メディアテークで行われているこの特別展。
気が付けばもうすぐ終わりとのことで、善は急げのような気持ちで観て来ることにした。
井上雄彦さんといったら今はアレですね、バガボンド。
スラムダンクの作者としてが世間一般には一番有名かと。
一方のガウディといえばサグラダファミリアが一番有名ですけど、今回観てきたことで驚異的にガウディが建築しまくってたことが判明。
しかし何よりガウディは建築家であり、1人の哲学者でもあったように思えるのです。
このオッさん、すげえ……!
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さて展示はというと、井上雄彦さんによるガウディの少年時代を描いた漫画からスタート。
瞳だけにブルーを差し込み、他は白黒で描かれたそのガウディ少年の瞳。これがまた良い。生まれながらに虚弱体質だったガウディがその類稀なる観察眼ー「瞳」の力で世界を観ていたのが象徴的に表されているような気がした
そこからはガウディ建築家デビューから若年期の設計図や作品群。
この頃はなんというか「ガウディ感」はまだ弱い印象。とはいえ整った非常に美しい建築なんだけど。
独創性(オリジナリティ)とは起源(オリジン)に戻ることである
ーアントニ・ガウディ
友人から「君には独創性がある」と言われたガウディは「独創性ってなんだ?人に対して使う言葉なのか?」などと考え始める。このへんも井上雄彦さんの漫画で描かれている。
晩年のガウディが深い信仰の元、自ら厳しく律した食生活とサグラダファミリアの建築という仕事に継投していったことは、ガウディ自身の考える「独創性と起源」との関連性を考えずにはいられない。
おそらくガウディは「自分が作っている」という意識は希薄化していたのではないかと思う。
ガウディが周囲から評される「独創性」は、彼自身からすればただ世界を観察することによって見えたもの。はじめからそこにあるものーすなわち「起源」であった。
それはもはやガウディのものではない。端的に言ってしまえば「神のもの」だ。
ガウディは建築というカタチによって神の言葉を世界に具現化させていた、ある種の預言者的な立場で自分を捉えていたのではないか、と思う。……サグラダファミリア見てみろって。あれもはや人間の考えた建造物ではないです。不思議のダンジョン状態。
毎日をサグラダファミリアの建設とお祈りに捧げ続けたという晩年のガウディの日々には、もはや「自分」が入る余地はなかったんじゃないかなあ。神に身を捧げていたようにも思えてくる。
展示では「クライアントを神のように〜」なんて書かれていたけど、そんなレベルの境地ではないでしょこれ。クライアントの先に、ひいてはサグラダファミリアの完成に神を見ていたんじゃないか。
とまあ全然まとまらない感じだけど、井上雄彦さんの漫画が鋭くガウディの内面を掘り下げていたのもあり、ガウディの建築よりも「ガウディその人」について考えさせられるような展示だったように思います。
そういう視点でもう一回見てみるのも深みが増して面白そう。もう一回行くかちょっと悩む。
仙台での展示は間もなく終わってしまうので、興味出た人はダッシュで!
あとサグラダファミリアは2026年完成予定らしいのでそちらも楽しみですな。ようやくガウディの目指した神の神殿が具現化されるというのか……!
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