先月末から仙台市博物館にて行われている特別展「吉祥天女が舞い降りた!」。
奈良は薬師寺に納められた吉祥天女像と、本尊である観世音菩薩像を目玉に仏像や仏教画が満載。
さらには博物館に着いたタイミングが完璧すぎて、薬師寺からいらしている執事・生駒基達さんの面白くてタメになる薬師寺と仏教についてのお話も聞くことができましたぜ。
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展示のはじめから早速吉祥天女像がお出まし。
「増」とはいえ麻布に描かれた絵画で、作品自体は小さめのものなので顔、手、足元のズーム写真も同時に展示されてます。
天女なので女性らしいたおやかさ、そしてふっくらとした顔つきが印象的。
個人的に印象的だったのは龍神像。展示品一覧によると平安〜鎌倉時代の作品ということと、さらに龍神という空想上の生物がモチーフということもあり全くイメージが違います。
かなり複雑な造形で、もともとは別の像とセットだったのではということらしい。確かに仏像などの肩に乗っかりそうなフォルムでした。
地蔵菩薩像が多く並ぶ中、最後に待ち受けているのが国宝・聖観世音菩薩立像でございます。
材質は銅で、作られた当時は金でメッキされおりピカピカだったそうな。今では全身が黒く鈍く輝いております。
ここで生駒執事のお話を引用させて頂きます。
こちらの像は奈良時代の中でも中期、白鳳文化期の作品。その特徴は何かというとたっぷりとした肉感。
飛鳥時代の像は総じて横から見たときに「薄い」らしく、それを聞いた後に見る観世音菩薩像は極めて男性的な肉体に見える。
俗っぽい言い方をするとマッスル感がすごい。優しさや慈悲ではなく力強さによって衆生を導くような姿。
顔もアルカイックスマイルではあるものの、荘厳な雰囲気のほうが強く表れていたように思います。
再び生駒執事のお話を。
「如来」は悟った者の姿であり、「菩薩」は悟ろうと修行している者を指す。だから釈迦は「如来」だ。
そして如来は悟ったので幸福の質が変化し、その像も身につける物が薄い衣だけになってしまう。「心の幸福」に至るのだそうです。
そして菩薩像は修行中なので、意外とオシャレしている。今回の聖観世音菩薩立像もネックレスとかブレスレットとかたっぷりしていますね。
これはもともと王子であったころのブッダの悟る前の姿をモチーフにしているのだそうです。
我々だって一所懸命に「生きるとは何か」を考えるなら皆菩薩なのだ、と生駒執事が仰っていて、何か気持ちが変わったように思います。連休初日からありがたいことです。
期間中は他の薬師寺のお坊さんも順番にいらしてくれるらしく、このお話を聞くのもまた素晴らしいことかと思います。
結構強めにオススメできる特別展です。