動き出したところであって、その遅さを指摘して批判するのなら分かるんですよ。同時に民主主義国家だからこそ、その弱点を補完すべく緊急事態において速度が出せるような法整備をすべきだ……とかね。
コロナ後にそのような法整備を絡めながら言論統制される……みたいなことを思ってるみたいですが、その気があるならずっと前に内田先生やら室井佑月さんやラサール石井さんあたりアタックされてると思うんだよ。「安倍総理は無能」と名指しで言うような言論が自由に行えることを、自身ではどう思ってるんだろう。

そもそも外国の成功例に学んだ場合、あの速度感での各対応の提示や強力な都市封鎖の権限というのは、緊急事態においては政府が(言い方が悪いが)一種の独裁政権に近いような権力モードにシフトでき得るから成立した方法論だと思う。
「成功した国家に学べ」と言う一方で「それができるような法整備はするな」と言っているように自分には読み取れるんだけど……じゃあどうすればいいの?

個人的にはこっちを読んで欲しい……

というところでこちら。

ユヴァル・ノア・ハラリの「新型コロナウイルス後の世界」。少し長いですが是非読んでもらいたい。
奇しくも内田先生とほぼ同じタイトルの記事だけど、内容のレベルが全く違うなあと感じたので。これこそ「学者の思考」だと思う。
現在の世界的なコロナの問題について、緊急事態における措置の速度加速によるテクノロジーの発展と監視社会化するリスクについて考察されていて、加えてコロナ後の世界のために「今グローバルな規模で何をすべきなのか」まで具体的に考えているのがハラリさんの記事。こういうのが「コロナ後の世界」に対しての思考だと思う。

ファクトベースで、特定の思想に過度に偏らずに思考する。
これが「学者」の考え方だと個人的には思うので、その観点から見ると「現政権を否定する」ことを土台にした状態で全てを思考する内田先生の在り方は……なんと呼べばいいのか?


最後にまた認知閾に入った人間の特徴おいときますね。
・反対はするが対策はない
・個人に責任を転嫁する
・物事の原因が不明でも何か一つにこじつける

「為政者が無能だったということに尽きます」って言葉が意味深に聞こえますな。