吠えるでない
思い上がるな烈海王
もはや貴様には斬られる自由すらない
- 作者: 板垣恵介
- 出版社/メーカー: 秋田書店
- 発売日: 2015/06/08
- メディア: コミック
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「武芸百般 縛法だ」
「またの名称を縄術とも呼ぶ」
烈海王、一切の行動を封じられた。
その背後に陣取って立つ宮本武蔵。
完全に動けない烈海王、完全なる自由の宮本武蔵。
対比的かつ象徴的な状況だ。
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愚地克己の「堂々とし卑怯な手を使いやがった」という発言に対して、本部以蔵は「武術のレベルが違いすぎる」と発言。
刃牙と武蔵が闘った時にも出ていたけど、「闘い」に対しての考え方が根本的に異なるのだ。
敗北がイコール死となる宮本武蔵の時代。卑怯でもなんでも勝たなきゃいけない。闘いに次はない……どころか、自分の生そのものが終わるのだから。
生まれた時代、過ごしてきた常識によって刷り込まれた「試合」と「死合」の差は如何ともしがたい。
ただ倒されるよりも、相手に生殺与奪を任せてしまう状態での決着。
「敗北以上の敗北」という郭海皇の言葉が突き刺さる。
さりげなく名刀・國虎を回収する武蔵。
どうやら烈海王でも宮本武蔵の縛法からは一切身動きが取れない様子。
観念した烈は唯一動く口で「わたしを斬れ」と叫ぶ。
「吠えるでない
思い上がるな烈海王
もはや貴様には斬られる自由すらない」
これは宮本武蔵からの最大限の言葉の日本刀だ。
烈海王泣いちゃったよ。結構泣きますよねこの人。たしかピクルに中国拳法が通用しなかった時も泣きながらグルグルパンチしていた気がする。
宮本武蔵は自分の身体が負った傷を値踏みする。
額から血を流し、顔面には歯や爪が無数に突き刺さり、鼻は折れている。
そこまでした烈海王へのプレゼントは
斬ってあげる
だった。
烈の背後から抜刀した武蔵。
それは突き立てられた青龍刀を切断し、烈を縛っていたタスキを斬っていた。
振り向いた烈海王の顔面に一本の閃光が……。果たして「國虎」か、「イメージの刃」か。