心の雑草

「げ」と申します。「旅=人生」というライフスタイルをめざして、心の雑草を抜いては肥料に変えていくブログ。

「楽園追放」人間とは何かを問う正統派SFでした

登場人物の少なさが逆に上手くまとまっていたというか。

この手の作品って下手すると散らかって終了するんですが(特に単発の映画作品とか)、それを理解した上で物語は構築されているのかな、と。
そんなアニメ映画「楽園追放」を観てきましたよっと。

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機動戦士ガンダム00」「鋼の錬金術師」の水島精二監督と、「魔法少女まどか☆マギカ」など話題作、ヒット作を多数手がける人気脚本家・虚淵玄が初タッグを組んだ、オリジナルの劇場用長編SFアニメーション。人類が多くの地上を捨て、「ディーヴァ」と呼ばれる電脳空間で暮らす西暦2400年。フロンティアセッターと名乗る者が、地上世界からディーヴァに対してハッキングを仕かけてくる。ディーヴァの捜査官アンジェラは、生身の身体=マテリアル・ボディを身にまとって地上世界に降り立ち、機動外骨格スーツ・アーハンを駆使してモンスターの襲撃をかわしながら、地上調査員のディンゴとともに、どこかに潜んでいるはずのフロンティア・セッターを追う。釘宮理恵三木眞一郎神谷浩史古谷徹(友情出演)ら、水島監督の「機動戦士ガンダム00」でも共演した人気声優たちが出演。演出に「交響詩篇エウレカセブン」の京田知己

楽園追放 Expelled from Paradise : 作品情報 - 映画.com

もう一度言いますけど登場人物は本当に少なくて、物語的には主人公のアンジェラ、パートナーのディンゴ、そして敵であるフロンティアセッターの3人がほぼすべて。
それで良かったんだと思います。なにより100分程度の時間で始まって終わるというには、ベストのシナリオだったのかな、と。

つーことでネタバレしつつ感想とか行きましょうか。

ちなみにWikipediaで「楽園追放」検索するとすっげーネタバレしてるんで注意。
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アンジェラ・バルザック

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とりあえずおしりが魅力的でした、というのは冗談として(いや、実際にちょっとエロい服装のままなんだけどさ)。

彼女は生まれたときから電脳空間に生きていて、今回の物語内で肉体を得て、そして荒廃した地球に降り立つわけです。
後述するフロンティアセッターとは真逆の位置にいるのが彼女で、経歴というか、それこそデータとしては「人類」であることに違いはないんだけどその実態は自我を持ったデジタルデータみたいなものだったわけです。
そんな彼女が肉体をまとって「本当の意味で」人間として生を受けることが物語の始まり。

そもそも肉体に依存する物事を理解していないから、眠いとか疲れたとか病気とか、そういう肉体が発するシグナル自体を理解出来ないのでそのままぶっ倒れたりして、ディンゴに教わりながら人間になっていくお話。

生まれてから数時間後にはすでに肉体のない生命として生き続けてきたアンジェラにとっては肉体とは制限でしかなく、不便なものという認識だったけれど。
肉体を持った人間として、そしてディーヴァに移ることもできるのに断り続けるディンゴという男との交流で「肉体があるが故の楽しさ」とか「ディーヴァという楽園の本質」を知って変化していくわけです。


一度はディーヴァに戻るものの、フロンティアセッターと直接言葉をかわすことで彼を擁護する立場に回り、決してその意見を曲げなかったことでディーヴァという楽園から追放される。

まああとはざっくり言いますと、アンジェラは与えられた楽園から追放されたことで未開の大地、制限のある肉体という檻に封じられながらも本当の楽園に辿り着く的なやつです。

ディンゴ

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アンジェラとフロンティアセッターをつなぐものであり、そしてなにより本当の意味で「人間」になった赤ん坊のようなアンジェラを導く者、それが彼。

彼は行動動機が結局最後までフワッとしていたものの、キャラクターとしては凄くいい位置にいたと思うんですよ。

アンジェラを人間にして、そしてフロンティアセッターもまた人間にした人物、それがディンゴ


きっとディンゴにとってディーヴァに生きる人たちは人間ではないし、コンピュータAIとして生まれ自我を得たフロンティアセッターは人間なのである。
ここ、面白いっすね。
ここで「仁義の有無」が人間か否かを分ける、ディンゴなりの線引きだったんだと思う。

ディンゴ自身の行動は「仁義」だけでは説明しきれないんだけどね。
彼なりの「人間」像を自ら生きてるのかなーなどと。


フロンティアセッター

そもそも自我を持たないAIだったものが自我を持ったもの。アンジェラとは真逆といえます。データが人間になったのがフロンティアセッターであり、人間がデータになってしまったのがアンジェラをはじめとするディーヴァに暮らす人間たち。
一言でいうと極めて平和的なスカイネットであります。

もう何百年という月日を、ひたすら与えられた「宇宙探査用ロケットを作る」という命令に従って動き続けたプログラム。
ディーヴァにハッキングをかけたのも、自分と一緒に宇宙探索行ってみませんか?という誘いでありました。つまり敵意はなし。

フロンティアセッターは本当に人間味溢れていて、ディンゴから「人間の末裔として、自信持って宇宙に行ってこい」って言われたのは救われる一言だったんじゃないかなーと。


感想

アンジェラ・バルザックは可愛いしディンゴは掴み所がないけどカッコイイしフロンティアセッターはまたいい感じで、そこできっちり「人間ってなんだろう」というシンプルで骨太なテーマを走り切った作品だったという感じでした。


フロンティアセッターは宇宙へと旅立ち、アンジェラはディンゴとともにこの地球を見る旅へと旅立つ。
続きを作ることのできるエンディングともいえるけど、気持ちのいい暖かい終わり方の余韻を楽しみながらこれで終了、もいい。

世界の説明的な意味合いもあって、中盤にひたすらフロンティアセッターの説明モードがありちょっと中だるみもしますけど、アクションは迫力があり見応えがあって素直に面白かった。


個人的にはディンゴが一番良かったですね。アンジェラ、フロンティアセッター両者にとっての一番の友人でありそして親のような役割も果たす。
次回作があるのならディンゴにもう少しスポットライト当ててくれても面白いかなあと思った次第です。


とりあえず今後地球で生きていくなら、露出の少ない服をアンジェラに買ってあげてねディンゴ
・・・あれ脱げるんだよね?身体と一体化しちゃってるの?