ゲシュタルト化の技術とともに、元の人間の肉体データからコピーを作り、擬似人格にそのコピーの肉体(レプリカント)を管理させる「レプリカントシステム」も発表されると、人々は計画を前向きに捉えるようになります。
レプリカントシステムを管理するアンドロイドを作成、不老のアンドロイドにレプリカントの「死ぬ→データを引き出す→再生する」の輪廻を管理させつつ、アンドロイドとレプリカントによって白塩化症候群が駆逐された時、元々の魂(ゲシュタルト)をレプリカントに戻すことによって、人類存続の切り札「ゲシュタルト計画」は完成する……!
これがまあ設定の根底にあるのですが、ここからが鬱です。
長い年月、1000年以上の長い年月の中で、レプリカント達は自我を持ってしまいます。
主人公ニーアをはじめ、世界に暮らす人たちはみんなレプリカント。正確には人間ではありません。
そしてマモノ。実はこのマモノ達こそがゲシュタルト化した人間達の成れの果て。
そんなことを知らないニーアは、アンドロイドを倒し、妹を助けるという一心でマモノの王をも倒してしまいます。
この瞬間、人類の滅亡が決定しました。
ちなみにレプリカントには生殖機能がないため、管理者のいなくなったレプリカント達も滅亡です。
パッケージ裏の「一人の為に、全てを滅す」はこれを暗喩しているわけです。
そして、マモノの王の正体はニーアのゲシュタルト。彼は妹、ゲシュタルト・ヨナを助けるために主人公の妹(正確にはその肉体を欲した)をさらったのでした。
さあ、悪いのはどちらでしょうか?
ゲーム自体は感動的な終わり方をするのですが、ちらほら後味悪い所があるのはさすが。
2周目からはマモノの言葉に字幕が入るようになり、プレイヤーにも世界の真実が見えてくる様になります。
ニーアの仲間達、アンドロイド、イベントで出会う人々。話し出すと終わりがないので、ここではあえてカット!
単純にSF設定としてもかなり面白い「ニーアレプリカント」なんですが、人間の感情を上手く表現している作品だと思います。いや、登場人物はほとんど人間じゃないんだけどね。
きっとニーアは自分がやってることが世界を滅ぼすとしても妹を助けただろうし、他の人物も基本的に感情>理性なんです。怒りや哀しみを抑えることなく、そのまままっすぐに復讐や暴力に変換されていく。
現実ではあり得ないような心のほとばしりが、プレイしている我々の心を激しく揺さぶるような作品です。
……だれか小説とか漫画とか長編アニメ映画とかにしませんかねえ。
「ニーア」を開発したキャビアさんの新作、「ドラッグオンドラグーン3」も発表されてます。俺は買うぜ……!