いやー、なんだか「はてな」界隈は、ちきりん氏を発端にまた騒がしくなっている。
騒がしている記事と、それに対しての反論の記事。
いやねー、正直自分も浅はかなので、ちきりん氏と同じような考え方を多分に持っていた。
だから数学なんて「誰が社会に出てからベクトルなんて使うんだよ!」と思ってからまるでやる気がなくなり赤点を取ったり取らなかったりヒヤヒヤ。当時は怖かったねえ。センター試験も1・A、2・B合わせて100点いかなかった記憶があります。
でも今になって冷静に考えると、あくまでも今の私に役に立っていないのは「結果」であって、バッタもん日記さんで言っているように「可能性」というものを狭めるというのは完全に同意である。
もしかしたら微分積分の楽しさに目覚めて、それを使えるような業種を探していたかもしれないわけで……。
ちきりん氏の論法に、それこそ学校教育で学ぶべき科学的思考法が抜け落ちていることはいろんな方が書かれているのでそこはスルー。
違うことを考えてみる。
個人的には学校教育に未だ問題があるのも真実。
「科学」や「科学的思考法」は様々な定義が考えられると思いますが、「なぜ」「どのように」を考えることが候補として挙げられると思います。
ちきりん氏のお粗末な科学教育論 - バッタもん日記
素晴らしい一説だと思う。
「なぜ」「どのように」を知ると、記憶への定着というのは急激に濃くなるのだ。
「信長は比叡山を焼き討ちした」
という事実だけ学んでもすぐ忘れるだろう。
「当時の比叡山の僧侶たちは、関所を設け通行人に高額の金銭支払いを強要し、仏という背後の力を利用して武装、もはや僧侶とは名ばかりの山賊まがいの集団だった」
というバックボーンがあると、「ああ、だから信長は比叡山を焼いたのか。楽市楽座もそうだったが、信長は町民のための行動をしているという点で統一性があるなあ」なんて、違う知識ともリンクしていく。
「科学的思考法」は歴史教育にも有用だ。
「なぜ」は覚えなければならないこと、考えなければならないことを増やすが、結果は上っ面だけを覚えるよりも簡単により多くのことを習得できることになる。
これは実学にも当てはまる。
「レバーは一度牛乳に漬ける」
これだけ知っていても気持ちが悪いだろう。意味も分からずレバーを真っ白な液体に浮かべるのは気持ちが悪い。
「レバーを牛乳に漬けておくと臭みが取れる」
ということを知っていてはじめてやろうと思える。
まあそういう意味で学校で教えている内容そのものには問題がないと思う。
問題はその先を教えてないってことだ。
学校で教えて欲しいこと
学校教育に抜け落ちているのはこの「なぜ」に対しての考え方だ。
「なぜ」が「なぜ必要なのか」を教えていない気がする。
そこは先生が各自頑張って、みたいな空気ありませんかね、学校。
ひたすら板書を移させるだけのような授業形態の先生から、「なぜ」という思考法を学習することは困難に近いだろう。
結構面白かった高校時代の数学の先生でも、私にはそういう「なぜ」を植え付けてくれなかった。
当時「なんでこんなもの必要なんだよ」と思っていた虚数も、今になって調べてみるとなかなか興味深いものがある(英語でのイマジナリー・ナンバーという呼び名もカッコイイ)。
ぶっちゃけお上が作る教科書からは「いいから黙ってやれ」みたいなスタンスの教育形態なのは如実に現れてるわけで(歴史の教科書なんかは特に顕著だと思う)、本当に鍛えたいのが「考える力」だとするならば、その力を鍛えるための教科書なり教育形態なりを模索して下さいよ、先生個人個人に一番大切な所丸投げするなよ、と。
「いい先生に出会ったから日本史が超好きになった」
という私は幸せだが、逆説的にいういい先生に巡り会えないと興味も持たないような教育システムなんだ、っていう話になると思う。
それどころか下手をするとテレビゲームに成り代わってすらいるからな、興味を持つキッカケは。
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もう一度言うが、学校で教えている勉強の内容に問題はない。
それが土台になって、「天ぷら油に火がついたらマヨネーズをぶち込め」や「切ったリンゴは塩水に漬けておくと色が変わらないぜ」なんてことに繋がっているはずだ。
でもこのリンクを形成するには「なぜ」という考える力が必要不可欠であるのに、その力の必要性を教えず、そしてトレーニングもさせない。
「お前ら学生が自力で気付け」
という無責任な状態なのが今の日本教育じゃねーかな、と思う。
そして今の子供って基本的に無関心な面が多いから、自力で学ぼうとする子がそもそもマイノリティだとも思う。
私は本当の問題はこの辺なんじゃないか、と睨んでる。
そういう「なぜ」って考え方、ロジカルな思考法、それらはほとんど学校外でのアルバイトや読書によって習得してきた私として、特にね。
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